トルコリラ円見通し トルコ中銀の予想外利下げでリラ急落するもドル円の一段高で急落解消に(22/8/19)

トルコリラ円の8月18日は7.56円から7.44円の取引レンジ、19日早朝の終値は7.52円で前日終値の7.51円からは0.01円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の予想外利下げでリラ急落するもドル円の一段高で急落解消に(22/8/19)

トルコ中銀の予想外利下げでリラ急落するもドル円の一段高で急落解消に

〇トルコリラ円、8/18午前7.51まで下落し午後7.54まで戻すも、トルコ中銀利下げ決定後7.44まで急落
〇その後リラ売りが一巡すると7.56まで高値を切り上げ、その後も7.50以上を維持しての推移
〇対ドル、利下げ決定直後18リラを突破し18.14へ急落、その後急落一服で8/19早朝18.03まで戻す
〇トルコ中銀、政策金利の週間レポレートを14.0%から13.0%へ、予想外の利下げ強行
〇7.50以上での推移中は上昇余地ありとし、7.56超えからは7.60前後を目指すとみる
〇7.48割れからは戻り一巡による下落期入りを警戒して、7.40台序盤への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月18日は7.56円から7.44円の取引レンジ、19日早朝の終値は7.52円で前日終値の7.51円からは0.01円の円高リラ安となった。
ドル/トルコリラが1ドル18リラを壁として膠着状態を続けていた中でトルコリラ円はドル円を見ながら展開してきたが、8月11日夜以降はドル円の上昇と同調して戻り高値を徐々に切り上げ、8月17日深夜には7.56円をつけて8月11日夜安値7.34円以降の高値を更新してきた。
8月18日の日中は午前の円高局面で7.51円まで下げてから午後の円安で7.54円まで戻していたが、20時にトルコ中銀が予想外の利下げを決定したことで7.44円まで急落した。しかしリラ売りが一巡して落ち着くと米地区連銀総裁達による大幅利上げ継続支持発言が相次いだことでドル円が136円に迫る急伸となったため、トルコリラ円は中銀利下げショックによる急落を解消して7.56円まで高値を切り上げ、その後も7.50円以上を維持しての推移となっている。
8月19日午前序盤にはドル円が136円台に到達しているためにトルコリラ円も円安を根拠に高値更新を伺う動きとなっているようだ。

【予想外の利下げ決定で1ドル18リラの壁を突破】

ドル/トルコリラの8月18日は18.14リラから17.94リラの取引レンジ、19日早朝の終値は18.01リラで前日終値の17.94リラからは0.07リラのドル高リラ安となった。
トルコ中銀が市場予想に反して利下げを決定したことでドル買いリラ売りが殺到し、夕刻まで17.96リラ近辺で推移していたところから利下げ決定直後に18リラを突破して18.14リラへ急落した。しかしサプライズ反応での初期的なリラ売りが一巡すると19日早朝には18.03リラまで買い戻された。
為替市場は米地区連銀総裁達が9月FOMCでの0.75%利上げ等を主張したことで米FRBによる大幅利上げ継続感が強まりドルストレートではドル全面高となり、ユーロドルが8月16日夜安値を割り込んで一段安、ポンドドルも16日夕安値を割り込んで一段安となるなどドル高感が強まったが、トルコリラはトルコ中銀利下げへの反応に終始した。

20時の利下げ発表後の20時半には週次の外貨準備高の発表もあったが、8月12日時点のグロスは前週の677.7億ドルから725.6億ドルへ増加、ネットも前週の118.1億ドルから156.8億ドルへと大幅増加した。先にネバティ財務相は外資導入効果で準備高が増加していると述べているが、ロシアがSWIFTからの排除対策で人民元とインドルピーのほかにトルコリラも買っているとの報道もある。
急落は一服したが1ドル18リラ台で一段安状態は維持されている。
昨年12月23日以降の取引時間中の最安値更新して昨年12月20日の史上最安値18.36リラへ迫っている。終値ベースでは8月15日に17.95リラを付けて史上最安値を更新していたが、18日もさらに更新した。

【トルコ中銀、予想外の利下げを強行】

トルコ中銀は8月18日20時のMPC(金融政策委員会)で政策金利の週間レポレートを14.0%から13.0%へ引き下げた。
市場の事前予想ではエコノミストの全員が高インフレが深刻化している中での利下げはありえずエルドアン政権による利下げ圧力を忖度して利上げもできずに現状維持との見方で一致していたが、予想外の利下げとなった。
2021年9月から12月までの4会合連続で19.0%から14.0%へ利下げした過程でトルコリラは対ドル及び対円等で史上最安値を更新、世界的なインフレ進行に加えてリラ安による通貨インフレも重なり、さらにウクライナ戦争も勃発したことでトルコの消費者物価上昇率は利下げ開始前の2021年8月に19.25%だったところから12月には38.80%へ跳ね上がり、その後も深刻な上昇が続いて7月は79.60%となっていた。

トルコ中銀の予想外利下げでリラ急落するもドル円の一段高で急落解消に

トルコ中銀は声明で「第3四半期の先行指標のモメンタムが低下」し、「世界経済成長への不確実性と地政学的リスクが高まる中で鉱工業生産の成長と雇用増加を維持するために金融環境が支援的であることが重要」であることが利下げ決定の理由だとした。
7月9日にフィッチレーティングス、8月12日にムーディーズがトルコ金融政策の不透明さを根拠に利下げしているが、今回の無謀ともいえる利下げにより海外勢のリラ売り攻勢も勢い付くのではないかと懸念される。しかし政策金利が14%から13%まで下がったところでさほど変わらないという見方もあり、その点でパニック的なリラ暴落商状というほどの下落規模にはならなかったともいえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月15日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして8月17日夜から19日夜にかけての間への上昇を想定してきたが、8月17日夜に一段高してから反落気味となったために18日朝時点では既にサイクルトップを付けた可能性があるとして7.50円割れからは弱気サイクル入りとした。
8月18日夜に7.50円割れから急落したが、その後の反騰で17日夜高値を上抜いているため、現状は18日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしたところと思われる。トップ形成期は22日夜から24日夜にかけての間と想定されるので週末週明けは押し目買い有利の状況と思われる。

60分足の一目均衡表では、8月18日夜の急落時に先行スパン下限まで下げたがその後の反騰により先行スパンを上抜き返している。遅行スパンもいったん悪化してから好転へ切り返しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし乱高下となる可能性もあるので先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先に切り替える。

60分足の相対力指数は8月18日夜の急落時に20ポイントを割り込んだところから50ポイント台へ回復しているので反騰入りとみて70ポイント台を目指す上昇を想定するが、乱高下の可能性もあるので40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.48円を下値支持線、7.56円を上値抵抗線とする。
(2)7.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.56円超えからは7.60円前後を目指すとみる。7.60円前後は反落警戒とするが、7.53円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.48円割れからは戻り一巡による下落期入りを警戒して7.40円台序盤(7.43円から7.40円)への下落を想定する。7.43円以下は買い戻しも入りやすいとみるが。7.48円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月22日
 17:00 7月 観光客数 前年同月比(6月145%)
 23:30 7月 中央政府債務 (6月 343億リラ)
8月23日
 16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 68.0)
8月25日
 16:00 8月 製造業景況観指数 (7月 103.7)
 16:00 8月 設備稼働率 (7月 78.6%)
 20:30 週次 外貨準備高 8/19時点
8月26日
 16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 93.4)



注:ポイント要約は編集部

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