トルコリラ円見通し 中銀は予想通りに政策金利現状維持だったが市場反応は鈍い(22/1/21)

トルコ中銀の金融政策決定会合では前月までの4会合連続利下げから5か月振りに現状維持として追加利下げを見送った。

トルコリラ円見通し 中銀は予想通りに政策金利現状維持だったが市場反応は鈍い(22/1/21)

トルコリラ円見通し 中銀は予想通りに政策金利現状維持だったが市場反応は鈍い

〇トルコリラ円、政策金利発表直後に8.50近辺から8.61へ上昇したものの、買い一巡後は伸びず
〇先行き不透明感続くとして、終盤はジリ安推移で発表前水準へ押し戻される展開
〇対ドルも政策金利発表直後に13.25へいったん上昇するも、その後は新たな高値更新へ進めず
〇トルコ中銀、事前予想通り政策金利現状維持、サプライズ感なくリラの買い戻し反応も限定的
〇8.45以上での推移中は上昇余地ありとし、8.55超えからは8.60台序盤を目指す可能性があるとみる
〇8.42割れからは、8.30台中盤への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月20日は8.61円から8.44円の取引レンジ、21日早朝の終値は8.54円で前日終値の8.50円からは0.04円の円安リラ高だった。
注目されたトルコ中銀の金融政策決定会合では前月までの4会合連続利下げから5か月振りに現状維持として追加利下げを見送った。20時の発表直後にはいったん強気反応となり発表前の8.50円近辺から8.61円へ上昇したものの買い一巡後は伸びず、先行きの不透明感は続くとして終盤はジリ安の推移で発表前水準へ押し戻される展開となった。
1月21日午前はドル円の下落が進んでいることに圧迫されて8.51円近辺へ下げている。

【対ドルでの利下げ回避への反応は鈍い】

ドル/トルコリラの1月20日は13.55リラから13.25リラの取引レンジ。21日早朝の終値は13.35リラで前日終値の13.37リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
20日夕刻に13.55リラまでドル高リラ安の動きだったが、20時にトルコ中銀が政策金利の現状維持を発表した後にこの日の高値となる13.25リラへいったん上昇、しかしその後は新たな高値更新へ進めずに13.28リラから13.38リラまでのレンジ内で概ね推移した。
市場予想通りだったことと、今回の利下げ見送りでも先行きはさらに利下げ追及へ進みかねないと市場は認識しておりリラの買い戻し反応も限定的だったと思われる。

【トルコ中銀は政策金利現状維持との事前予想】

トルコ中銀は1月20日の政策決定会合で主要政策金利の週間レポレートを市場予想通りに現行の14%で据え置いた。9月から12月まで4会合連続の利下げで19%から14%へと引き下げてきたが、インフレ進行が止まずに対円及び対ドル等でリラ暴落が発生したことで今回は追加利下げが見送られた。
中銀は「これまでの政策判断の影響を監視する」とし、「ディスインフレプロセスが始まり安定をもたらすと予想している」とした。また、通貨政策を優先事項としてインフレに関する責務達成に向けて「持続可能な物価と金融の安定に取り組む」「政策枠組みの包括的な見直しに着手した」とも表明した。

市場の事前予想では14%の据え置きが中心で中には13.50%への引き下げ予想もあったが、12月の利下げ直後にカブジュオール中銀総裁がしばらく様子を見る姿勢を表明、今週も18日にエルドアン大統領が「為替レートと金利はゆっくりと段階的に急がずに低下する」等と述べて連続利下げを急がない姿勢を示し、ネバティ財務相も「経済が1-3月にどう展開するか様子を見たい」と述べるなど政策金利の現状維持を示唆する発言を行っていたため、今回の現状維持決定にはサプライズ感はなかった。
2月3日には1月のトルコ消費者物価上昇率の発表があるが、そこでさらに物価高騰が続くならトルコ中銀も2月会合での利下げを見送らざるを得なくなると思われるが、物価上昇率が頭打ちとなる場合は利下げしたいエルドアン大統領による中銀への圧力も増すのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月17日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、19日夕安値で19日未明安値割れを回避して持ち直しに入っていたために20日午前時点では19日未明安値と19日夕安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとして20日夜から25日夜にかけての間への上昇を想定した。
20日の中銀金融政策発表前にいったん下げたものの政策金利現状維持から一段高となりその後に失速しているため、20日夜高値でサイクルトップを付けた可能性がある。やや乱調な展開が続いているので20日夕安値8.42円を割り込まないうちはもう一段高余地ありとするが、8.42円割れからは弱気サイクル入りとして24日午後から26日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では20日夜高値からの反落では先行スパンからの転落を回避しているのでまだ上昇余地ありとするが、先行スパン転落からは下落期入りの可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイント割れへ低下しているため既に下落期入りしている可能性がある。60ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとして30ポイント前後への低下へ向かいやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.42円を下値支持線、8.61円を上値抵抗線とする。
(2)8.45円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.55円超えからは8.60円台序盤(8.60円から8.63円)を目指す可能性があるとみる。8.59円以上は反落注意圏とするが、8.50円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.42円割れからは8.30円台中盤(8.37円から8.33円)への下落を想定する。8.50円以下は反騰注意とするが、8.45円以下での推移なら週明けも安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月21日
 16:00 1月 消費者信頼感 (12月 68.9)
1月25日
 16:00 1月 製造業景況感 (12月 106.1)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 78.7%)
1月27日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高・グロス 1/21時点 (1/14時点 707億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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