ドル円見通し 115円到達後の調整、世界連鎖株安に圧迫される(22/1/20)

ドル円は、19日午後に114.19円まで下落したところから114.50円台へいったん戻したもののNYダウの続落を見て20日早朝には114.19円まで再び下げた。

ドル円見通し 115円到達後の調整、世界連鎖株安に圧迫される(22/1/20)

115円到達後の調整、世界連鎖株安に圧迫される

〇ドル円、114.50台へいったん戻すもNYダウの続落を見て20日早朝114.19まで下げる
〇NYダウ前日比339.82ドル安、1/5の史上最高値から調整安に入り13日からは続落4日目
〇感染拡大によるサプライチェーン停滞と原油高騰、米連銀の金融引き締め姿勢が株安の背景
〇ドル円は日米金利差拡大での上昇圧力と、株安によるリスク回避的なクロス円下落圧力が交錯
〇114.50以下での推移中は一段安警戒とし、114.19割れからは114.00試しとみる
〇114.50以上での推移なら上向き、114.78超えからは115円台序盤を目指す上昇を想定

【概況】

ドル円は先週末からのドル高ぶり返しと日銀によるマイナス金利政策の維持姿勢により18日昼過ぎに115.05円まで戻したが、その後はドル高一服と株安を気にする展開となり、19日午後に114.19円まで下落したところから114.50円台へいったん戻したもののNYダウの続落を見て20日早朝には114.19円まで再び下げた。
1月4日夜高値116.34円から1月14日夜安値113.47円までの下落幅は2.87円、18日昼高値への戻り幅は1.58円で半値戻しの114.90円を超えたところだったが、その後の調整安では14日夜からの戻り幅に対する半値押しラインの114.26円を若干割り込んでいるところであり、3分の2押しラインの114.00円までで確りして押し目形成とし、18日高値を超えて上昇再開感を強められるか試されるところだ。

【NYダウが4日続落、世界連鎖株安への懸念】

1月19日のNYダウは前日比339.82ドル安と下落した。1月5日に36952.65ドルまで史上最高値を更新したところから調整安に入っており、1月13日の176.70ドル安、14日の201.81ドル安、18日の543.34ドル安に続く続落4日目となった。19日は日経平均が一時800円安を超える大幅下落となったものの、夜にかけてはダウ先物が反発して世界連鎖株安にブレーキがかかりかけたが、NYダウが上昇開始後に一段安となったために世界連鎖株安への警戒感も強まっている。
ナスダック総合指数も19日は166.64ポイント安となり18日の386.85ポイント安からの続落となった。11月22日に史上最高値を付けた後は15000ポイント割れを買い戻されて持ち合いだったものの切り返しが効かなくなって一段安している。世界規模の感染拡大によるサプライチェーン停滞と原油高騰によるインフレ及び米連銀の金融引き締め姿勢が一層強まっている状況が株安の背景となっている。

米10年債利回りは前日に2020年1月以来の水準へ一段高していたが、19日には一時1.89%台へ上昇、その後は株売り債券買いにより若干低下したために前日比は0.02%低下の1.86%だった。利上げペースに敏感な2年債利回りは18日に2020年2月以来の水準まで上昇したが、19日も前日比0.01%上昇の1.06%で一時は1.07%まで水準を切り上げている。
ドル円としては米連銀の金融引き締め姿勢と日銀の金融緩和継続による日米金利差拡大での上昇圧力と、株安を見てのリスク回避的なクロス円の下落圧力が交錯するところとなっている。

1月19日に米商務省が発表した12月の住宅着工件数年換算は前月比1.4%増の170万2000戸となり市場予想の165万戸を上回った。また先行指標の住宅着工許可件数は同9.1%増の187万3000戸となり市場予想の170万1000戸を上回ったが市場の反応は限定的だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、18日昼高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしている。ボトム形成期は19日夜から21日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるため、18日午前の戻り高値(114.78)を超えないうちは一段安警戒とするが、18日午前高値超えからは強気サイクル入りとして21日午前から25日昼にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月18日昼高値からの反落が続いて遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落している。先行スパンを上抜き返せないうちはもう一段安余地ありとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月18日午後と20日早朝の同値での安値に対して指数のボトムが切り下がる強気逆行の気配が見られる。50ポイント以下での推移中はまだ一段安余地が残るが、55ポイント超えからは70ポイントに迫る上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、114.00円を下値支持線、114.78円を上値抵抗線とする。
(2)114.50円以下での推移中は一段安警戒とし、114.19円割れからは114.00円試しとみる。114円割れ回避で114.50円超えへ戻すところからは上昇再開の可能性ありとみるが、114.00円割れから続落に入る場合は113.70円台への下落を想定する。
(3)114.50円以上での推移に入るところからは上向きとし、114.78円超えからは115円台序盤を目指す上昇を想定する。115円到達では再び売られやすいとみるが、114.78円を超えた後も114.50円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/20(木)
09:30 (豪) 12月 新規雇用者数 (11月 36.61万人、予想 4.33万人)
09:30 (豪) 12月 失業率 (11月 4.6%、予想 4.5%)
16:00 (独) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.8%、予想 0.8%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数・HICP改定値 前年同月比 (速報 5.0%、予想 5.0%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数・HICPコア指数改定値 前年同月比 (速報 2.6%、予想 2.6%)
21:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨

22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.0万件、予想 22.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 155.9万人、予想 158.0万人)
22:30 (米) 1月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (12月 15.4、予想 20.0)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (11月 646万件、予想 644万件)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数 前月比 (11月 1.9%、予想 -0.4%)
25:00 (米) エネルゴ―省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札

1/21(金)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数 前年同月比 (11月 0.6%、予想 0.9%)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (11月 0.5%、予想 0.6%)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (11月 -0.6%、予想 -0.6%)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
09:01 (英) 1月 GFK消費者信頼感 (12月 -15、予想 -15)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.4%、予想 -0.6%)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 4.7%、予想 3.4%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 1.1%、予想 -0.8%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (11月 2.7%、予想 1.1%)
22:00 (英) マン英中銀委員、講演
24:00 (米) 12月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (11月 1.1%、予想 0.8%)
24:00 (欧) 1月 消費者信頼感速報値 (12月 -8.3、予想 -9.0)

注:ポイント要約は編集部

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