トルコリラ円見通し 底の見えない状況続く(21/11/22)

トルコリラ円の11月19日は10.56円から10.00円の取引レンジ、20日早朝の終値は10.14円で前日終値の10.38円からは0.24円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 底の見えない状況続く(21/11/22)

底の見えない状況続く

〇トルコリラ円、19日も大陰線の連続となり10円の節目に到達
〇18日の中銀による3会合連続利下げと12月会合での4会合連続の利下げ可能性から暴落商状続く
〇ドルトルコリラも19日も18日に続き大陰線、史上最安値更新で底の見えない状況
〇追加利下げ可能か、30日のトルコGDP、12/3の11月トルコ消費者物価上昇率等の発表に注目
〇2020年6月から11月の下落と同じ値幅なら下値目途6.28円、下落率で見れば9.86円と計測される
〇過去の暴落時の教訓から10円到達でも底打ち感に乏しく通貨危機的な様相まで発展の可能性も継続
〇10.60超えなら11円前後へ反騰の可能性、安値更新続くなら9.80、9.50、9.00を目指す流れ

【概況】

トルコリラ円の11月19日は10.56円から10.00円の取引レンジ、20日早朝の終値は10.14円で前日終値の10.38円からは0.24円の円高リラ安となった。
11月18日のトルコ中銀による3会合連続の利下げ及び12月会合での4会合連続の利下げ可能性から暴落商状が続いている。
日足は利下げ予想を背景に11月10日に11.46円へ下落して10月25日安値11.50円を割り込んでから7営業日連続で史上最安値を更新しているが、11月16日に前日比0.23円、17日に0.38円の日足大陰線で下落してきたところ19日も同規模の大陰線の連続となり、10円の節目に到達した。FX業者の提示レートではBIDで10円を割り込んでいるところもある。
週足では3週連続の陰線で前週比では1.26円の円高リラ安となる大陰線で当週の高安が11.45円から10.00円まで1.45円の下落規模だが、アーバル前総裁が突如解任されたときの3月26日週に高安で15.08円から13.33円まで1.75円幅の大規模な陰線となり前週比で1.61円の円高リラ安となったところ以来の下落規模となった。

【対ドルでの史上最安値更新も続く】

ドル/トルコリラの11月19日は11.31リラから10.79リラの取引レンジ、20日早朝の終値は11.23リラで前日終値の10.99リラからは1.24リラのドル高リラ安となった。
11月18日のトルコ中銀による利下げを受けて18日当日の高安で11.28リラから10.41リラまで0.87リラの下落規模となる大陰線だったが、19日も0.52リラの高安規模での大陰線で史上最安値も更新した。
11月10日に10月25日の9.85リラを割り込んでからは連日の史上最安値更新に入っており、心理的な節目の1ドル=10リラも超える下落で底の見えない状況が続いている。日足は9日連続の陰線引け、最安値更新は8営業日連続となった。
11月18日安値11.28リラから19日夕高値10.79リラまでいったんは戻したが、19日夕刻から夜にかけてのドル全面高に圧されたことも加わり戻り売りにつかまった印象だ。
週間では前週末の9.97リラから1.26リラのドル高リラ安であり、3月のアーバル総裁解任騒動時を超えて2018年8月の通貨危機時に5.08リラから6.42リラへ1.34リラのドル高リラ安となったところ以来の規模となった。

【トルコ中銀とエルドアン大統領への不信感は消えず】

トルコ中銀は11月18日の金融政策決定会合で政策金利の週間レポレートを現行の16.0%から15.0%へ引き下げた。9月23日に当時の19.0%から18.0%へ利下げし、10月21日に16.0%まで大幅な連続利下げを強行し、今回は3会合連続の利下げとなった。
20%近いトルコの消費者物価上昇率と比較すれば実質は0.5%のマイナス金利状態といえる。
11月18日の政策発表においてトルコ中銀は12月会合で「限定的な余地の行使(=追加利下げ)について検討する」とし、エルドアン大統領は11月17日に「与党内にも利上げを求める声がある」とした上で「彼らと一緒に歩むことはない」「大統領である限り高金利との戦いを続ける」と述べており中銀への利下げ圧力は続きそうだ。
追加利下げが可能かどうかを判断する上で11月30日に7-9月期のトルコGDP、12月3日に11月のトルコ消費者物価上昇率等の発表に注目が集まる。

【2020年6月から11月への下落規模に迫る】

9月1日高値13.32円から11月19日安値10.00円までの下げ幅は3.32円に拡大し、2月16日高値15.26円から6月2日安値12.44円への下落規模2.82円を超えた。2020年6月3日高値16.25円から同年11月6日安値12.03円への下落規模が4.22円であるが、その時は凡そ5か月をかけての下落だったところを現状は3か月に満たない期間での急落であり当時を超える規模へと進む可能性がある。仮に同じ値幅での下落とすれば下値目途は6.28円、同じ下落率で見れば9.86円と計測される。

週足レベルで過去の下落規模と比較すれば、2017年9月15日高値32.42円から2018年8月13日安値15.25円までの下落率は凡そ53%であり、今年2月16日高値15.26円にこの下落率を適用すれば下値計算値は7.18円と計測される。
万人総弱気の中で底を付けるのが相場とすれば、現在のトルコリラは総弱気状況にあり、安値を出し切っていったん落ち着いても不思議はないが、過去の暴落時の教訓からは10円に到達したと言ってもまだ底打ち感には乏しく、通貨危機的な様相まで発展する可能性を継続しているところと注意したい。
また欧州での感染再拡大は観光を主力産業とするトルコにとっては今後の観光客数減少への懸念となる事も念頭に入れておきたい。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

1リラ=10円、1ドル=10リラを付けたことでひとまず落ち着けるか、通過点に過ぎずトルコ中銀や大統領への政策姿勢変更を迫るようなリラ売り攻勢が続くのか、まずは確り見定めたいところだ。
(1)変動幅が大きくなっているため、10.60円を超える場合は11円前後へ反騰する可能性があるとみるが、11円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(2)安値更新が続く場合、9.80円、9.50円、さらに9.00円を目指す流れとみる。

【当面の主な予定】

11月22日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.8)
 17:00 10月 観光客数 前年比 (9月 59.45%)
 23:30 10月 中央政府債務 (9月 218.1億リラ)
11月24日
 16:00 11月 製造業景況感 (10月 109.6)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 78.0%)    
11月25日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次外貨準備高 11/19時点 (11/12時点 867.0億ドル)

11月29日
 16:00 10月 貿易収支 (9月 -25.5億ドル)
 16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 101.4)
11月30日
 16:00 7-9月期 GDP前期比 (4-6月 0.9%)
 16:00 7-9月期 GDP前年同期比 (4-6月 21.7%)

12月03日
 16:00 11月 消費者物価上昇率 前年同月比 (10月 19.89%)
12月16日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.00%)

注:ポイント要約は編集部

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