ドルの調整継続か、米経済指標の内容注視(週報10月第4週)

先週のドル/円相場は、結果として弱含み。ザラ場ベースでは一時114.69円まで値を上げたものの維持できず、週末に掛けては調整売りに押されている。

ドルの調整継続か、米経済指標の内容注視(週報10月第4週)

ドルの調整継続か、米経済指標の内容注視

〇先週のドル円、週半ばに114.69の高値を付けた後値を崩し113.42まで1円以上下落
〇ポンド/円、カナダ/円、NZドル/円は年初来高値更新後週末にかけ円買い戻しに
〇WHO「欧州諸国で感染者増加、今後も感染が拡大する恐れがある」と警告
〇先週末の安値113.42をしっかり下回ればさらに1円以上の下落をたどる可能性も
〇今週は10月消費者信頼感指数や7-9月期GDP速報値などの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは112.20-114.70、先週高値114.69が強い抵抗

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、結果として弱含み。ザラ場ベースでは一時114.69円まで値を上げたものの維持できず、週末に掛けては調整売りに押されている。

前週末は、「恒大集団」を中心とした幾つかの中国情勢が引き続き思惑を呼ぶなか、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが6万の大台に再び乗せたことも話題となっていた。
そうした状況下、ドル/円は114.25円前後で寄り付いたのち、114円挟みの強保ち合い。下値を113.80円レベルが強く支えるなか、一時は2017年11月以来の高値となる114.69円まで上昇する局面も観測されている。しかし、週の半ばに高値を付けたあとはやや冴えず。ジリジリと値を崩すと、週末に掛けてはさらに調整の動きが加速。高値から1円以上下落した113.42円まで下落し、週末NYもそのままドル安値圏での越週となった。
なお、先週も円はほぼ全面安の様相。クロス円のポンド/円やカナダ/円、NZドル/円などはザラ場ベースで年初来高値を更新したが、ドル/円同様週末に掛けては活発な円買戻しが観測されている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「中国不動産リスク」について。
前者は、週明け18日にロイターが「英国でコロナ感染再拡大」としたうえで「一日当たりの感染者が7月半ば以来で最多を記録」と報じたことに続き、フランス保健局が2ヵ月ぶりとなる「コロナ入院患者数が3日連続で増加した」と発表。さらには、ロシアが首都モスクワで28日からロックダウンが再導入することが明らかに。欧州におけるコロナ感染が金融市場の一部で懸念されていただけでなく、実際にWHOは緊急事態対応を統括するライアン氏から、「欧州諸国で感染者が増加しており、今後も感染が拡大する恐れがある」との警告が発せられていた。今週も欧州を中心としたコロナ感染状況には要注意。

対して後者は、破綻危機も取り沙汰される中国恒大集団について、「23日に新たな米ドル債の利払い期限を迎える」と報じ思惑を呼ぶなか、香港企業への売却で話が進められていた「恒大不動産管理子会社の株式売却が頓挫」したことが明らかとなった。取引条件で合意に至らなかったという。また、それとは別に中国地産集団が2.26億ドルの社債償還出来ずに「デフォルトした」と発表したほか、当代置業(モダン・ランド・チャイナ)も25日満期の「ドル建て社債の償還延長手続きを打ち切った」と発表するなど、恒大以外にも「中国不動産リスク」が広がっている感を否めない。こちらも続報には要注意だ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、先週20日に2017年11月以来となる高値114.69円まで上昇したものの、週末に掛けては調整が先行した。大きな流れ、方向性としてのドル高は継続していると思われるが上値トライは一旦仕切り直しか。ちなみに、一連のドル高がはじまったのが9月安値109.12円からだとしても、直近高値までの上昇幅は5.5円ほどにも及び、これにフィボナッチを適応させれば23.6%押しが113.35-40円、38.2%押しは112.55円、半値押し111.90円などとなる。さらなる調整にも一応注意を払いたい。
米金利動向への関心は非常に高く、11月のFOMCでテーパリングが開始されるとの見方がもはや市場のコンセンサス。一方で、日本は依然としてデフレ懸念から脱却できておらず、日米金利差を考えると積極的なドル売りが進行する状況にないことは明らかだ。前述したように調整の動きまでは否定できないが、それでもドルは底堅く推移か。むしろ、発表される米経済指標、例えば7-9月期GDP速報値などが予想以上の好数字になった場合にはドル買いで反応しても不思議はないかもしれない。

テクニカルに見た場合、ドル/円は基調としてドル高傾向継続も、目先はむしろ調整の動きに要注意。敢えてリスクを指摘すれば、今週も下方向にバイアスがかかりそう。先週末に記録したドル安値113.42円は、フィボナッチサポートに近いテクニカルポイントだが、そのレベルが当面のドル安値になったとは思われない。しっかり下回れば、さらに1円からそれ以上の下落をたどる可能性もありそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には、「電力不足」と「不動産リスク」を中心に懸念要因は依然としても多い「中国情勢」や、今週末の衆院選が注視されている「日本の政局」、欧州を中心とした感染拡大が懸念される「新型コロナ」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、10月の消費者信頼感指数や7-9月期GDP速報値といった重要な米経済指標が発表される見込み。コンセンサスとなっている「11月にテーパリング開始」観測を後押しするような内容となるのかを注視してみたい。そうしたなか、11月の次回FOMCにおける「ブラックアウト期間」入りすることで、米当局者からの講演などはないものの、逆に思惑に左右されやすいとも言えそうだ。また株価や金利の動きのほか、原油相場の動きにも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、112.20-114.70円。ドル高・円安については、114円前後などに弱い抵抗が位置するものの、強いものとなると先週高値の114.69円。超えれば再び115円台乗せが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、フィボナッチポイントにも近い先週安値113.42円が最初のサポート。下回れば113円割れも否定できず、112円台前半から半ばがターゲットに。

ドルの調整継続か、米経済指標の内容注視

ドル円日足

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