トルコリラ円見通し 今晩、トルコ中銀金融政策決定会合、連続利下げか据え置きか(21/10/21)

トルコリラ円の10月20日は12.41円から12.20円の取引レンジ、21日早朝の終値は12.38円で前日終値12.28円からは0.10円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 今晩、トルコ中銀金融政策決定会合、連続利下げか据え置きか(21/10/21)

今晩、トルコ中銀金融政策決定会合、連続利下げか据え置きか

〇トルコリラ円、ドル安リラ高とドル円反騰が重なり戻り高値切り上げ、21日早朝12.40に到達
〇中銀会合を控え売り込んできた弱気筋がクロス円全般の上昇を見て利益確定の買い戻しに動く
〇ドル/トルコリラは20日夕刻9.35まで売られたが最安値更新回避し9.18リラ台まで持ち直す
〇格付け会社フィッチ「トルコ年末インフレ率が同社従前予想の17.2%を上回る可能性がある」
〇本日20時の中銀政策金利発表、市場予想平均値は現行の18.0%から17.50%への引き下げ
〇金利発表からの市場反応により上下に大きくぶれて急騰も急落もあり得るところと注意
〇12.30割れからは下げ再開入り、12.20、12.10を段階的に試して行く流れとみる

【概況】

トルコリラ円の10月20日は12.41円から12.20円の取引レンジ、21日早朝の終値は12.38円で前日終値12.28円からは0.10円の円安リラ高となった。
10月14日のトルコ中銀副総裁ら委員3名の解任報道から下げ足を速めて19日安値で12.15円まで安値を切り下げてきたが、19日昼からは対ドルでのリラ売りが落ち着いたことで買い戻しに入り、19日は6日ぶりに日足陽線となった。
10月20日の日中は12.30円台に乗せたところは売られて夕刻には12.20円まで反落したが、その後のドル安リラ高とドル円の反騰が重なって戻り高値切り上げに入り、21日早朝には12.40円に到達した。
10月21日のトルコ中銀金融政策決定会合を控えて売り込んできた弱気筋がクロス円全般の上昇を見ながら利益確定の買い戻しに動いたという印象だ。

【対ドルでは連日の史上最安値更新がストップ】

ドル/トルコリラの10月20日は9.35リラから9.18リラの取引レンジ、21日早朝の終値は9.21リラで前日終値の9.29リラからはは0.08リラのドル安リラ高となった。
9月23日の中銀利下げ、10月8日のエルドアン大統領による中銀への不満表明、14日の副総裁らの解任騒動で連日の史上最安値更新だったが、10月19日昼に9.37リラまで最安値を更新したところでリラ売りも一巡して買い戻しに入り、10月4日から10月18日まで11日間続いた日足陰線での下落が途絶えて19日は陽線引けとなった。
10月20日は夕刻に9.35リラまで売られたものの最安値更新を回避して再び買い戻されて19日夕高値9.22リラを超えて9.18リラ台まで持ち直した。日足は2日連続の陽線引けとなったが、10月21日20時に結果発表となるトルコ中銀の金融政策決定会合待ちでのポジション調整的な動きと思われる。

【格付け会社フィッチによる警告】

格付け会社大手のフィッチ・レーティングスは10月20日にトルコの年末のインフレ率が9月23日の利下げにより同社従前予想の17.2%を上回る可能性があるとの見解を示した。9月23日の利下げについては「9月時点の19.6%という高インフレ率やインフレ期待の悪化とリラ安の影響を考えると時期尚早なもの」としてインフレ率がさらに上昇する可能性が高まったとした。また「中央銀行の独立性の欠如に加え、2023年までに実施される大統領選挙に向けた不安定な刺激策により不確実性は高まった」と指摘した。
エルドアン大統領による独裁的な政策運営と特にリラ安とインフレ進行により大統領への支持率は低下傾向と言われ、2023年の大統領選挙でのエルドアン大統領再選も危ぶまれる。エネルギー価格の世界的な高騰は続いており、同国内の食料品のインフレ率も高いために庶民の生活も圧迫されて支持率低下をさらに招き、それを挽回しようとする金融経済政策的な混乱及び排外主義的な強硬外交へ走る可能性も懸念される。

【今晩20時、中銀の政策金利発表からリラ売り加速か、いったん収まるか】

10月21日の中銀金融政策決定会合では、9月23日の利下げに続いて連続の利下げが予想されている。市場予想平均値は現行の18.0%から17.50%への引き下げだが、17.0%への引き下げ予想から18%での据え置き予想もあり、結果を見てから市場も大きく動くということになるだろう。
追加利下げならリラ売りもさらに進行しかねず、2018年8月にかけての通貨危機的な下落や、2020年11月に史上最安値を更新した時の下落規模となる可能性も警戒される。逆に金利据え置きならリラ安への政策サイドの警戒感も認められるとしていったんリラ売りも収まる可能性も考えられる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月16日早朝への下落で14日早朝安値を割り込んだために18日午前時点では底割れによる弱気サイクル入りとして19日朝から21日朝にかけての間への下落を想定したが、19日昼へ一段安してからの反騰で0.10円以上を戻したため、20日午前時点では19日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また15日夜高値を基準として高値形成期を20日夜から22日夜にかけての間とし、12.20円割れからは弱気サイクル入りとした。
20日夕刻の下落で12.20円まで下げたところから切り返しているので19日昼安値からの強気サイクル継続とするが、前回サイクルトップから3日を経過しているので反落注意期とする。21日夜の中銀政策金利発表からの動きで強気サイクルの継続か、弱気サイクル入りか明暗が分かれると思われるが、12.30円割れからは弱気サイクル入りと仮定して22日午前から26日昼にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月19日昼安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンへ潜り込んでいたが、20日夜の一段高で先行スパンを上抜いている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とみるが、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は19日昼に20ポイントまで低下してから60ポイント台へ戻し、20日夕刻への下落で40ポイントを割り込んだところから70ポイント台まで上昇した。このため60ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとみるが70ポイント到達での高値警戒感もあるとみて60ポイント割れを弱気転換注意、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
20時の中銀政策金利発表からの市場反応により上下に大きくぶれて急騰も急落もあり得るところと注意する。
(1)当初、12.30円を下値支持線、12.45円を上値抵抗線とする。
(2)12.35円以上での推移中は上昇余地ありとみるが、12.40円から12.45円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。中銀政策金利発表から上昇の場合は12.45円から12.50円の間へ上値目途を引き上げる。
(3)12.35円割れからは下向きとし、12.30円割れからは下げ再開に入ったとみて12.20円、12.10円を段階的に試して行く流れとみる。

【当面の主な予定】

10月21日
 16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 79.7)
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合
     週間レポレート (現行 18.0%)
     翌日物貸出金利 (現行 19.50%)
     翌日物借入金利 (現行 16.50%)
     後期流動性貸出金利 (現行 22.50%)
 20:30 外貨準備高 グロス 10/15時点 (10/8時点 853.6億ドル)
     外貨準備高 ネット 10/15時点 (10/8時点 296.1億ドル)

10月25日
 16:00 10月 製造業景況感 (9月 113.4)
 16:00 10月 設備稼働率 (9月 78.1)
10月27日
 16:00  9月 貿易収支 (8月 -42.6億ドル)
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 102.4)
10月28日
 16:00  9月 観光客数 前年同月比 (8月 119.4%)
 20:30  週次 外貨準備高 10/22時点

※ポイント要約は編集部

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