トルコリラ円見通し 6日ぶり反発だが上値重く23日未明FOMC、23日夜中銀金融政策発表へ(21/9/22)

トルコリラ円の9月21日は12.75円から12.58円の取引レンジ、22日早朝終値は12.64円で前日終値の12.60円からは0.04円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 6日ぶり反発だが上値重く23日未明FOMC、23日夜中銀金融政策発表へ(21/9/22)

 6日ぶり反発だが上値重く23日未明のFOMC、23日夜の中銀金融政策発表へ向かう

〇トルコリラ円、9/21は12.75から12.58の取引レンジ、日足は陽線ながら上値の重さ印象付ける
〇対ドル、9/22は8.67から8.56の取引レンジ、ドル全面高にリラ売りが重なる
〇9/23夜のトルコ中銀金融政策決定会合、現時点での市場予想中心は19.00%の政策金利据え置き
〇12.56割れ回避のうちは上昇余地ありとし、12.75を超える場合は12.80前後への上昇をみる
〇12.56割れからは12.50前後への下落を想定、12.50円前後は買い戻しも入りやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の9月21日は12.75円から12.58円の取引レンジ、22日早朝終値は12.64円で前日終値の12.60円からは0.04円の円安リラ高となった。
9月2日に13.32円の高値を付けて6月2日安値12.44円以降の高値を更新したものの、9月3日夕のトルコ消費者物価上昇率の発表と3日夜の米雇用統計を通過する中で高値更新へ進めず、雇用統計通過後のドル全面高によるリラ売り圧力と9月8日のトルコ中銀総裁発言をきっかけとして下落に転じた。9月9日から14日にかけては13円を挟んだ持ち合いで推移していたが、ドル高基調の継続とトルコ中銀による利下げへの傾斜を警戒したリラ売りにより9月14日から20日まで5日連続の日足陰線で下落して20日安値では12.56円を付けて8月9日安値12.67円を割り込んだ。9月16日にエルドアン大統領が利上げ催促の発言を行ったこともリラ売りを助長した。
9月21日は突っ込み警戒感とドル高リラ安の一服感、ドル円が夕刻にかけていったん戻したことで6日ぶりの反発となったが、ドル円が深夜に失速したことで夕刻高値12.75円まで戻したところを売られて失速したため、日足は陽線ながら上ヒゲの目立つ姿で上値の重さを印象付けている。

【ドル全面高にリラ売りも重なる】

ドル/トルコリラの9月21日は8.67リラから8.56リラの取引レンジ、22日早朝の終値は8.62リラで前日終値の8.66リラからは0.04リラのドル安リラ高となった。
9月16日のエルドアン大統領による利下げ要求発言報道から急落して20日まで3日連続の日足陰線で下落、20日安値では8.72リラを付けて8月11日の8.68リラを割り込み、6月25日に付けた史上最安値8.799リラに迫ったが、ドル高一服感と売られ過ぎ警戒でひとまず買い戻しに入り、20日は長い下ヒゲを付けた。21日も全般的なドル高一服感からリラ買い戻しの動きを継続して夕刻にはこの日の高値となる8.56リラを付けたが、リラの先安感は継続しており戻したところは売られて夜に8.67リラへ下落、その後は8.62リラを挟んだ揉み合いで推移している。

【リスク回避感の拡大が新興国通貨にプレッシャー】

米連銀のFOMCが始まり、23日未明には金融政策発表がある。9月3日に発表された米8月雇用統計での就業者増加数が低調だったことから今回の会合ではテーパリング(量的金融緩和による資産購入規模の縮小開始)決定は見送られると市場は見ているが、年内のテーパリング開始方針は変わらず、FOMCメンバーによる先行きの利上げ予想時期が前倒しされる可能性が予想されている。テーパリング開始は織り込み済としても利上げ想定時期が前倒しになればドル高圧力も強まる可能性があり、史上最高値更新後にNYダウが下落に転じていることも踏まえ株式市場のリスク回避的な売り圧力も高まる可能性がある。

そうした中で中国不動産デベロッパー大手の中国恒大グループのデフォルト懸念が発生しており、中国市場の動揺から世界連鎖株安へと発展しかねない不安も抱えて新興国通貨への売り圧力も強まっている印象だ。南アランドは対ドルで9月10日夜から下落しており、21日夜もこの間の安値を更新し、メキシコペソも20日夜に急落した後も安値圏にある。資源通貨の豪ドル米ドルも20日夜に9月3日以降の安値を更新し、21日に小反発したものの底割れへ余裕が乏しく、NZドル米ドルは安値を更新している。
世界的な量的金融緩和縮小への動きは金融緩和による投機マネーの新興国投資の勢いを削ぐものとなり特に脆弱な高リスク通貨は売られやすくなる。トルコリラも主要国と比較しても極度の物価上昇が発生している中で大統領が利下げ要求をする異様な状況にもある。中国恒大のデフォルト懸念、FOMC、トルコ中銀の利下げへの傾斜等を踏まえれば、対ドル及び対円での史上最安値更新を試しかねないところに来ていると思われる。

【23日夜にトルコ中銀金融政策発表】

9月23日は未明に米FOMC声明発表、夜にトルコ中銀金融政策決定会合がある。日本市場は祝日だが目が離せない1日となる。
トルコ中銀は政策金利を現状の19.0%で据え置くと予想されているが、9月8日にカブジュオール総裁が「政策金利を判断するうえでの消費者物価上昇率については全体ではなくコア指数を基準とする」としたことで利下げの可能性が発生している。
トルコの8月消費者物価上昇率は全体が前年同月比19.25%で政策金利を上回っているが、消費者物価コア指数の前年同月比は16.8%で政策金利も下回っている。9月16日にはエルドアン大統領が早期の利下げが有効だと利下げ要求的な発言をして中銀に圧力がかかっている。
トルコ中銀が利下げせず金融引き締め的なスタンスを継続する姿勢を示す場合、トルコリラはいったん買われやすいと思われるが、エルドアン大統領が中銀総裁解任に走って混乱を招きリラ売りが再燃する可能性も考えられる。利下げの場合は物価上昇率が高水準のままでの不合理な利下げとしてリラ売りに拍車がかかる可能性がある。
9月22日午前時点での市場予想の中心は政策金利据え置きだが、18.0%への利下げ予想も出ている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月16日夜に一段安入りしたために17日午前時点では16日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定した。
20日夕安値の後は下げ渋り、21日未明への下落でも安値更新を回避して21日夕刻へいったん戻したため、20日夕と21日未明の両安値をダブルボトムとして反騰したと思われる。しかし21日夜へ反落したために既に21日夕高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしている可能性がある。
20日夕安値割れを回避するうちは22日夜から24日夜にかけて上昇余地ありとするが、20日夕安値割れからは底割れによる弱気サイクル入りとして23日夕から28日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月20日夕安値からの反発で遅行スパンが好転したがその後の下落で再び悪化しやすい位置にある。21日夕への上昇では先行スパンの下限が抵抗となったが、22日午前時点では横ばい推移ながら先行スパンへ潜り込んできている。このため先行スパンから再び転落しないうちは上昇余地ありとみて先行スパン上限を試す可能性があるとみるが、先行スパン転落からは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は16日夜の下落時に20ポイント割れまで低下してからやや戻し、20日午後にも20ポイント割れまで下げてから戻しているので指数のボトムがほぼフラットな強気逆行型となって上昇した。21日夜の反落では50ポイント割れを切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開として再び20ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月20日夕安値12.56円を下値支持線、21日夕高値12.75円を上値抵抗線とする。
(2)20日夕安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、12.75円を超える場合は12.80円前後への上昇を想定する。12.80円以上は反落警戒とするが、23日のFOMC及びトルコ中銀金融政策発表等から急伸する場合は12.90円以上への上昇へ進む可能性もあるとみる。
(3)20日夕安値割れからは12.50円前後への下落を想定する。12.50円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、23日未明のFOMCと夜のトルコ中銀金融政策へ弱気反応が続く場合は12.40円前後試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

9月22日
 16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 78.2)
9月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利・週間レポレート (現行 19.00%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・翌日物貸出金利 (現行 20.50%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・翌日物借入金利 (現行 17.50%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・後期流動性貸出金利 (現行 23.50%)
 20:30 週次外貨準備高・グロス 9/17時点 (9/10時点 796.6億ドル)
9月24日
 16:00 9月 製造業景況感 (8月 113.9)
 16:00 9月 設備稼働率 (8月 77.1%)
 17:00 8月 観光客数 前年同月比 (7月 367.5%)
9月29日
 16:00 9月 経済信頼感指数 (8月100.8)

※ポイント要約は編集部

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