米利上げ慎重姿勢確認もあり上値は重そう
〇本日のドル円、上値重いが下値も堅くドルは大崩れせず、16時現在109.80-85で推移
〇本日は米4-6月期のGDP速報値、週間新規失業保険申請件数に注目
〇米労働市場の雇用関係の指標が大きく改善すれば利上げ催促へと繋がる可能性も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.30
〇強い抵抗は先週末高値の110.59、目先的にはその手前110.30-40をめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場はドルが小安い。昨日NY終盤に110円を割り込んできた流れを継ぎ、ドルは冴えない動きながら下値も堅かった。
ドル/円は109.90円前後で寄り付いたものの、基本小動き。値幅は30ポイントにとどかないレンジ取引をたどるなか、ドルの上値は重い。前日に割り込んできた110円台へと一度も到達することは出来なかった。ただ、一方で下値も堅くドルは大崩れせず。下値は109.65-70円までで、16時現在では再び小戻した109.80-85円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「中国情勢」と「米金融政策」について。
前者は、米国や英国との対決姿勢を改めて指摘していたようだ。米国については、米議会の超党派委員会が北京五輪のスポンサーを非難したことに反発。在米中国大使館の報道官から、「中国を中傷するためにあらゆるウソをでっち上げることに夢中になっている」とのコメントが聞かれていた。また英国に対しては、南シナ海に入ったとされる同国最新鋭空母について環球時報が、「中国の領海で挑発的な行為があれば中国軍は強硬対応も取り得る」とした専門家コメントを紹介している。
対して後者は、昨日米FOMCの結果発表ならびに、パウエルFRB議長の会見が実施されたが、とくに新味はなく、トーン自体も引き続き慎重姿勢が目に付いた。「米経済の回復は引き続き順調」などとするやや楽観的な見解が聞かれた反面、「労働市場にはまだいくつかの着手すべき課題がある」と指摘するなど両論併記のまだら模様。結果として、テーパリングの工程については一切触れない内容で、金融政策の変更にはまだかなりの時間がかかる可能性を否定できないようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日は注目の米FOMCが実施され、それを受けたレンジブレークが期待されたものの、前述したように新味がなかったこともあり、ドル/円は結局レンジ内にとどまった。若干ドル安方向に動いたものの、サポートである109円半ばは割り込めず。そのため、レンジ取引の継続を見込む向きも少なくないが、材料的には本日もなかなかの注目要因が予定されている。まだまだ予断は許さない。
引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向への関心が高い。うち後者については、昨日のFOMCとパウエルFRB議長の講演で慎重姿勢が示されたものの、そのひとつの要因とされていたものが「労働環境」。つまり、米労働市場の回復に対する警戒が利上げの足かせになっているわけで、逆にいえば雇用関係の指標が大きく改善すれば当局へのプレッシャー、利上げ催促へと繋がることになるかもしれない。本日は米4-6月期のGDP速報値とともに、週間ベースの新規失業保険申請件数の数値にも要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日も結局レンジ取引で、109.60-110.60円程度の動きが1週間を超えてきた。いまだ方向性は乏しい。期間をいま少し長くすれば、幾分広いレンジを形成していることがうかがえるが、いずれにしてもまずは足もとの1円レンジを如何に、そしてどちらにブレークするのかに注目だ。敢えてリスクを指摘すれば、下方向という気もする。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、4-6月期のGDP速報値や週間ベースの米新規失業保険申請件数などが発表されるほか、米財務省による7年債入札が実施される見込みだ。また米企業の決算発表も数多く、こちらも注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.30円。強い抵抗は先週末高値の110.59円だが、地合い的には少し遠くなった感。目先的には、その手前110.30-40円をめぐる攻防にまずは注目か。
対するドル安・円高方向は、引き続き109円半ばが最初のサポート。底堅いイメージはいまだ残るが、割り込めば前回安値109.06円が視界内に捉えられそうだ。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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