ドル円見通し 米FOMC前の安値をいったん割り込んでからV字反騰(21/6/22)

ドル円は6月21日昼安値で109.70円へ急落、16日夜安値109.79円を割り込んだが、その後は110円台を回復するV字反騰となり、22日午前序盤には110.30円台へ続伸している。

ドル円見通し 米FOMC前の安値をいったん割り込んでからV字反騰(21/6/22)

米FOMC前の安値をいったん割り込んでからV字反騰

〇ドル円21日昼に109.70へ急落、16日安値を割り込むもV字反騰となり22日午前序盤に110.30台へ続伸
〇21日に日経平均が一時千円を超える大幅下落、米国主要株価指数先物も続落しドル高が継続
〇NYダウが週末の下落を解消する反騰、ドル全面高が一服しドル円はリスク回避の円高が収まりV字反発に
〇本日のパウエル議長の米下院特別小委員会での証言に注視
〇110円以上で推移し割り込んでも回復するうちは上昇余地あり、110.50超えからは110.81超えを目指す
〇110円割れから続落の場合109.70試し、底割れの場合新たな下落期入り、109円台前半へ向かうとみる

【概況】

ドル円は6月21日昼安値で109.70円へ急落、17日未明のFOMC前の16日夜安値109.79円を割り込んだが、その後は110円台を回復するV字反騰となり、22日午前序盤には110.30円台へ続伸している。
6月17日未明の米連銀FOMCがメンバーの利上げ開始時期予想を前倒ししたこと、パウエル議長が会見で量的緩和政策の縮小開始を議論すると述べたことから市場は米連銀が利上げサイクルへ向けて姿勢を変えたと見てサプライズ反応となって為替市場はドル全面高に入った。ドル円は17日午前高値で110.81円まで上昇して4月23日安値以降の最高値を更新する急伸となったが、その後は伸び悩み、株安を見てのリスク回避的な円高やドル全面高が進む中でクロス円全般が大幅下落したことでの円の買い戻しによる17日夜には110.15円へ反落、18日夜には110.48円までいったん戻したものの失速して先週を終えていた。

週明けの21日は日経平均が一時千円を超える大幅下落となり、米国主要株価指数先物も続落したことでドル高が継続してポンド、豪ドル等が先週からの続落で安値を切り下げたが、中国株式市場が持ち直し、米国株価指数が反騰、米国市場に入ってNYダウが週末の大幅下落分を解消する反騰となったことで為替市場もFOMC後のドル全面高が一服してユーロやポンド、豪ドル等が上昇となり、ドル円も株安を見てのリスク回避的な円高が収まってV字反発に入った。

【FOMCからの悲観売り一服だが、継続できるか試す、パウエル米連銀議長証言にも注目】

6月21日夜のNYダウは前週末比586.89ドル高と反騰。6月5日間の大幅続落で18日には533.37ドル安と下げたが、週末の一段安分を解消した。
米長期債利回りは乱調。10年債利回りは一時1.36%台まで低下してから反騰して前週末比0.05%高の1.49%、30年債利回りも0.09%上昇の2.11%となった、FOMC後に利上げ時期に敏感な年限として注目されている2年債利回りは前日比変わらずの0.26%にとどまったが、17日のFOMC前に0.16%台だったところから0.27%台へ急伸した後は上昇一服だが高水準を維持している。

6月22日に、米連銀のパウエル議長が米下院特別小委員会で証言に立つが、その準備書面が公表された。米経済について「持続的な改善を示している。急速な改善の大部分は低迷していた経済活動の回復を反映している」、「新型コロナウイルス流行は引き続き経済見通しのリスクとなっている」、「インフレ率は最近数か月で顕著に上昇した」が「一時的な供給制約による影響が後退すれば、長期目標(2%)へ向かって低下していくだろう」等と述べられていた。17日未明のFOMCで示された量的緩和縮小議論の開始等による金融政策姿勢の変化について強調するものはなかったため、市場もやや安心感を取り戻して先週の市場反応がやや過剰だったとみてドル安へと風向きが変わったようだが、21日の市場反応が一時的なものにとどまるのか継続するのか、22日の証言でのやり取りを見定める必要があると思われる。
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も講演で「景気は急速に改善して中期的な見通しも良いが、FOMCが金融政策のスタンスを変更するのに十分な回復ではない」と述べて慎重な姿勢を示したことも市場の安心感を誘ったようだ。

ただし、セントルイス連銀のブラード総裁が「FOMCに選択肢の幅を持たせることは非常に有効であり、将来の金利政策においてどの程度のシグナルを与えるかを考える上でテーパリングに関する議論の一部になる」と述べ、ダラス連銀のカプラン総裁が「債券購入を早めに抑えることで金利の議論に一層柔軟性を持たせることができるかもしれない」等と述べたこともあり、やはり17日未明のFOMC声明と議長会見で示されたように、徐々にテーパリングへ向かい、従来の想定よりも景気回復が早ければ利上げ時期も前倒しとなるという大きな流れはしばらく維持されるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月17日午前高値をピークとしていったん下落期に入ったが、21日昼安値で底を付けて反騰入りしていると思われる。高値形成期は22日午前から24日午前にかけての間と想定されるので既に反落注意期に入ってくるが、110円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとみて17日午前高値試しへ向かう可能性があると考える。ただし110円割れから続落の場合は弱気転換注意として21日昼安値試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして24日の日中から28日の日中にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では21日昼からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンの上限に達して突破を試している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は21日昼の下落で30ポイントに到達してから60ポイント台へ反騰した、その後も50ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、戻りは短命の可能性もあるので40ポイント割れへ低下する場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.00円を下値支持線、110.50円を上値抵抗線とする。
(2)110円以上での推移かわずかに割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、110.50円超えからは17日午前高値110.81円超えを目指すとみる。110.70円以上は反落注意とするが、110.25円近辺での推移なら23日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)110円割れから続落の場合は21日昼安値109.70円試しとし、底割れ回避から110.50円を超える場合は上昇再開とするが、底割れの場合は新たな下落期入りとみて109円台前半へ向かうとみる。110.30円以下は反発注意とするが、110円以下での推移なら23日も安値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

6/22(火)
23:00 (欧) 6月 消費者信頼感速報値 (5月 -5.1、予想 -3.0)
23:00 (米) 6月 リッチモンド連銀製造業指数 (5月 18、予想 18)
23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (4月 585万件、予想 572万件)
23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数 前月比 (4月 -2.7%、予想 -2.4%)
23:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
24:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁裁、講演
26:00 (米) 財務省2年債入札
27:00 (米) パウエル米連銀議長、下院特別小委員会証言

6/23(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
14:00 (日) 4月 景気先行指数CI・改定値 (速報 103.0)
14:00 (日) 4月 景気一致指数CI・改定値 (速報 95.5)
16:30 (独) 6月 製造業PMI速報値 (5月 64.4、予想 64.1)
16:30 (独) 6月 サービス業PMI、速報値 (5月 52.8、予想 54.8)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI速報値 (5月 63.1、予想 62.5)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 55.2、予想 57.5)
17:30 (英) 6月 製造業PMI速報値 (5月 65.6)
17:30 (英) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 62.9)

21:30 (米) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -1885億ドル)
22:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
22:45 (米) 6月 製造業PMI速報値 (5月 62.1)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 70.4)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (4月 86.3万件、予想 89.0万件)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数 前月比 (4月 -5.9%、予想 2.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省5年債入札、2年物変動利付債入札
29:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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