トルコリラ円 エルドアン大統領の利下げ姿勢や貿易相更迭等を嫌気してリラ売り再燃(21/4/22)

トルコリラ円は4月21日夜安値で13.13円まで一段安した。

トルコリラ円 エルドアン大統領の利下げ姿勢や貿易相更迭等を嫌気してリラ売り再燃(21/4/22)

エルドアン大統領の利下げ姿勢や貿易相更迭等を嫌気してリラ売り再燃

〇トルコリラ円、12日安値を割り込んでから売りの連鎖反応で13.13まで安値を切り下げる
〇対ドルでのトルコリラも21日に8.20リラへ下落
〇対ドルでのリラ安が進む中トルコ債も売られ10年債利回りは17.76%へ上昇
〇イスタンブール100株価指数は前日比2.55%安、19日から3営業日続落
〇エルドアン大統領「野党は金融危機を望んでいる」と中銀の外貨準備高減少問題追及に対し反論
〇大統領は21日にペキジャン貿易相を解任、後任にAKPのメフメト・ムシュ氏を起用
〇13.10割れからは13.00試しへ向かうとみる。13.00以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円は4月21日夜安値で13.13円まで一段安した。4月15日のトルコ中銀による政策金利据え置きと声明発表を前後して13.30円から13.56円のレンジで乱高下した後はこのレンジ内での推移が続いていたが、20日深夜に13.30円を割り込んで15日の高安レンジから下放れ、21日の日中をジリ安で推移していたところ4月12日安値13.26円を割り込んでから売りの連鎖反応となって13.13円まで安値を切り下げた。
日足は4月16日から21日へ4営業日連続の陰線での下落となり、3月22日から30日にかけての暴落時の安値13.01円からのリバウンドで4月2日に付けた高値13.84円以降の安値更新となった。

対ドルでのトルコリラも4月21日に8.20リラへ下落した。トルコ中銀が政策金利を現状維持とした4月15日の乱高下で付けた高値7.96リラ以降はジリ安の推移が続いてきたが、日足は4月16日から4営業日連続の陰線で安値を切り下げている。

4月21日のトルコの10年債利回りは17.76%へ上昇した。リラ暴落時の3月30日に18.60%まで急上昇したところからいったん低下して17.50%を挟んでの小動きとなり、15日に17.15%へ低下したもののその後はやや上昇気味の推移だったが、21日は対ドルでのリラ安が進む中でトルコ債も売られて利回り上昇が顕著となった。
4月21日のイスタンブール100株価指数は前日比2.55%安となり、19日から3営業日続落となった。3月22日のリラ暴落により急落したところから4月6日までいったん持ち直していたが、4月15日から下げ足が早まり始めており、21日は終値ベースで3月22日終値を割り込む一段安となった。

【エルドアン政権への不信感増してリラ売り】

エルドアン大統領は4月21日、「トルコ中銀は必要なら再び外貨準備高を使用するだろう」「野党の中銀批判は間違っている」「野党は金融危機を望んでいる」等と野党による中銀の外貨準備高減少問題への追及に対して反論した。大統領は4月7日にアンカラでの与党議員らへの演説で「インフレが最近加速したが我々は物価上昇率を1桁に押し下げる決意だ」「金利も1桁に引き下げることを決意している」と述べている。
3月19日にトルコ中銀のアーバル前総裁を突然解任したのは3月18日に中銀が三度目の利上げを行い週間レポレートを17%から19%へ引き上げたことへの大統領の不満によるものだったが、4月15日の中銀金融政策決定会合では現状のインフレを考慮して現状維持としたもののカブジュオール新総裁はアーバル前総裁時代に使われていた「必要に応じて追加の引き締め政策をとる」との姿勢を示す文言を4月15日会合後の声明では削除した。

エルドアン大統領はまた、4月21日にペキジャン貿易相を解任して後任に与党・公正発展党(AKP)の有力議員であるメフメト・ムシュ氏を起用した。さらに家族・労働・社会政策省を分割し、家族・社会政策省と労働・社会保障省を新設するとした。貿易相更迭の理由は示されていないが、前貿易相の家族企業への便宜供与問題が野党の批判を浴びていたことに対する対処と思われる。昨年11月の中銀前々総裁と財務相の解任、3月19日の中銀前総裁の解任に続く閣僚の更迭であり、エルドアン政権の政策運営への混迷という印象は市場にはマイナスと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月15日夜の中銀金融政策発表直後の急落から持ち直したために16日午前時点では12日夕安値から3日目となる15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、4月19日夕刻への下落で弱気転換目安とした13.40円を割り込んだため、20日午前時点では16日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして20日午後から22日夜にかけての間への下落を想定した。21日夜へ続落しているため引き続きボトム形成中とみる。強気転換には13.30円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では17日未明への下落で遅行スパンが悪化、19日夕刻への下落で先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化から下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は21日夜の一段安で20ポイント台へ低下した後はやや持ち直しているものの50ポイント以下での推移中はまだ一段安余地ありとみる。21日夜安値を割り込む一段安となる場合に指数のボトムが切り上がりなら強気逆行発生としていったん戻しに入る可能性が出てくると注目する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、13.10円を下値支持線、13.30円を上値抵抗線とする。
(2)13.25円以下での推移中は一段安警戒とし、13.10円割れからは13.00円試しへ向かうとみる。13.00円以下は反騰注意とするが、13.25円以下での推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.25円から13.30円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月22日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 86.7、予想 80.0)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合・議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高 4/16時点 グロス (4/9時点 493.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/16時点 ネット (4/9時点 99.3億ドル)

4月26日
 16:00 4月 製造業景況感 (3月 110.8)
 16:00 4月 設備稼働率 (3月 74.7%)
4月29日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.9)
 20:30 週次 外貨準備高 4/23時点 
4月30日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -33億ドル)
 16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 39.1億ドル)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 -68.96%)

注:ポイント要約は編集部

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