トルコリラ円見通し 感染再拡大によるリスク回避的ドル高と円高によりトルコリラ円も圧迫される(21/4/21)

トルコリラ円の4月20日は13.39円から13.29円の取引レンジ、終盤は13.29円台後半で日足は3日連続陰線による続落、21日午前序盤も13.30円を割り込んでの推移となっている。

トルコリラ円見通し 感染再拡大によるリスク回避的ドル高と円高によりトルコリラ円も圧迫される(21/4/21)

感染再拡大によるリスク回避的ドル高と円高によりトルコリラ円も圧迫される

〇トルコリラ円、20日は13.39から13.29の取引レンジ、日足は3日連続陰線で続落した
〇対ドルでは8.13から8.06の取引レンジ、15日の高値7.96以降はジリ安の推移が続く
〇エルバン財務相は19日にトルコ中銀の1280億ドル規模のドル売り取引のデータ公表は有益と表明
〇しかし見かけ上の外貨準備高に対して実際の現金ベースでは枯渇しているのではと懸念も
〇今後の展開によっては外貨準備高の枯渇によるリラ売り再熱の可能性もあるか
〇13.40以下で推移中は一段安警戒、13.25割れから13.21試しへ向かうとみる
〇13.35から13.40にかけての水準は戻り売りにつかまりやすい

【概況】

トルコリラ円の4月20日は13.39円から13.29円の取引レンジ、終盤は13.29円台後半で日足は3日連続陰線による続落で4月15日安値13.30円を割り込み、4月2日に13.84円までリバウンドした後の安値であった4月12日安値13.26円に迫った。21日午前序盤も13.30円を割り込んでの推移となっている。

4月20日の対ドルでのトルコリラは8.13リラから8.06リラの取引レンジ、トルコ中銀が政策金利を現状維持とした4月15日の乱高下で付けた高値7.96リラ以降はジリ安の推移が続いている。21日午前序盤も8.10リラを挟んだ安値圏での推移となっている。

4月20日のトルコの10年債利回りは17.35%。リラ暴落時の3月30日に18.60%まで急上昇した後は17.50%を挟んでの小動きとなり、15日には17.15%へ低下したものその後はやや上昇しているが小康状態の範囲で落ち着いている。
4月20日のイスタンブール100株価指数は前日比0.87%安、19日に前週末比2.2%安だったところから続落している。欧米株安と世界的な感染拡大の中にありトルコの感染拡大も深刻化していることが影響している印象だ。3月22日への暴落から4月6日へいったん持ち直したもののその後は戻り高値切り下がりで軟調な展開。

【トルコの外貨準備高、実際はマイナスか】

トルコのエルバン財務相は4月19日にトルコ中銀が2019年から2020年に行ったとされる1280億ドル規模のドル売り取引に関したデータの公表は有益と表明した。野党によるこの問題に関する批判に反応したものだが、トルコ中銀はリラ防衛のための市場介入で外貨準備高を大幅に減少させてきたとされ、見かけ上の外貨準備高に対して実際の現金ベースでの外貨準備高は枯渇しているのではないかとの懸念も取り沙汰されてきた。スワップ取引の残高としての425億ドルを除けばマイナスに陥っているのではないかとの見方もある。
トルコ財務相はアーバル前総裁が就任した2020年11月以降は中銀による外貨売却は行われていないと述べているが、外貨準備高についての詳細等の公表の具体的な方針は示されていないようだ。この問題に対する今後の展開によっては外貨準備高の枯渇によるリラ売り再燃ということも考えておく必要があると思われる。

【トルコの感染拡大第三波 増加ペース加速】

トルコ保健省によると、4月20日のトルコにおける新型コロナウイルス新規感染者数は6万5363人となり累計感染者数は438万人を超えた。4月16日に6万3082人に達して過去最高記録を更新していたがさらに超えてきている。トルコの感染拡大第二波のピークが12月8日の3万3198人であり、すでに倍増レベルとなっている。

世界保健機関(WHO)は過去1週間の世界の新型コロナウイルス感染者数が約522万人となり週間ベースで過去最多となったと発表した。世界全体の新規感染者数は4月16日に83.9万人に達したが、1月8日に84.3万人となったところが世界全体における第一波のピークであり、2月15日には26.9万人まで激減していたところから変異種の猛威により再拡大に入り、第一波のピークを超えて第二波に入っている。インドでは4月20日の感染者数が29万人を超え、米国もワクチン普及により感染抑制効果がみられるものの5万人を超える感染者数が出ている。ブラジルは6.5万人増、フランスも4.3万人増でありトルコの6万人増も目立つ。
トルコ政府は3月29日から国内の移動と集会の規制に入っており、イスラム教の断食(ラマダン)中に週末の全土ロックダウンを再開するとしている。今年のトルコにおけるラマダンは4月13日(火)から5月12日(水)まで。

4月20日の為替市場では、夕刻まではリスク選好的なドル安が進行し、ユーロやポンド、豪ドル等が4月13日夜からの反騰を継続していたが、夕刻からは市場の空気が変わっていずれも急落に転じた。米長期債利回りは株安債券高により20日夕刻から低下に転じたが、米長期債利回り低下によるドル売り圧力よりもリスク回避的なドル買い戻しが勝った状況だ。またクロス円全般も円高が加わって下げ足が早まった。これらがトルコリラ円にも売り圧力をかけている印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月15日夜の中銀金融政策発表直後の急落から持ち直したために16日午前時点では12日夕安値から3日目となる15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、4月19日夕刻への下落で弱気転換目安とした13.40円を割り込んだため、20日午前時点では16日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして20日午後から22日夜にかけての間への下落を想定した。21日午前序盤も13.30円を割り込んでいるため引き続きボトム形成中とみる。強気転換には13.40円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では17日未明への下落で遅行スパンが悪化、19日夕刻への下落で先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化から下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は21日午前序盤への下落で30ポイントを割り込んできている。40ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、強気転換は50ポイント台回復からとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.25円を下値支持線、13.40円を上値抵抗線とする。
(2)13.40円以下での推移中は一段安警戒とし、13.25円割れからは13.21円試しへ向かうとみる。13.15円以下は反騰注意とするが、13.30円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.35円から13.40円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月22日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 86.7、予想 80.0)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 -68.96%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合・議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高 4/16時点 グロス (4/9時点 493.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/16時点 ネット (4/9時点 99.3億ドル)
4月26日
 16:00 4月 製造業景況感 (3月 110.8)
 16:00 4月 設備稼働率 (3月 74.7%)
4月29日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.9)
 20:30 週次 外貨準備高 4/23時点 
4月30日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -33億ドル)
 16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 39.1億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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