ドル円見通し 新規感染拡大嫌気で株安債券高・米長期債利回り低下でドル円の下落基調続く(21/4/21)

4月20日午前に107.95円まで下落して108円割れとなったところからいったん買い戻されて夕刻には108.54円まで戻したが、深夜の反落で108円割れへ再び余裕がなくなっている。

ドル円見通し 新規感染拡大嫌気で株安債券高・米長期債利回り低下でドル円の下落基調続く(21/4/21)

新規感染拡大嫌気で株安債券高・米長期債利回り低下でドル円の下落基調続く

〇ドル円、20日午前に107.95まで下落、夕刻に108.54まで戻したが深夜に反落した
〇NYダウは前日比256.33ドル安、続落したことで金融市場全般がリスク回避的な動きに
〇為替市場ではドルの買い戻しとなりユーロなどが下落、円高感も強まりクロス円は大幅下落の様相に
〇米10年債利回りは前日比0.05%低下の1.56%、20日夕刻に1.63%台へ上昇した後再び低下
〇米長期債利回り低下はドル安要因だが、それ以上に株安によるリスク回避的なドルの買い戻しが優勢に
〇108.54以下で推移中は一段安警戒、107.95割れから107円台序盤試しとみる
〇108.54を超える反騰からいったん戻しに入るとみて109円を目指す上昇を想定

【概況】

ドル円は4月20日午前に107.95円まで下落して108円割れとなったところからいったん買い戻されて夕刻には108.54円まで戻したが、深夜の反落で108円割れへ再び余裕がなくなっている。
3月31日高値110.96円まで上昇していたのは米長期再利回り上昇によるものだったが、米長期債利回りが低下に転じたためにドル安感が強まったとしてドル円は下落に転じてきた。4月16日早朝から米長期債利回りはやや戻していたもののドル円の反応は鈍く、20日は米長期債利回りが再び低下に転じたことで戻りも続かずに失速した印象だ。21日朝時点では新たな安値更新を回避しているものの108円台序盤での横ばいにとどまっており、安値更新を伺う位置取りとなっている。

【リスク回避の展開】

先週末に2日連続で史上最高値を更新していたNYダウは19日の反落から20日も続落したことで金融市場全般がリスク回避的な動きとなり、株安債券高により米長期債利回りが再び低下している。為替市場においてもリスク回避的な手仕舞いによりドルストレートではドルの買い戻しとなりユーロやポンド、豪ドルなどが下落、円高感も強まったことでクロス円は大幅下落の様相となった。4月20日のNYダウは前日比256.33ドル安で19日の123.04ドル安からの続落となった。ナスダック総合指数も128.50ポイント安と下落。

米10年債利回りは前日比0.05%低下の1.56%。3月30日に1.77%まで上昇して昨年3月来の最高水準となったところから低下に転じて4月16日未明には1.52%台まで下げていたが、4月20日夕刻に1.63%台へ上昇したところをピークに再び低下に転じた。米長期債利回り低下はドル安要因だが、それ以上に株安によるリスク回避的なドルの買い戻しが優勢となった印象だ。ドル円にとっては米長期債利回り低下によるドル安円高圧力と共に、クロス円全般の下落が円高感を助長している。1月6日底102.57円からの上昇一巡による下落期にあるが、まだ安値を出し切っての反騰入りには手掛かり不足のようだ。

【インドの感染爆発、世界の感染第二波による懸念】

世界保健機関(WHO)は過去1週間の世界の新型コロナウイルス感染者数が約522万人となり週間ベースで過去最多となったと発表した。年初に欠けて大幅低下していたものの変異種により再拡大しており、第一波を超える第二波に入ってきているが、インド等での感染急増が深刻化していることで世界全体の景気回復への期待感が後退しつつある。世界全体の新規感染者数は4月16日に83.9万人に達したが、1月8日に84.3万人となったところが世界全体における第一波のピークであり、2月15日には26.9万人まで激減していた。しかし変異種の多発によりいったん抑え込まれていたところも再拡大に入っており、インドでは4月20日の感染者数が29万人を超えた。米国も感染抑制が効き始めているものの5万人を超える感染者数が出ている。ブラジルでも6.5万人増、フランスも4.3万人増、トルコも6万人増を超えている。日本も3度目の緊急事態宣言発出の見込みとなり、先週までの米国市場における楽観的なムードが大きく後退している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月9日夜高値を起点とした下落が続いているが、8日夜安値から5日を経過したために4月16日時点では14日午前安値を直近のサイクルボトムとし、既に底割れにより新たな弱気サイクル入りしているとして19日午前から21日午前にかけての間への下落を想定した。

20日午前に108円を割り込んだところから20日夕刻にいったん戻してから反落しているため、20日午前安値を直近のサイクルボトムとし、20日夕高値ですでにサイクルトップを付けて新たな弱気サイクルに入っている印象だ。このため20日夕高値を上抜き返せないうちは107円台前半への一段安警戒とし、安値更新からは23日午前から27日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換は20日夕高値超えからとし、その際は21日夕から23日夕にかけての間への上昇と109円前後試しを想定する。

60分足の一目均衡表では20日夕刻への反騰で遅行スパンがいったん好転したもののその後の反落で再び悪化している。また先行スパンも突破しきれずに終わっている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は20日夕刻への上昇で60ポイントまで戻したがその後の反落で50ポイント割れとなっている。このため50ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、強気転換には60ポイントまでもう一度戻し、その後も50ポイント以上を維持する上昇が必要と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、20日午前安値107.95円を下値支持線、20日夕高値108.54円を上値抵抗線とする。
(2)108.54円以下での推移中は一段安警戒とし、107.95円割れからは107円台序盤(107.30円から107.00円)試しとみる。107.25円以下は反発注意とするが、108円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)108.25円から108.54円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、108.54円を超える反騰からはいったん戻しに入るとみて109円を目指す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

4/21(水)
休場 インド、ブラジル、ベトナム
国際オリンピック委員会(IOC)理事会
09:30 (豪) 3月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (2月 0.02%)
10:30 (豪) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -1.1%、予想 1.0%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.1%、予想 0.4%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 0.4%、予想 0.8%)
15:00 (英) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 0.9%、予想 1.1%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数 前月比 (2月 0.5%、予想 0.4%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数 前年同月比 (2月 1.4%、予想 1.6%)
19:30 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)

4/22(木)
バイデン米大統領、気候サミット開催(4月23日まで、オンライン)
20:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 57.6万件、予想 62.5万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 373.1万人)
23:00 (米) 3月 景気先行指数 前月比 (2月 0.2%、予想 0.9%)
23:00 (欧) 4月 消費者信頼感・速報値 (3月 -10.8、予想 -10.9)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (2月 622万件、予想 615万件)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数 前月比 (2月 -6.6%、予想 -1.1%)
26:00 米財務省インフレ指数連動5年債入札


注:ポイント要約は編集部

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