短期的な高値を見てポンドとともに下げやすい(週報3月第1週)

先週のユーロは木曜にドル買い・ユーロ売りへと反転、金曜のNY大引けまでユーロドルは下げ続けることとなりました。

短期的な高値を見てポンドとともに下げやすい(週報3月第1週)

短期的な高値を見てポンドとともに下げやすい

〇先週のユーロドル、米金利上昇激しくドル買い・ユーロ売りへ反転
〇2月上旬につけた年初来安値からは安値を切り上げるチャートパターン
〇年初来高値を連日更新してきたポンドも目先の高値をつけ下げへと転換
〇ポンドの調整は今週もユーロドルの動向に影響を与えやすい
〇1.21台半ばから後半は依然としてユーロ売りが出やすい水準
〇今週は1.2010レベルをサポートに1.2150レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、木曜東京前場まではドル買いによるユーロ売りとドル円とともにユーロ円での円売りによるユーロ買いとが綱引きとなり、やや底堅いながらも横方向へと動き、方向感がはっきりしない流れが続きました。木曜欧州市場以降に均衡を破ったのが強い欧州経済指標を背景としたユーロ買いでしたが、さすがに米金利上昇が激しく一気にドル買い・ユーロ売りへと反転、ポジション的にも短期筋がユーロ買いを増やしていたと見られ、ポジション調整がテクニカルなサポート下抜けのきっかけとなり、金曜のNY大引けまでユーロドルは下げ続けることとなりました。

現状は米金利上昇によるドル買いの動きと、目新しい話では無いにせよECBがユーロ高を金融政策に悪影響を与えるというスタンスを取っていることから、本来バイアスがかかるとするとユーロ売りの方向です。しかしテクニカルに2月上旬に付けた年初来安値からは安値を切り上げるチャートパターンとなっていることや、円安の動きがユーロ円の買いにも影響していること、そして欧州通貨ではポンドが異様なほど強い上昇トレンドを続けてきたことから底堅い動きを続けてきたと言えるでしょう。

しかし、先週木曜以降の下げでポンドもユーロも目先の高値をつけ下げへと転換しています(コラム参照)。ユーロドルではそれほど顕著では無いものの年初来高値を連日更新してきたポンドの下げは大きく、高値からの下げは348pips、2.4%強の下げとなっています。ポンドは他の主要通貨に対しても下げが目立ちましたが、これまで欧州通貨買いをリードしてきたポンドの調整は今週もユーロドルの動向に影響を与えやすいと言えます。

他に今週は欧州主要国各PMIの改定値の発表など連日経済指標の発表はありますが、あまり大きな影響を与えそうなものは無く、引き続き米金利と米国株式市場の動きを気にしながらも、ポンドの方向とテクニカルな見方がユーロの動きを形成していくと考えられます。いつものユーロドルの日足チャートをご覧ください。

短期的な高値を見てポンドとともに下げやすい

ここまでの動きを簡単に振り返ると1月高値と2月安値の61.8%戻しは超えたものの78.6%(61.8%の平方根)戻しには若干距離があったのが先週の高値です。2月安値と先週高値の61.8%押しは1.2062と先週安値と一致、次のターゲットは78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.2014です。そして次のターゲットを試すとなればおのずとサポートラインも下抜けることとなりますが、米金利上昇の動きがユーロドルにも出てくると考えればサポート下抜けにつながるでしょう。

いっぽう上値に関しては先週の一時的な上昇を除けば1.21台半ばから後半は依然としてユーロ売りが出やすい水準となっています。今週は1.2010レベルをサポートに1.2150レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はポンドドルとユーロポンドの日足チャートを見てみます。

まずポンドドルです。

今週のコラム

中期的な上昇トレンドはピンクのサポートラインが効いていてまだ続いていますが、短期的な上昇トレンドは青のサポートラインを下抜け2月安値と高値の半値押しの水準まで下げました。現状はピンクのサポートラインにまでは届かないでしょうが、61.8%押しとなる1.3821レベルまでの調整は考えた方が良さそうです。

次にユーロポンド日足です。

今週のコラム 2枚目の画像

こちらは年初からユーロ安・ポンド高の流れが続いていましたが、年初来高値からのレジスタンスライン(ピンク)を上ヒゲとはいえ上抜ける動きとなり、ポンドドル同様に目先のポンド高値(ユーロ安値)をつけた格好となっています。

年初来高値と安値との38.2%戻しとなる0.8747水準を視野に入れた調整が続きやすいチャートと言えるでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

3月1日(月)
17:50 フランス2月製造業PMI
17:55 ドイツ2月製造業PMI
18:00 ユーロ圏2月製造業PMI
18:30 英国2月製造業PMI
22:00 ドイツ2月CPI速報値

3月2日(火)
16:00 ドイツ1月小売売上高
16:00 英国2月住宅価格
17:55 ドイツ2月失業率
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値

3月3日(水)
17:50 フランス2月サービス業PMI
17:55 ドイツ2月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏2月サービス業PMI
18:30 英国2月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏1月PPI

3月4日(木)
17:10 オランダ中銀総裁講演
18:30 英国2月建設業PMI
19:00 ユーロ圏1月失業率、小売売上高

3月5日(金)
16:00 ドイツ1月製造業新規受注
16:45 フランス1月貿易収支
22:30 米国2月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月22日(月)
ユーロドルもドル円同様に米金利の上下に沿ってユーロ売りが先行後にユーロ買い戻しの動きとなり、NY市場では金曜高値を上抜け1.2169レベルへと上昇し、若干押しての引けとなりました。

2月23日(火)
ユーロドルは前日の上昇の動きを欧州市場序盤まで続け1.2180レベルの高値をつけましたが、前週と同じく1.21台後半ではユーロ売りも見られ、海外市場では1.21台半ばを中心としたもみあいのままで方向感がはっきりしない流れが続きました。

2月24日(水)
ユーロドルはドル円でのドル上昇をよそにNY市場が始まるまでは細かく上下しながらもユーロ円の買いに支えられてじり高の動きとなっていました。NY市場朝方には米金利上昇によるユーロ売り・ドル買いの動きが強まったもののパウエルFRB議長が議会証言で前日に続いて緩和継続を強調したため、米金利低下とともにユーロは買い戻しが入りました。

2月25日(木)
ユーロドルはNY市場までは一貫して上昇しましたが、東京市場ではユーロ円の買い、欧州市場では強めの経済指標に反応したユーロ買いの影響が目立ちました。NY昼前には一時1.2243レベルの高値をつけましたが、それ以降は米金利が1.6%を超える上昇となったことによるドル買いに押され東京市場の水準へと押して引けました。

2月26日(金)
ユーロドルは前日NY後場以降の下げを継続し、若干の戻しを挟みながらも着実に下げ欧州市場では24日安値を下抜け、NY市場では週間安値更新と前日までのユーロ買いの動きに対して急速に調整が入りました。月末実需のユーロ売りも出ていた様子で、引けにかけては1.2062レベルの安値をつけ、そのまま安値圏での引けとなりました。

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