トルコリラ円見通し 本日トルコ中銀金融政策決定会合、声明・総裁発言に注目(21/1/21)

20日朝に13.83円まで反落したところは買い戻され、20日夜にはドル安新興国通貨高の流れに乗じて14.01円まで戻り高値を切り上げた。

トルコリラ円見通し 本日トルコ中銀金融政策決定会合、声明・総裁発言に注目(21/1/21)

本日トルコ中銀金融政策決定会合、声明・総裁発言に注目

〇トルコリラ円、20日朝に13.83円まで反落、20日夜に14.01まで戻り高値を切り上げた。
〇20日はバイデン大統領が就任、トランプ前政権による緩い対トルコ外交姿勢に変化が生じる可能性
〇トルコ中銀の金融政策決定会合が21日夜に開催、大統領発言を踏まえ中銀の声明や総裁発言に注目
〇中銀金融政策発表から下落に転じ12/31安値を割り込む場合は三尊天井型完成とし下げ足が早まる可能性
〇13.83以上で推移中は上昇余地あり、14.01超えから14.10円、さらに14.15前後への上昇を想定
〇13.83割れからは下げ再開、18日夕安値13.74円試し、底割れから13.60台後半への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は1月18日夕刻安値13.74円から持ち直しに入り、19日夜高値13.99円から20日朝に13.83円まで反落したところは買い戻され、20日夜にはドル安新興国通貨高の流れに乗じて14.01円まで戻り高値を切り上げた。しかし14円台は維持しきれずにいったん13.90円を割り込むところまで下げている。
1月15日から18日にかけては株安を警戒したリスク回避的なドル高の進行でトルコリラも対ドルで売られたためにトルコリラ円も下げたが、18日夜からはドル安へと流れも変わってきたようだ。20日は夕刻にかけて上昇していたユーロやポンドが深夜に反落する場面もあったが、豪ドルやNZドルが上昇基調を維持、メキシコペソや南アランド等も買われたために全般的なドル安感が回復している。トルコリラ円も資源通貨や新興国通貨高の流れと同調して戻り高値を切り上げてゆきたいところだが、21日夜にはトルコ中銀金融政策決定会合も控えており、14円超えから続伸に入るには時期早々としてやや上値の重い展開で会合へ向かうというところか。

【バイデン政権スタート】

1月20日はバイデン大統領が就任した。1.9兆ドル規模の追加経済政策を掲げ、財務長官として指名しているイエレン元FRB議長も大規模な財政出動姿勢を示しており、景気回復へ向けた期待感からNYダウは前日比257.86ドル高と上昇して史上最高値を更新した。米国長期債の大量発行への警戒感から1月12日にかけては米長期債利回りが急伸してドル高を招く状況もあったが、米長期債利回り上昇も一服しており、株高=リスク選好的なドル安という流れを回復しつつある印象だ。その点ではトルコリラにはプラス要因だが、バイデン氏がかつてエルドアン大統領を独裁者呼ばわりした経緯もあり、トランプ前政権によるやや緩い対トルコ外交姿勢に変化が生じるのではないかとの懸念もあるところだ。

エルドアン大統領は1月20日の与党公正発展党(AKP)会議に向けた演説で、「1000年以上にわたり暮らしているこの大地で獲得してきたあらゆる利益の後ろには多くの人々の労力、強い意志、血がある」、「1000年たっても我々がこの大地にふさわしいと見ることができない人々がいることを知っている」、「強大なトルコの構築を続けていく」と述べており、今後もトルコの中東全般へのプレゼンスを拡張する姿勢を示した。
トルコのカルン大統領府報道官はトランプ米政権のオブライエン米国家安全保障問題担当大統領補佐官と電話会談を行い、オブライエン補佐官の任務引継ぎに関する意見交換を行った。バイデン政権とはこれから対話が始まる。

【金融政策決定会合】

トルコ中銀の金融政策決定会合が21日夜に開催される。11月7日に就任したアーバル中銀総裁は11月19日に10.25%から15.0%へ、12月24日には17.0%へ政策金利を引き上げてきた。また12月24日の中銀声明では「できる限り早期にインフレ見通しリスクを排除し、インフレ期待を抑えディスインフレプロセスを回復させるために強力な金融引き締めを導入した」とし、その後も金融引き締めとインフレ抑制への決意を示してきた。しかしエルドアン大統領が1月15日に「高金利はどこにも行きつかない。本当の課題は利下げによりインフレを抑制することだ」と高金利状態への不満を述べた。
金融引き締めを行わなければトルコリラは再び歴史的暴落に見舞われる可能性もあることを大統領も承知しての2会合連続での利上げが実現したと思われるが、これ以上の利上げについては拒否したい姿勢を露骨に示したものと思われる。大統領発言を踏まえて中銀の声明や総裁発言にスタンスの変化があるのかどうか、今回の会合で注目される。

【三尊型、下降チャンネル】

トルコリラ円は1月7日高値以降、戻り高値を切り下げつつ安値も1月13日昼安値から18日夕安値へと切り下げており、右肩下がりの下降チャンネルを形成している。20日深夜に14円台へ到達したものの下降チャンネルの抵抗線に丁度ぶつかったところから失速している。
もう一つの特徴としては、1月7日高値を中心に12月30日高値と14日深夜高値を両肩とすれば2時間足レベルでの三尊天井型が形成される可能性があるという点だ。三尊完成のためにはネックライン水準となる12月31日安値13.70円を割り込む必要があるが、今のところは回避している。
14円超えから続伸に入り、21日夜の中銀金融政策発表を強気で通過する場合は下降チャンネルから脱却して1月7日高値超えを目指す上昇期に入る可能性が考えられる。逆に中銀金融政策発表から下落に転じて12月31日安値を割り込む場合は三尊天井型完成として下げ足が早まる可能性がある、重要な局面と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月18日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰に入ったとし、高値形成期を14日深夜高値を基準として19日夜から21日深夜にかけての間と想定した。20日深夜へ高値を切り上げてからは小反落しているところだが、21日夜の中銀金融政策発表から上昇なら買い一巡後にいったん調整安に入りやすいとみて上昇後の反落注意とするが、下げたところは押し目買いされやすいと考える。中銀政策発表から下落の場合は下落期入りとみて21日夜から25日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では20日深夜への上昇で先行スパンを上抜いたもののその後の失速で先行スパン転落への余裕も乏しい。先行スパンからの転落を回避するかわずかに割り込んでから回復するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落から続落に入る場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日夕刻高値から20日深夜高値への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるために下落期入りが警戒される。50ポイントを割り込んでも早々に切り返すうちは上昇余地ありとみるが、40ポイント割れからは20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月20日朝安値13.83円を下値支持線、20日深夜高値14.01円を上値抵抗線とする。
(2)13.83円以上での推移中は上昇余地ありとし、14.01円超えからは14.10円、さらに勢いつく場合は14.15前後への上昇を想定する。14.10円以上は反落注意とするが、13.95円以上での推移なら22日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.83円割れからは下げ再開として18日夕安値13.74円試しとし、底割れからは13.60円台後半への下落を想定する。13.70円以下は反発注意とするが、13.83円を割り込んだ後も13.85円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

1月21日
 16:00 1月消費者信頼感指数 (12月 80.1、予想 77.0)
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)
 20:30 週次外貨準備高 1/15時点 (1/8時点 486.8億ドル)
1月25日
 16:00 1月製造業景況感 (12月 106.8、予想 100.9)
 16:00 1月設備稼働率 (12月 75.6%、予想 75.7)

トルコ中銀金融政策決定会合予定 2021年は、1月21日、2月18日、3月18日、以降は未定。


注:ポイント要約は編集部

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