ユーロドル ユーロは売り圧力が強まりやすい(週報1月第2週)

先週のユーロは、週前半はドル安週後半はドル高とドル円同様にドルを中心とした動きとなりました

ユーロドル ユーロは売り圧力が強まりやすい(週報1月第2週)

ユーロは売り圧力が強まりやすい

〇先週のユーロ、週前半はドル安、後半はドル高とドルを中心とした動きに、6日に1.2349の高値をつける
〇ドイツでのロックダウン延長が積極的にユーロを買いにくくしたか
〇ラガルドECB総裁の講演でユーロ水準について言及があるか注意
〇英国とEUの通関手続きによる配送の遅れやコストなどが中小企業を直撃
〇今週は1.2080レベルをサポートに1.2230レベルをレジスタンスとする週と見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週前半はドル安週後半はドル高とドル円同様にドルを中心とした動きとなりましたが、6日にこれまで何度もトライして抜けられなかった1.2310レベルを上抜けると1.2349レベルの高値をつけました。テクニカルには強い地合いを継続しやすかったものの、1.2350よりユーロ高の水準には売りオーダーが見られたことや、その後のドル買いの動きの中でユーロドルも水準を下げ週初の安値を下回っての引けとなりました。

ユーロドルも米金利上昇をドル高と捉える動きに押されてじり安の週後半となりましたが、1.2350より上の水準には売りが並んでいたことや、1.23台では昨年ECB関係者のユーロ高けん制発言も見られたことなどもユーロ買いを続けにくい流れにさせた様子です。また、当初はあまり反応が見られなかったもののドイツでのロックダウン延長といったニュースも積極的にユーロを買いにくい材料と言えます。

また今週は第2週で経済指標等は目立ったものは無いもののラガルドECB総裁の講演があり、念の為ユーロの水準について言及があるかどうかは注意しておきたいところです。また今朝の日経朝刊に英国とEUとの間の物流に関する記事が出ていますが、貿易協定は合意し関税ゼロは続くものの国境が復活し通関手続きによる配送の遅れが出ているようです。このあたりは早めの対応ということも出来ますが、通関書類にかかるコストが企業を直撃し、中小企業は英国にいては勝てないかもしれないという危惧が既に出ている様子です。

こうした通関の問題や貿易以外の分野で単一市場から出ることによるデメリットは昨年時点でも言われてはいたもののあまり問題とされていなかったようですが、長い目で見た場合にデメリットが多いという判断に傾くようであれば、英国側だけでなく欧州にとっても悪材料とされ、ポンド売りだけでなくユーロも連れ安という動きが出てくる可能性があります。昨年は為替市場参加者も合意するかの行方にばかり目を向けていましたが、今後はどこかで現実の問題点に目が向くという動きが出てくるでしょう。

テクニカルにも先週後半の下げから短期的に高値をつけた格好となってきました。日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

12月上旬以降のピンクの平行線で示した上昇チャンネルを金曜終値で下抜けたことで、週明けのアジア市場でも売りが先行してのスタートです。11月安値と先週高値の23.6%押しは既に到達していますので、次のターゲットは38.2%押しの1.2062ということになります。

先週は週前半にドル円以上にユーロドルの上昇が強かったことからユーロ円も水準を切り上げたこともあり、今週はユーロ円の調整が出てくるとドル円の上昇よりもユーロドルの下げが強くなるという展開も考えられます。1.2062まではまだ距離がある感じもしますが、1.2310を抜けた際にショートはほぼ切らされたであろうことを考えると、短期筋が新規売りで入ってくる時には十分に考えられる水準でもあります。

今週はやや下方向に余裕を見て、1.2080レベルをサポートに1.2230レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はポンドドルのチャートを見てみましょう。

今週のコラム

10月下旬以降はピンクのほぼ平行ラインで示した上昇チャンネルの中での推移を続け、いまだこのチャンネルの下限には相当に距離がある状態です。しかし、英国が単一市場から出たデメリットに今後改めて目が向く可能性を考えると、年始4日に目先の高値をつけた可能性が高まってきました。

そこでこの1月4日の高値に対して、それぞれ9月安値、11月安値、12月安値を起点とするフィボナッチリトレースメントを計算すると12月安値との半値押しが1.3418(青のターゲット)、11月安値との38.2%押しが1.3378(赤のターゲット)、9月安値との23.6%押しが1.3460、38.2%押しが1.3310(それぞれ緑のターゲット)となっています。

これらのうち9月安値との23.6%押しから12月安値との半値押しにかけての水準が12月最終週の押し1.3428レベルと重なり、現状は1.34台前半を試しやすい状況にあると見てよいでしょう。ようやく4年がかりのブレグジット問題にカタがついたものの、現実に目を向ける2021年になる可能性には注意が必要でしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月11日(月)
**:** 東京市場休場
23:40 ラガルドECB総裁講演

1月12日(火)
09:01 英国12月小売売上高

1月13日(水)
17:30 フランス中銀総裁講演
18:00 ラガルドECB総裁講演
19:00 ユーロ圏11月鉱工業生産

1月14日(木)
09:01 英国12月住宅価格

1月15日(金)
16:00 英国11月貿易収支、鉱工業生産
16:45 フランス12月CPI
19:00 ユーロ圏11貿易収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月4日(月)
ユーロドルは東京市場ではドル円に追随してのドル売りユーロ買いとなっていましたが、欧州株の強さも手伝って1.2310レベルへと上伸。しかし昨年末から1.2310を3度トライして抜けられなかったことや、ダウの急落から欧州株も下げたことでユーロドルも東京市場の水準に押しての引けとなりました。

1月5日(火)
ユーロドルはドル円同様にドル売りが目立ちユーロが底堅い動きが続きました。NY市場に入りドイツがロックダウンを月末まで延長するとのニュースに一時的な押しは入ったものの、NY昼前には日中高値を更新し引け前には1.2305レベルと最近の高値圏に近づいて引けました。

1月6日(水)
ユーロドルは東京朝方にこれまで抜けられなかった1.2310レベルを上抜けたことから1.2327レベルの高値をつけましたが、利食いも出たことから反落して昼前には1.2275レベルまで押していました。その後は改めてユーロが対ドル、対円で買われ1.2349レベルの高値をつけましたが、NY市場前場のドル買いの動きから1.2265レベルと日中安値を更新、その後のドル売りの動きでは1.2340レベルまで買い戻されると、上下に振れる動きとなりました。

1月7日(木)
ユーロドルも基本的に米金利上昇によるドル買い・ユーロ売りの動きが目立ちました。欧州市場以降はユーロ売りが強まる展開となっていましたが、欧州市場の1.2245レベルが安値となりました。NY市場では米国株高の動きがドル円だけでなくユーロ円の買いにもつながったため、ユーロドルは方向感を失いもみあいのまま引けました。

1月8日(金)
ユーロドルは欧州市場で前日からのポジション調整によるユーロ売り、その後NY市場では雇用統計を受けたユーロ買い(ドル売り)となりましたが、全般的なドル高の動きに押されて1.2193レベルの安値をつけた後に1.22台前半に戻しての週末クローズとなりました。

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