ドル円 新型コロナとワクチン開発への一喜一憂継続(週報11月第3週)

先週のドル/円相場は、ドルが小じっかり。ただ、月曜日にドルは急騰したのちは伸び悩んだ格好で、むしろ頭の重いイメージだった。

ドル円 新型コロナとワクチン開発への一喜一憂継続(週報11月第3週)

新型コロナとワクチン開発への一喜一憂継続

〇先週のドル円、月曜日に105.60台までドル急騰後上げ渋り、週末NYは104.60台に
〇米大統領選、選挙から10日以上経過してなおトランプ氏は敗戦を認めず
〇トルコリラ、対円で一時13.80レベルと10/1以来の高値を記録
〇「ワクチン開発」をめぐる動きを受けた米株の動きに要注意
〇今週はAPEC閣僚会議や同首脳会議、EU首脳会議、G20財務相会議などでの発言に注目
〇今週のドル/円予想レンジ103.20-105.80

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小じっかり。ただ、月曜日にドルは急騰したのちは伸び悩んだ格好で、むしろ頭の重いイメージだった。

前週末は、米大統領選の開票結果で「バイデン氏が過半数獲得」と、勝利がようやく確定するも、トランプ氏は敗北を認めず、法廷闘争の様相をさらに色濃くした格好に。また、英とEUの首脳が電話会談を実施したが、主要懸案での隔たりの大きさを確認して終わったことが明らかになっている。
そうした状況を踏まえ、ドル/円は103.30円前後で取引を開始したのち、スグに週間安値である103.20円を示現。しかし、その後はドルが急反発に転じると105.60円台まで、その日だけでドルは2円を超える急騰をたどっている。同日のNYダウがザラ場ベースで1600ドル以上の暴騰を記録したことなどが好感されていたという。ただ、そののち週末にかけてドルの頭は重く上げ渋り。週末NYは104.60円台と、逆に利益確定売りなどに押されての越週となった。

なお、トルコのエルドアン大統領が同国中銀のウイサル総裁を解任したことに加え、アルバイラク財務相も、健康上の理由で辞任すると表明したものの、それらが逆に好感されトルコリラは週間を通して堅調裡。対円では一時13.80円レベルと、10月1日以来の高値を記録している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米大統領選」と「新型コロナの感染拡大とワクチン開発」について。
前者は、「バイデン氏優勢」とされる状態が続くも勝敗未定のままだった米大統領が、ようやくひとつの決着を見た。当のバイデン氏からは「勝利宣言」も飛び出したが、トランプ氏は頑として敗戦を認めず。そうしたなかCNNが「トランプ氏夫人ら、敗北認めるべきとトランプ氏を説得」と報じるなど、与党共和党内や家族の一部からも「名誉ある撤退」を望む声が伝えられているが、選挙から10日以上経過してなお、トランプ氏の基本的なスタンスに変化はないようだ。

対して後者は、欧米諸国を中心に新型コロナの感染拡大が止まらず。たとえば、米ジョンズ・ホプキンス大学は、「米国における感染者数が9日に累計1000万人の大台を突破した」と発表。世界全体でも同大の調査で5000万人を大きく超えていた。これから本格的な冬が到来するなか、第2波あるいは第3波を懸念する声も少なくない。ただ、その一方、米製薬大手ファイザーが、「新型コロナワクチンの有効性が90%以上に上った」とする暫定的な臨床試験の結果公表するなど、ワクチン開発についての明るい見通しも。金融市場は、楽観と悲観の綱引き商状となっている感を否めない。

<< 今週の見通し >>

米大統領選においてバイデン氏が勝利を収めたものの、いまだトランプ米大統領が敗北を認めないこともあり、宙ぶらりんな状態が続いている。ただ、バイデン氏は菅首相をはじめとするG7首脳すべてと電話会談を実施するなど、政権移譲に向けたスタートを切っており、「外堀」も徐々に埋められつつあるようだ。予断は許さないが、トランプ氏大逆転の可能性は現実問題として極めて低いと言ってよいだろう。
そうしたなか、今週の市場で話題になりそうなのは、前段でも取り上げた「新型コロナの感染拡大とワクチン開発」について。なかでも後者の「ワクチン開発」をめぐる動きを受けた米株の動きには要注意か。新型コロナの感染拡大にもかかわらず、米景気回復期待が強いのは早い段階でのワクチン開発成功が信じられているからこそ。ポジティブな内容の続報などを期待する声も少なくないようだ。

テクニカルに見た場合、6日にドルは下値103.18円を試したのち、先週11日に105.68円という上値を試した感がある。つまり、2.5円幅と若干ワイドではあるが、そのなかでしばらくは次の方向性を探る展開が続く可能性も否定できない。ただ、若干気掛かりなのは、先週末に、目先サポートとみられていた移動平均の21日線(104.80円前後)をNYクローズで下回ってきたこと。そのため、敢えて指摘するならリスクは下向きとの見方も。

材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「法廷闘争の可能性も高まってきた米大統領選」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週の材料としては、11月のNY連銀製造業景況指数や同フィラデルフィア連銀景況指数などの米経済指標が発表されるほか、APEC閣僚会議や同首脳会議、EU首脳会議、G20財務相会議などオンライン形式ではあるものの、重要な会議も相次ぐ。参加者らによる発言には十分な注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、103.20-105.80円。ドル高・円安については、直近高値105.67円を含め、移動平均の90日線が位置する105.70円前後の攻防にまずは注目。超えていけば10月9日以来の106円台も。
対するドル安・円高方向は、先週末のNYクローズでも下回っているが、まだ「しっかり」割り込んだとはいえない21日線をめぐる動きが注視されている。なお、下回ると6日安値103.18円をターゲットとしつつも、104.40-45円や104.10-15円などが目先テクニカルポイントとして意識されそうだ。

新型コロナとワクチン開発への一喜一憂継続

ドル円日足

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