トルコリラ円見通し 対ドルでの最安値更新、対円も28日の急落時安値に迫る(20/10//9)

トルコリラ円は9日未明に13.29円まで下落して9月28日にナゴルノ紛争ぼっ発報道で急落した時の安値13.28円に迫っている。

トルコリラ円見通し 対ドルでの最安値更新、対円も28日の急落時安値に迫る(20/10//9)

トルコリラ円見通し 対ドルでの最安値更新、対円も28日の急落時安値に迫る

〇トルコリラ円、10/9未明13.29まで下落、9/28朝の急落時安値に迫る
〇対ドルではリラ続落、10/8夜に7.94リラをつけ更に市場最安値を更新
〇ロシア製ミサイル配備問題、10/7からのリラ安加速のきっかけか
〇トルコ財務省、25億ドルの5年物ドル建て債発行、欧米からの制裁想定の可能性
〇13.40以下での推移中は下向きとして13.20前後試しを想定、13.20以下は反発注意
〇13.45超えからはいったん戻しに入るとみて13.40台中盤への上昇を想定、13.45以上は反落注意

【概況】

トルコリラ円は9日未明に13.29円まで下落して9月28日にナゴルノ紛争ぼっ発報道で急落した時の安値13.28円に迫っている。28日朝の下落はフラッシュクラッシュ的な下げでもあり、ベンダーによっては13.40円を安値としており、すでに対円での史上最安値更新状態に入っている印象だ。
トルコリラ円は9月24日のトルコ中銀による予想外の大幅利上げを好感して9月25日には14.01円まで上昇してそれまでの史上最安値更新の流れがいったんストップしていた。しかし9月27日に勃発したナゴルノ・カラバフ紛争により28日朝に急落となり中銀利上げによる上昇幅を解消して史上最安値を更新した。紛争報道直後の売り一巡でいったん落ち着き、1日午後には13.80円まで戻して28日の急落分をほぼ解消したが、リラ安基調は変わらないとして反落に転じた。
10月2日の米大統領コロナ感染報道での円高局面で13.47円まで下げてからは13.60円を挟んだ持ち合いに入ったが戻り高値を徐々に切り下げ、7日夕刻には2日午後安値を割り込み、8日はさらに続落となった。

【対ドルで史上最安値更新】

対ドルでのトルコリラは9月29日に7.85リラまで史上最安値を更新した後は新たな安値更新を回避していたが、10月1日午後高値7.61リラから再び下落基調に入り、7日午後に7.86リラまで最安値を更新、8日午前には7.88リラまで続落していたが、8日夜には7.94リラまでさらに最安値を更新した。
10月7日から下げが加速し始めたきっかけは、トルコがロシアのミサイルシステムの試験に着手と報じられたことで欧米によるトルコ批判が一段と強まり新たな制裁への動きへ向かうのではないかとの懸念が強まったことだが、中銀に利上げを余儀なくさせたトルコリラ安基調の背景は外貨準備不足、消費者物価上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態の長期化、コロナ不況による観光収入激減での経常赤字拡大、トルコによる東地中海ガス田探査によるギリシャ・フランスとの対立とEUによる制裁懸念等であったが、そこにナゴルノ紛争による地政学的リスクの拡大が加わり、さらにロシア製ミサイル配備と実用試験開始による欧米からの批判拡大が重なってきている。

【制裁回避でのドル建て起債】

トルコ財務省は25億ドル(約2600億円)の5年物ドル建て債を発行した。国際債券市場での起債は今年2月以来であり、表面利率は6.375%だった。利率が高い状況での発行はリラ安を反映してのものであり、起債を急いだ背景はロシア製ミサイルシステム実用試験開始による欧米からの制裁で起債が難しくなることを想定して先手を打ったためと思われる。またトランプ大統領はトルコに対して批判しつつも制裁等の態度は比較的緩やかな姿勢だったが、今回の米大統領選挙における民主党候補のバイデン氏はトルコのエルドアン大統領を強く批判してきたため、バイデン氏が勝利した場合のトルコへの制裁リスクが高まるとの計算も働いているかもしれない。

東地中海のガス田問題ではトルコとギリシャの両外相が10月8日にスロバキアで外相会談を行い緊張緩和に向けた対話を始めることで一致している。トルコとギリシャは隣国キプロスの北側をトルコ系住民が実質支配して南側のギリシャ系住民との対立状況にあることで対立関係にある。フランスがギリシャを肩入れしていることで10月1〜2日のEU首脳会議ではトルコへの制裁も議論されたが制裁発動は見送られている。
エルドアン政権はナゴルノ紛争でのアゼルバイジャン支持での国際的孤立、ロシア製ミサイル導入問題、ギリシャとの対立問題、リビアやシリアでのロシアとの対立等、国際情勢を巡っては対立と協調が入り混じる外交を続けている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月5日夕刻への上昇で13.67円まで戻したために6日午前時点では2日午後安値と3日早朝安値をダブルボトムとしいったんて戻しに入ったとし、3日早朝安値を割り込まないうちは6日午後から8日午後にかけての間への上昇余地ありとしたが、7日夜の下落で3日早朝安値及び2日午後安値を割り込んだため、8日午前時点では5日夕高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日朝にかけての間への下落を想定した。8日夜の続落から反騰気配が見られないため引き続きボトム形成中とし。強気転換には13.40円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では6日夕刻の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したがその後も両スパンそろっての悪化状態が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、上昇再開は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は8日夜の下落時に20ポイントまで低下したがその後は30ポイント台を中心に推移している。40ポイント以上へ戻せないうちはも一段安余地ありとし、40ポイント超えからはいったん戻しに入る可能性が出てくるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.20円を下値支持線、13.40円を上値抵抗線とする。
(2)13.40円以下での推移中は下向きとして13.20円前後試しを想定する。13.20円以下は反発注意とするが、下げが加速する場合は13.10円前後へ下値目途を引き下げ、先行きは13円割れを目指す可能性があると考える。
(3)13.45円超えからはいったん戻しに入るとみて13.40円台中盤への上昇を想定する。13.45円以上は反落注意とするが、13.40円を超えての推移が続く場合は週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

10月12日
 16:00 7月失業率 (6月 13.4%、予想 15.0%)
 16:00 8月経常収支 (7月 -18.17億ドル、予想 15.00億ドル)
10月13日
 16:00 8月鉱工業生産 前年比 (7月 4.4%)
 16:00 8月小売売上高 前月比 (7月 9.5%)
 16:00 8月小売売上高 前年比 (7月 11.9%)


注:ポイント要約は編集部

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