トルコリラ円見通し 円高の落ち着きにより7.50円挟んだ持ち合いで下げ渋る(22/11/21)

トルコリラ円の11月18日は7.55円から7.50円の取引レンジ、19日早朝の終値は7.52円で前日終値の7.53円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高の落ち着きにより7.50円挟んだ持ち合いで下げ渋る(22/11/21)

トルコリラ円見通し 円高の落ち着きにより7.50円挟んだ持ち合いで下げ渋る

〇トルコリラ円、11/15夜安値7.40まで急落後、ドル円騰落に同調し推移、18日未明7.56まで戻す
〇対ドル、18.61中心として横ばい推移、中銀会合後ドル/トルコリラを主導とした騰落発生の可能性も
〇トルコ中銀会合、金利9.0%まで引き下げ予想、10月提示の利下げサイクル終了を確認できるか注視
〇7.50以上での推移中は上昇余地ありとし、7.56超えからは7.60手前への上昇を想定する
〇7.50割れから下向きとして、7.46前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の11月18日は7.55円から7.50円の取引レンジ、19日早朝の終値は7.52円で前日終値の7.53円からは0.01円の円高リラ安だった。週間では11月11日終値7.47円から0.05円の円安リラ高だった。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた展開を続けているが、ドル円は11月10日の米CPI発表をきっかけとした暴落で直前水準の146円台序盤から暴落商状に見舞われ、11月15日夜の米PPI発表直後には137.67円へ安値を切り下げたが、当面のドル売り材料一巡としてその後は下げ渋り、米長期債利回りが週末にかけて連騰で戻したことに支えられて18日未明に140.74円まで戻した後も140円割れを買われてしっかりしている。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせて11月10日夜に7.87円近辺から15日夜安値7.40円まで大幅下落に見舞われたが、その後はドル円と共に下げ渋りからやや戻し気味の推移に入っており、18日未明に7.56円まで戻した後に7.50円まで下げたところも買い戻されて確りした。

ドル円にとっては米CPI発表から大幅低下した米長期債利回りが11月17日と18日に連騰で戻していることが下支えであり、週明けも米長期債利回りの連騰が続けば当面の安値を出し切ったとしてリバウンドに入り、トルコリラ円も同調して戻り高値の切り上げへ進む可能性があるが、大暴落した後だけにまだ市場心理も積極的な買い攻勢をかけるような勢いを回復できずにいるため、トルコリラ円としてもドル円がもう一段安しかねないリスクを意識しての展開となりやすい状況だ。
今週は11月24日にトルコ中銀政策金利の発表があり利下げ予想で一致しているところだが、久々にドル/トルコリラ動向を主導とした騰落を見せる可能性もあるのではないかと思われる。

【対ドルでは18.60リラ台の安値を試す動き続く】

ドル/トルコリラの11月18日は18.63リラから18.55リラの取引レンジ、19日早朝の終値は18.59リラで前日終値の18.56リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。週間では11月11日終値の18.57リラから0.02リラのドル高リラ安だった。
18.50リラ前後で売られて18.60リラ台の安値を試す持ち合いを続けており、11月4日に18.67リラへ史上最安値を更新した後に11月8日早朝高値18.41リラや11月10日夜高値18.44リラへの上昇で持ち合い放れを試したもののいずれも戻り売りにつかまり元の持ち合い水準へ押し返され、その後は18.61リラを中心値としてわずかながらリラ安基調での膠着した横這い推移が続いている。18.60リラ台中ではトルコ中銀によるスワップ市場でのドル売りリラ買いでブロックされているのではないかとの印象もある。
11月18日は米長期債利回りが前日からの上昇を継続し、ボストン連銀総裁が12月FOMCでの0.75%利上げの可能性を排除しないとした。米CPI発表から続いてきたドル安基調にブレーキがかかったことでドル高リラ安へとややバイアスがかかったものの大きな動きにはならなかった。

【11月24日のトルコ中銀MPC、市場予想は9.0%への利下げで一致】

11月24日にトルコ中銀金融政策委員会(MPC)がある。政策金利は現行の10.5%から9.0%へ引き下げられるとの事前予想で一致している。
高インフレが悪化する中でトルコ中銀は今年1月から7月までは7会合連続で政策金利の週間レポレートを14.0%で据え置いてきた。しかしエルドアン大統領による利下げ要求は収まらず、8月会合では市場予想が現状維持だったところで予想外に13.0%へと利下げを決定した。予想外の利下げによりドルトルコリラは1ドル18リラを超え、9月22日に12.0%へ連続利下げした直後の9月29日にエルドアン大統領は「年末までに政策金利を一桁にすべきとトルコ中銀に提言した」と述べ、10月20日にトルコ中銀は1.5%の利下げで政策金利を10.5%とし、次回11月会合で追加利下げを行って当面の利下げサイクルを終了する旨の声明を出した。

11月24日に予想通りに9.0%へ利下げされたとしても市場はすでに織り込み済のテーマとしてさほど大きな反応を示さないかもしれないが、10月時点に示した当面の利下げサイクルの終了を再確認できるかどうかという点にも注目したい。中銀の政策金利発表を前後してエルドアン大統領が年末から年明けにかけてさらなる利下げを要求するようだと、市場も想定を超える事態として動揺する可能性があるだろう。

【日足は11月11日の陰線レンジ内、60分足では逆三尊だが勢いに欠ける】

【日足は11月11日の陰線レンジ内、60分足では逆三尊だが勢いに欠ける】

トルコリラ円は10月21日高値8.17円をピークとして10月27日にかけて下落したところから下げ渋っていたものの11月10日の米CPIショックによるドル円の暴落により11月15日夜安値7.40円へ大幅下落した。その後は下げ渋っており、60分足で見れば11月15日夜安値を頭、12日早朝安値7.47円と17日夕安値7.46円を両肩とした逆三尊型の推移で二段戻しの様相となっている。しかし18日未明への上昇も勢いは鈍く、大底型の逆三尊というよりも大幅下落一服での二段戻しによる「中段における逆三尊」型という印象だ。
日足チャートでは11月10日から11日へ連続した大陰線の2本目である11月1日の陰線レンジを解消する反騰へ進めないうちは短期的な戻りを試す程度にとどまりかねないところだ。11月14日以降は11月11日の大陰線の下側半分程度のレンジでほぼ横這いの持ち合いであり、持ち合い下放れへ進む可能性もあるところと注意したい。

日足チャートにおける主要な底打ちは概ね3か月から4か月周期で推移している。昨年12月20日底の後は3か月後の3月11日安値で底打ちして4月28日まで戻した。次の安値は8月2日まで4か月半と長引いたものの10月21日高値まで戻していた。この戻りが一巡しての下落期入りとみれば、8月2日安値の次となる安値形成期は11月前半から12月序盤、長引けば12月中後半と想定されるため、既に反騰注意期にあるともいえるもののドル円が大上昇を再開するような勢いを回復できないうちは持ち合い下放れにより8月2日安値を割り込んでゆく時間的な可能性もまだあると認識しておきたい。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.50円を下値支持線、7.56円を上値抵抗線とする。
(2)7.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.56円超えからは7.60円手前への上昇を想定する。7.58円以上は反落注意とするが、7.50円を上回っての推移か、直前高値から0.05円を超える下落が発生しないうちは上昇余地ありとし、ドル円の上昇が勢い付く場合は7.60円超えを目指す可能性もあるとみる。
(3)7.50円割れからは下向きとして7.46円前後への下落を想定する。7.46円割れを回避して7.50円以上へ戻すところからは上昇再開とみるが、7.46円を割り込む場合は11月15日夜安値7.40円を試す下落期入りと考える。また7.50円以下での推移が続く場合や直前安値から0.05円を超える反騰が見られないうちは戻り売り優勢で安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月21日
 17:00 10月 観光客数 前年同月比 (9月 55.84%)
 23:30 10月 中央政府債務 (9月 367.5億リラ)
11月22日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.2)
11月24日
 16:00 11月 製造業景況感 (10月 100.3)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 76.9%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.5%、予想 9.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 11/18時点 グロス (前週 766.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11/18時点 ネット (前週 182.3億ドル)
11月29日
 16:00 10月 貿易収支 (9月 -96.0億ドル)
11月30日
 16:00 7-9月 GDP 前期比 (4-6月 2.1%)
 16:00 7-9月 GDP 前年同期比 (4-6月 7.6%)

注:ポイント要約は編集部

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