トルコリラ週報:『安値圏で一進一退。トルコ中銀会合後に下げ幅拡大の恐れも』(11/19朝)

トルコリラの対円相場は、今週前半にかけて、約3ヵ月ぶり安値となる7.39円(8/16以来の安値圏)まで下落しました(週央以降も安値圏で一進一退)。

トルコリラ週報:『安値圏で一進一退。トルコ中銀会合後に下げ幅拡大の恐れも』(11/19朝)

『安値圏で一進一退。トルコ中銀会合後に下げ幅拡大の恐れも』

〇今週のトルコリラ円週初7.59まで上昇後、同日にイスタンブールでのテロ発生等で7.39まで下落
〇週央以降はレンジ相場継続、7.50近辺で越週
〇テクニカルには主要サポートポイント下側で推移、売りサインも点灯し地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ中銀の追加利下げ観測等売り材料多い
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.35ー7.65

今週のレビュー(11/14−11/18)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.47円で寄り付いた後、(1)米FRBによる利上げペースの鈍化期待や、(2)中国政府によるゼロコロナ対策の緩和発表、(3)上記を背景としたリスク選好ムードが支援材料となり、翌11/15にかけて、週間高値7.59円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)トルコ最大都市イスタンブールで11/13に隣国シリアなどで活動するクルド系武装勢力によるテロが発生したこと(トルコ政府はPKK系の活動家達が資金集めの拠点として北欧を利用していると主張しているため、今回のテロ行為はフィンランドやスウェーデンの早期NATO加盟の逆風となる恐れあり→NATO・トルコ間の関係悪化懸念)や、(5)トルコ10月住宅販売件数(結果▲25.3%、前回▲22.9%、※前年比)の冴えない結果、(6)トルコ9月住宅価格指数(結果+189.19%、前回+184.64%、※前年比)の更なる上昇が重石となり、同日海外時間に、週間安値7.39円(8/16以来、約3ヵ月ぶり安値圏)まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、週央以降はレンジ相場が継続し、本稿執筆時点(日本時間11/19午前2時10分現在)では、7.52円前後で推移しております。

来週の見通し(11/21−11/25)

トルコリラの対円相場は、10/21に記録した約4ヵ月ぶり高値8.17円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約3ヵ月ぶり安値となる7.39円(8/16以来の安値圏)まで下落しました(週央以降も安値圏で一進一退)。ローソク足が主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上下限など)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が点灯していること、早ければ来週中にも強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」が成立する可能性があること(21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロスが条件)等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀はエルドアン大統領の圧力に屈する形で、CPIが約24年ぶり高水準を記録しているにも係わらず、ここまで3会合連続で利下げを実施)や、(2)上記を背景としたトルコリラの実質金利の更なる低下(インフレ加速+政策金利引き下げの組み合わせ)、

(3)トルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する警戒感に加えて、クルド系武装勢力によるトルコでのテロ行為に端を発したNATOとトルコの関係悪化懸念も再燃)、(4)円キャリートレード逆流への警戒感など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/24に発表されるトルコ中銀(TCMB)の金融政策決定会合に注目が集まります。エルドアン大統領は9/28に「年末までに政策金利を1桁台に低下させることを望んでいる」と発言しているため、トルコ中銀はエルドアン大統領の要望通り、来週の会合で150bpの追加利下げを決定し、政策金利を10.50%から9.00%(1桁台)へ引き下げるものと推察されます。この為、週後半にかけては、実質金利低下に伴う構造的なリラ売り圧力に警戒が必要でしょう(米感謝祭中の流動性低下の隙をついたフラッシュクラッシュに要警戒)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.35ー7.65

注:ポイント要約は編集部

『安値圏で一進一退。トルコ中銀会合後に下げ幅拡大の恐れも』

トルコリラ円日足

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