トルコリラ円見通し 円高にリラ安重なり5営業日続落、6月16日安値に迫る(22/7/25)

トルコリラ円の7月22日は7.81円から7.64円の取引レンジ、23日早朝の終値は7.66円で前日終値の7.75円からは0.09円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 円高にリラ安重なり5営業日続落、6月16日安値に迫る(22/7/25)

円高にリラ安重なり5営業日続落、6月16日安値に迫る

〇トルコリラ円、23日早朝終値7.66で前日終値からは0.09円の円高リラ安に
〇トルコリラ円は円高とリラ安の両面から押される展開で5営業日続落、6/16安値7.59に迫る
〇対ドルでもトルコリラの下落基調変わらず、史上最安値である12/20の18.36へ徐々に迫っている
〇7.72を超えた後に7.68を割り込むところからは下げ再開とみる
〇7.64を割り込む場合は7.50台後半を試すとみる、7.57以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の7月22日は7.81円から7.64円の取引レンジ、23日早朝の終値は7.66円で前日終値の7.75円からは0.09円の円高リラ安となった。
ドル円は7月21日の日銀による金融緩和政策維持発表から円安反応となり7月21日夜には138.87円まで戻していたが、米長期債利回り低下によるドル安を背景に7月22日午前の下落で7月19日安値137.37円を割り込み、22日夜には137円割れから売りの連鎖となり135.56円まで急落し、その後も136円を挟んでの下げ渋りにとどまって先週を終えた。一方でドル/トルコリラは7月21日のトルコ中銀による高インフレ深刻化の中での政策金利現状維持によりリラ売りが勢い付いて7月21日には17.75リラへ安値を更新したが、22日も17.77リラへ安値をさらに更新した。このためトルコリラ円は円高とリラ安の両面から押される展開となった。
週間では7月15日終値7.96円から0.30円の円高リラ安。日足チャートでは7月18日から5営業日連続の陰線による下落で6月16日安値7.59円に迫ってきている。

【ドル/トルコリラは12月23日以降の安値を連日更新】

ドル/トルコリラの7月22日は17.77リラから17.64リラの取引レンジ、23日早朝の終値は17.72リラで前日終値の17.71リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
6月24日にトルコ財務省が外貨保有企業に対する国内金融機関による融資制限を行うと発表したことで17.39リラ近辺だったところから6月27日高値15.90リラへ急伸したものの効果は一時的なものにとどまり、その後はほぼ連日のドル高リラ安基調となり、7月11日には6月23日安値を割り込み、7月13日からは終値ベースでの史上最安値更新を再開してきた。
7月22日は夜にかけて為替市場全般がドル安で推移したが、トルコリラの下落基調は変わらず、一時的な高値提示はすぐに戻り売りにつかまった。
週間では7月15日終値17.40リラから0.31リラのドル高リラ安。週足は3週連続の陰線により下落。
日足の終値ベースでは昨年12月17日の16.41リラを6月時点で超えているが、7月22日も終値ベースの最安値更新となった。
取引時間中の史上最安値である12月20日の18.36リラへ徐々に迫っている。

【6月以降の主要なリラ変動材料】

トルコ中銀はエルドアン大統領による低金利が景気拡大をもたらしインフレを抑制するとの持論が強要される状況下に置かれており、インフレ抑制のために利上げすべきとの主張を持つ総裁や副総裁などが相次いで解任されてきた。カブジュオール現総裁も大統領の姿勢に逆らうつもりはなさそうだ。
一方で大統領は付加価値税の大幅減税や最低賃金の大幅引き上げ、リラ建て預金保護や外貨預金への規制等の対策を打ち出してきたが、世界規模で同時進行しているインフレがリラ安によって一層目立つ状況を改善するには至らず、パンデミックからの立ち直りによる経済成長を続けているものの日々インフレとリラ安は悪化を続けている。

6月3日  5月のトルコCPI前年比73.50%に
6月6日  エルドアン大統領、「現政府が利上げすることはない。引き続き利下げしていく」
6月9日  トルコ財務省、国営企業収益連動のリラ建て国内債券発行、クーポンで利回り保証
6月23日 トルコ中銀、6会合連続で政策金利現状維持決定
6月24日 トルコ財務省、外貨保有1500万リラ以上の企業へ新規融資禁止発表、6/24-27へリラ急伸
7月4日  6月のトルコCPI前年比78.62%へ上昇
7月9日  フィッチレーティングス、トルコ格付けを「B+」から「B」に引き下げ、見通しを「ネガティブ」
7月21日 トルコ中銀、7会合連続で政策金利現状維持

【概ね3か月から4か月周期による下落期入りの可能性】

【概ね3か月から4か月周期による下落期入りの可能性】

トルコリラ円は先週の7月18日から7月22日までは5営業日連続の日足陰線で下落した。6月27日高値へ戻した後の下落再開は6月30日から7月7日への6営業日連続陰線で始まっており、3月11日からの上昇が一巡した4月28日高値からの下落時も5月4日から5月12日にかけての7営業日連続陰線で開始しており、現状も4月28日高値からの下落再開時に近い動きと思われる。

日足チャートでは概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルで推移しており、2020年11月6日底以降は4か月目の2021年3月8日、3か月目の同年6月2日、4か月弱の同年9月27日、3か月目の同年12月20日、3か月目の2022年3月11日、3か月目の同年6月16日安値で底打ちしてきた。
7月22日への下落ですでに6月16日安値に対する余裕が乏しいが、6月16日安値を割り込む場合は3か月から4か月周期のサイクルにおける下落局面入りとなり、次のサイクルボトム形成期となる9月中旬から長引く場合は10月前半にかけての間へと安値試しを続けやすくなると思われる。
6月16日安値を割り込む場合、4月28日高値から6月18日安値までの下落幅と同規模なら下値計算値は7.09円、チャート上の目安とすべき安値は昨年12月20日の史上最安値6.17円まで見当たらなくなる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を7.64円、上値抵抗線を7.75円とする。
(2)7.72円から7.75円手前にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいところとし、7.72円を超えた後に7.68円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)7.64円を割り込む場合は7.50円台後半(7.60円から7.55円)を試すとみる。7.57円以下は反騰注意とするが、直前安値から0.10円を超えない範囲の反発にとどまるうちは戻り売り有利の展開での推移とみる。

【当面の主な予定】

7月25日
 16:00 7月 製造業景況感 (6月 106.4)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 77.6%)
7月28日
 16:00 7月 経済信頼感 (6月 93.6)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (6月 42.8%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/22時点
7月29日
 16:00 6月 貿易収支 (5月 -106.1億ドル)
 16:00 6月 観光客数 前年同月比 (5月 308%)
8月1日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI
8月3日
 16:00 7月 消費者物価 前月比 (6月 4.95%)
 16:00 7月 消費者物価 前年同月比 (6月 78.62%)
 16:00 7月 生産者物価 前月比 (6月 6.77%)
 16:00 7月 生産者物価 前年同月比 (6月 138.31%)

注:ポイント要約は編集部

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