トルコリラ円見通し 歴史的円安進行でトルコリラ円は上昇(22/3/28)

トルコリラ円の3月25日は8.27円から8.16円の取引レンジ、26日早朝の終値は8.22円で前日終値の8.24円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 歴史的円安進行でトルコリラ円は上昇(22/3/28)

トルコリラ円見通し 歴史的円安進行でトルコリラ円は上昇

〇トルコリラ円、3/25高値8.27、ドル円大幅上昇と同調
〇対ドル、14リラ台後半で横ばい、情勢膠着でリラ売り落ち着く
〇地政学リスクと原油価格高騰、ロシア及びウクライナとの貿易量大幅低下にも直面
〇次回トルコ物価統計4/4発表予定、高インフレ継続でリラ売り仕掛けられる展開も
〇8.20以上での推移中は上向きとし、8.27超えからは8.30を試すとみる
〇8.20割れからは下向きとし、8.16割れからは8.10前後へ向けた下落期入りとみる

【概況】

トルコリラ円の3月25日は8.27円から8.16円の取引レンジ、26日早朝の終値は8.22円で前日終値の8.24円からは0.02円の円高リラ安だった。
3月25日午前に8.25円を付けて3月10日安値7.76円以降の高値を更新したところから下落に転じ、25日夕刻にこの日の安値となる8.16円まで反落した直後に8.27円まで一時的に急伸する場面も含めて26日早朝にかけては持ち直しの動きとなったが、前日比では若干のマイナスに終わった。
週間では3月18日終値8.03円から0.19円の円安リラ高であり、ウクライナ情勢の悪化を背景としたリラ売りも3月10日安値でひとまず落ち着いて戻しに入り、ドル円が大幅上昇していることに押し上げられて3月11日以降はドル円の歩調と同調した動きとなっている。

【ドル/トルコリラ動向 14リラ台後半で横ばい続く】

ドル/トルコリラの3月25日は14.85リラから14.80リラの取引レンジ、26日早朝の終値は14.83リラで前日終値の14.81リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
週間では3月18日終値の14.79リラからは0.04リラのドル高リラ安だったが、14.80リラを中心値とした膠着的な持ち合いが続いており、3月24日に14.87リラへと安値を若干切り下げているものの14.85リラから14.87リラまでのレンジでは買い戻しが入って底固さを見せている。
ウクライナ情勢を背景としてロシア軍が軍事侵攻を開始したところや欧米によるロシア制裁が一段と強化される局面ではリラ売りが目立ったものの情勢の膠着状態を見ながらリラ売りも落ち着いている。

3月25日に発表された3月のトルコ製造業景況感指数は108.5となり2月の109.8から悪化したが一部では102への低下も予想されているがそれほどの悪化ではなかった。
3月の設備稼働率は77.3%となり2月の76.6%から改善した。

【ウクライナ情勢と原油価格を気にする展開】

ロシアの軍事侵攻から1か月を経過したが、停戦協議はまとまらず欧米等のロシア制裁もエスカレートする中で先の見えない膠着状態が続いている。
トルコとしては外交通商面で関係の深い近隣の戦争であり地政学的リスクの上昇や原油等の急騰による影響にとどまらずに両国との貿易量の低下に直面している。
トルコ中銀のカブジェオール総裁は3月24日に「エネルギー価格高騰による経常収支へのリスクを注視している」と述べたが、エルドアン政権とトルコ中銀は低金利による景気刺激とリラ安による輸出拡大及び観光客招致による観光収入拡大で経常黒字化を目指すという政策姿勢をとってきたものの、ウクライナ戦争勃発以降はロシア向け輸出が半減しウクライナ向け輸出はほぼストップしている。著名大富豪や富裕層がトルコへ避難してきているものの、先行きの観光面での落ち込みも懸念されるところだ。

またNY原油が3月7日に130.50ドルまで急伸してから3月15日安値93.53ドルまで反落したものの既に半値以上を戻して高騰状態を維持していること、穀物輸出国であるウクライナの今春の作付けが大幅に減少する見込みであることなど、世界的なインフレ深刻化への懸念も続く。
次回のトルコ物価統計の発表は4月4日だが、2月の消費者物価が前年比で54.44%、生産者物価は同105.01%の上昇であり、近隣の戦争状態によるモノ不足による高インフレがさらに続くことになると、市場としては利上げ催促的なリラ売りが仕掛けられる展開にもなりかねないところだ。

ロシアのプーチン大統領は3月23日に非友好国に対する天然ガス輸出については代金をルーブル建てで支払うことを求める方針を示した。非友好国は米国、英国、EU加盟国、日本が該当する。ロシア議会エネルギー委員会のザヴァルニー委員長は3月24日に天然ガスの決済手段としてビットコインとゴールドも可能とした。また友好国として中国はルーブルや人民元での決済が可能としており、ロシア制裁に参加していないトルコもリラやルーブル、ビットコインでの取引が可能とされる。

【半年以上の持ち合いで踏みとどまるか、最安値更新へ向かうか試される】

トルコリラ円の週足チャートにおける中期的な底打ちサイクルでは概ね30週から50週の範囲での底打ちを繰り返している。2018年8月13日底以降では、39週目の2019年5月9日、36週目の2020年1月8日、44週目の2020年11月6日、31週目の2021年6月2日、30週目の2021年12月20日に底打ちしている。
昨年12月20日底から12月23日へと急反発してから揺れ返しの下落となり、その後は概ね8円台中心での持ち合い相場が続いている状況といえる。
史上最安値を更新した後のリバウンドないし下げ渋りとしては、2017年4月14日安値29.02円から同年9月15日高値32.42円まで5か月間を戻してから一段安に転じている。2019年5月安値からは取引規制の動きもあって2020年1月まで8か月間の小動きが続いた。また2020年11月6日へと史上最安値を更新してから2021年2月16日高値まで戻したところから三角持ち合いを形成したが、高値から持ち合い下放れの9月末まで7か月近くを小動きで推移した。

現状のトルコリラ円は昨年12月に史上最安値を更新してからの反発をひとまず終えて持ち合いの様相であり、12月23日高値からは3か月を経過したところにある。3月10日安値を割り込めば8円台中心の持ち合いからの転落を再確認することとなり史上最安値を再び試すような下落期入りが考えられるが、3月10日安値からの持ち直しを継続する場合は、7円台後半から9円までの範囲程度に収まる持ち合いでの推移でしばらく時間がかかる可能性が考えられる。

【当面のポイント 3月25日の高安レンジ放れから次の方向を探る】

【当面のポイント 3月25日の高安レンジ放れから次の方向を探る】

トルコリラ円は3月22日の上昇で3月17日高値を超えて一段高に入り3月10日以降のリバウンドを継続している。3月25日午前に反落したところも3月23日夜安値からは底上げをして戻しているためまだ戻り高値を試す流れの範囲にあると思われる。
(1)当面、3月25日安値8.16円を下値支持線、25日の一時的急伸時に付けた高値8.27円を上値抵抗線とする。
(2)8.20円以上での推移中は上向きとし、8.27円超えからは8.30円を試すとみる。8.30円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.23円以上での推移なら3月29日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.20円割れからは下向きとし、8.16円割れからは8.10円前後へ向けた下落期入りとみる。8.12円以下は反騰注意とするが8.20円以下での推移が続くうちは3月29日の日中も下向きとみる。

【当面の主な予定】

3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -102.6億ドル)
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 98.2)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/25時点 (3/10時点 565.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/25時点 (3/10時点 172.0億ドル)
4月01日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.4)
4月04日
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 4.81%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 54.44%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 3.8%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 44.%)
 16:00 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 7.22%)
 16:00 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 105.01%)


注:ポイント要約は編集部

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