ユーロ 今週も安値更新で1.15割れの可能性大(週報11月第2週)

先週のユーロは、米国雇用統計直後には1.1514レベルの安値をつけましたが週末クローズは1.15台半ばへと戻し、大台割れとはなりませんでした。

ユーロ 今週も安値更新で1.15割れの可能性大(週報11月第2週)

今週も安値更新で1.15割れの可能性大

〇先週のユーロドル、米国雇用統計直後に1.1514レベルの安値つけ年初来安値更新
〇その後は米長期債利回り低下からドル売りが目立ち、1.15台半ばに買い戻されて越週
〇長期的には徐々にユーロドルが下げる方向へ動くと考えている参加者は多いまま
〇ポンドの戻り売りが出やすい地合いはユーロドルの上値を抑える要因のひとつに
〇ユーロを売る材料よりドルを買う材料が出ることでユーロドルが売られる可能性が高い
〇今週は1.1480レベルをサポートに、1.1600レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、1.16台前半の上値が重く米国雇用統計直後には年初来安値を更新する1.1514レベルの安値をつけましたが週末クローズは1.15台半ばへと戻し、大台割れとはなりませんでした。ECBは緊急購入枠の縮小は進んでも、その先の通常枠のテーパリングはまだ先のテーマです。テーパリング開始を決定したFRBとの対比から長期的にはユーロドルは売り圧力が加わりやすいのですが、週末には債券市場においてのポジション調整からドル売りが目立ち、買い戻される動きとなりました。

このポジション調整というのもあまり耳にしない表現ですが、3日のFOMCでパウエルFRB議長がタカ派的な発言へと変化すると見込んでいた向きが多かったことから、債券市場でも金利上昇を見込んで債券を売っていたところ、思った以上にハト派寄り発言が出たことで雇用統計も出て週末を前にいったん買い戻した(金利は低下)という動きです。雇用統計後に想定と異なりドル売りの動きとなったことでユーロドルは上昇しましたが、長期的には徐々にユーロドルが下げる方向へと動くと考えている参加者は多いままです。

今週はECB関係者の講演が多く、またユーロ圏とEUの財務相会議も開催されます。しかし、どれを取っても方向感が出てくるほどの材料になるとも思えず、悩ましいところです。今週も基本的にレンジ内でやや上値が重たい展開が予想されますが、先週のもうひとつの注目材料だった英中銀のMPCはやはり現状維持となり、ポンド売りが強まりました。おそらくポンドの戻り売りが出やすい地合いには変化は無さそうですから、ユーロドルの上値を抑える要因のひとつになりそうです。

早速テクニカルに移ります。日足チャートをご覧ください。

今週も安値更新で1.15割れの可能性大

ピンクの太い水平線は昨年安値と今年高値の半値押し1.1492です。また現在の下降チャンネル(ウェッジ)の起点となる10月高値から逆N波動を考えると61.8%エクスパンションが1.1453となっていて、今後1.15の大台を試す時は1.1492あるいは1.1453という水準をターゲットにする可能性が高いと言えるでしょう。

先週の上値の重さから今週あたりこれらのターゲットを試す可能性は十分にあると思いますが、あとはきっかけだけです。ユーロを積極的に売る材料よりもドルを買う材料が出ることでユーロドルが売られる可能性の方が高いように思えますので、やはり米金利上昇につながる材料がきっかけとなるかもしれません。今週はドル円の週報に書いた通りでFRB関係者の講演も多いため。タカ派的な発言が米金利を上昇させ、結果としてユーロドルが1.15の大台を割り込むといったところでしょうか。

かなり思惑が強いイメージですが、今週は1.1480レベルをサポートに、1.1600レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足を見ておきます。

今週も安値更新で1.15割れの可能性大 2枚目の画像

ユーロ円は既に10月の133.47で高値をつけ、その後は反転パターンで下げています。先週安値は10月安値と高値の38.2%押しを達成しましたが、ユーロドルの上値が重く、ドル円も上値が重い現状を考えると、次のターゲットとなる半値押しの130.29レベルを試す可能性を考えています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月8日(月)
**:** NY市場冬時間移行 ☆
22:10 レーンECB理事講演 ☆
**:** ユーロ圏財務相会合

11月9日(火)
09:01 英国10月小売売上高
16:00 ドイツ9月貿易収支
16:45 パネッタECB理事講演、フィンランド中銀総裁講演
19:00 ドイツ11月ZEW景況感 ☆
19:00 ユーロ圏11月ZEW景況感
22:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:00 オランダ中銀総裁講演
25:00 英中銀総裁講演☆、シュナーベルECB理事講演
**:** EU財務相会合

11月10日(水)
16:00 ドイツ10月CPI ☆
18:30 エルダーソンECB理事講演

11月11日(木)
09:01 英国10月住宅価格
16:00 英国7〜9月期GDP速報値 ☆
16:00 英国9月鉱工業生産、9月貿易収支
25:00 シュナーベルECB理事講演

11月12日(金)
19:00 ユーロ圏9月鉱工業生産
22:50 レーンECB理事講演 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月1日(月)
ユーロドルは東京市場ではドル円とともにユーロ円の買いも入ったことから底堅かったものの目立った動きは出ていませんでした。海外市場に入ってからはユーロが対ドル、対円で買いが強まり1.16台に乗せ1.1609レベルの高値を見た後、高値圏での引けとなりました。

11月2日(火)
ユーロドルは1.1600前後の狭いレンジでの取引に終始していました。3日のFOMC、4日の英中銀MPCを控え積極的な取引は手控えられている様子でした。

11月3日(水)
ユーロドルはNY市場までは1.1580前後の狭い値幅でのもみあいが続き、前日も含め50pipsに留まりました。FOMCでは議長会見を受けたドル売りから1.1616レベルまで上昇したものの、英中銀MPCも控えていることから動きは鈍いままでした。

11月4日(木)
ユーロドルは早朝こそユーロ円とともに強い動きとなっていましたが、その後はじり安の展開が続きました。注目の英中銀MPCでは、現状維持の結果となったことで利上げを見込んでいた向きがポンド売りに走り、ユーロドルも連れ安となりましたが、ユーロポンドの買いも目立ち一時的に買い戻しが入った後に再び下げに転じ1.1528レベルの安値をつけましたが、1.15台前半の買いも強く引けにかけては1.15台半ばへと戻しました。

11月5日(金)
ユーロドルは東京市場から欧州市場序盤までは動意薄で動きが見られず、雇用統計前にややドル買い・ユーロ売りの動きが見られました。発表直後はドル買いユーロ売りの動きから1.1513レベルの新安値をつけましたが、1.15のお大台はトライしきれず反騰。ドル売りの動きからユーロドルも買い戻され1.1573レベルの高値をつけて、高値圏での引けとなりました。

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