トルコリラ円見通し 6日ぶりに日足は陽線、12.20円割れを買い戻される(21/10/20)

昨年11月6日に付けた史上最安値12.03円へ迫る流れだったが、対ドルでのリラ安が一服に入ったことで買い戻された。

トルコリラ円見通し 6日ぶりに日足は陽線、12.20円割れを買い戻される(21/10/20)

トルコリラ円見通し 6日ぶりに日足は陽線、12.20円割れを買い戻される

〇トルコリラ円、10/19は12.31から12.15での取引、6日ぶりに日足陽線で12.20割れ買い戻される
〇ドル/トルコリラは9.37から9.22での取引、10/19昼最安値更新するも戻し、9.30挟んだ揉みあい
〇10/21中銀金融政策決定会合、市場予想平均17.50%だが下回る可能性否定できず
〇12.25以上で推移中は上昇余地ありとし、12.31から12.35にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる
〇12.25割れからは下向きとし、12.20割れからは下げ再開に入ったとみる

【概況】

トルコリラ円の10月19日は12.31円から12.15円の取引レンジ、20日早朝の終値は12.28円で前日終値12.23円からは0.05円の円安リラ高となった。10月14日にトルコ中銀の副総裁ら委員3名が解任されたとの報道から大幅下落となり、9月27日安値を割り込んで一段安に入り、10月18日には12.19円まで安値を切り下げて9月1日高値13.32円以降の安値を更新した。10月19日も昼にかけて安値を12.15円まで切り下げて昨年11月6日に付けた史上最安値12.03円へ迫る流れだったが、対ドルでのリラ安が一服に入ったことで買い戻された。夕刻に12.31円まで戻した後は上値が重くなっている。日足は10月12日から18日まで5日連続の陰線引けとなったが、10月21日のトルコ中銀金融政策決定会合も迫ったところで目先は突っ込み警戒感から利益確定優先で買い戻された印象だ。

【対ドルで史上最安値更新から戻す】

ドル/トルコリラの10月19日は9.37リラから9.22リラの取引レンジ、20日早朝の終値は9.29リラで前日終値の9.32リラからは0.03リラのドル安リラ高となった。
9月23日にトルコ中銀が予想外の利下げに踏み切ったことで6月25日安値を割り込んで史上最安値を更新、その後もエルドアン大統領と中銀の金融政策姿勢への不信任感からリラ売りが止まず、10月14日の中銀3委員の解任報道から大幅続落となり10月18日には9.36リラまで最安値を更新してきた。
10月19日は昼に9.37リラまで最安値を更新したところでリラ売り一服となって夕刻に9.22リラまでいったん反騰したが、19日夜には9.32リラまで再び反落して20日早朝にかけては9.30リラを挟んだ揉み合いとなった。

【昨年11月からの反騰、3月後半からの暴落、6月からの持ち直しと下落再開の背景】

トルコリラ円、ドル/トルコリラ共にリラ安一服ではあるが連日の下落の中で前日分の下げ幅を削ったに過ぎない。10月21日のトルコ中銀金融政策決定会合で追加利下げされるのかどうか、また利下げの場合はその下げ幅により今後の展開も左右される。
トルコリラ円は2020年11月6日に12.03円の史上最安値を付けた。ベンダーによっては12円を割り込むレートもあった。そこから持ち直したのはアーバル前総裁就任からの三度の利上げであった。しかしエルドアン大統領は「金利を引き下げれば借り入れコストが下がり物価も下がる」という持論を繰り返し、利上げを続けたアーバル前総裁を今年3月20日に解任した。

2月16日高値15.26円と3月19日高値15.13円がダブル天井型となり、アーバル氏解任報道を反映した3月22日には当日高値15.08円から安値13.33円まで1.7円を超える大暴落となり、リラ売りは6月2日安値12.44円まで続いた。それ以上のリラ暴落を回避しようとしてカブジュオール現総裁は「消費者物価を下回るような政策金利にはしない」ということを繰り返し強調して市場を落ち着かせてきた。当面は利下げもないだろうとしてトルコリラ円は9月1日高値13.32円まで高値を切り上げてきた。
しかし、9月8日にカブジュオール総裁が「政策金利判断には消費者物価指数の全体ではなくコア指数を採用する」旨の発言を行ったことで利下げ懸念が浮上、9月16日に大統領が早期の利下げを要望との報道が流れたこと、9月23日に政策金利が19.0%から18.0%へ引き下げられたことでリラ安が再燃してきた。
9月27日安値12.42円からは下げ一服で12.50円を挟んだ持ち合いとなっていたが、10月8日に大統領は中銀政策に不満と報じられ、10月13日に大統領と中銀総裁が会談、10月14日には副総裁2名と委員1名の3名が突然解任された事で一段安に入り、10月21日の中銀金融政策決定会合を迎える。

【10月21日の中銀金融政策決定会合、市場予想は17.50%への利下げ】

10月20日朝時点の市場予想は17.50%への利下げが予想の中心であり、17.00%から18.00%までの予想レンジとなっている。9月の消費者物価コア指数は前年比17.0%上昇だったため、市場予想平均の17.50%を下回る規模の利下げも可能性は否定できない。またこの間のリラ安に対する警戒感から10月21日の会合では連続利下げを見送る可能性もあるだろう。結果を見てリラ売りが一段と加速するのか、いったん持ち直すのか、市場としても見定めが必要だろうが、年初からのドル円の上昇によるかさ上げ効果でトルコリラ円はまだ史上最安値更新を回避しているにすぎず、対ドル、対ユーロでは最安値を更新していることを踏まえれば、連続利下げの場合は最安値更新から未踏の領域に入ってゆくことも懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月16日早朝への下落で14日早朝安値を割り込んだために18日午前時点では底割れによる弱気サイクル入りとして19日朝から21日朝にかけての間への下落を想定した。19日午前時点ではまだ一段安余地ありとしたが、19日昼安値からの反騰で0.10円以上を戻しているので19日昼安値を直近のサイクルボトムとして反騰入りしたと思われる。15日夜高値を基準として高値形成期は20日夜から22日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、戻りは短命の可能性もあるため12.25円割れからは弱気転換注意とし、12.20円割れからは弱気サイクル入りとして22日午前から26日昼にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月19日昼安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンへ潜り込んできている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とみる。先行スパン上限は抵抗となりやすいとみて先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は19日昼に20ポイントまで低下してから60ポイント台まで戻している。50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとみるが60ポイント台後半は反落注意とし、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.20円を下値支持線、12.35円を上値抵抗線とする。
(2)12.25円以上での推移中は上昇余地ありとみるが、12.31円から12.35円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)12.25円割れからは下向きとし、12.20円割れからは下げ再開に入ったとみて12.15円試し、さらに底割れからは12.10円前後への下落を想定するが、12.10円以下は反騰注意とする。

【当面の主な予定】

10月21日
 16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 79.7)
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合
     週間レポレート (現行 18.0%)
     翌日物貸出金利 (現行 19.50%)
     翌日物借入金利 (現行 16.50%)
     後期流動性貸出金利 (現行 22.50%)
 20:30 外貨準備高 グロス 10/15時点 (10/8時点 853.6億ドル)
     外貨準備高 ネット 10/15時点 (10/8時点 296.1億ドル)
10月25日
 16:00 10月 製造業景況感 (9月 113.4)
 16:00 10月 設備稼働率 (9月 78.1)
10月27日
 16:00  9月 貿易収支 (8月 -42.6億ドル)
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 102.4)
10月28日
 16:00  9月 観光客数 前年同月比 (8月 119.4%)
 20:30  週次 外貨準備高 10/22時点


※ポイント要約は編集部

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