ユーロドルは今週ももみあい
〇先週のユーロ、FOMC直後のドル買いによる下げを除くと動きなし
〇FOMCでの利上げ見通し前倒しにより、ドル買い・ユーロ売り目立つ
〇エバーグランデ破綻懸念によるリスクオフ相場、ユーロドルは売りが先行
〇今週は27日にラガルドECB総裁EU議会証言、10/1にユーロ圏9月製造業PMI発表
〇今週は1.1665レベルをサポートに、1.1785レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、FOMC直後のドル買いによる下げを除くとまったく目立った動きがありませんでした。エバーグランデ問題によるリスクオフもその後のリスクオフの巻き返しもユーロ円の動きとして現れたことからユーロドルの動きを相殺する格好となり、週間レンジは72pipsに留まりドル円が円安に振れたのとは対照的な一週間でした。
金融政策イベントとしては9月のECB理事会でPEPPの購入額を減少させたもののラガルドECB総裁はテーパリングでは無いと明言し、FOMCにおいて11月にテーパリングが決定されることが確実視される中で、ユーロの上値が抑えられやすいという動きがあります。そうした中で実際に米金利の上昇がユーロドルの戻りを弱くしているというのが直近の動きです。
また週末に行われたドイツの総選挙ですが、事前予想通りにSPDが16年ぶりに第1党となりましたが、735議席中206議席に過ぎません。第2党のCDU/CSUが196議席、緑の党が118議席と続きます。いっぽうで、前回選挙で議席を伸ばした極右は議席を減らし、左派も同じく減らしました。SPDとしては大連立でCDU/CSUと組んでも過半数には届かず、仮に緑の党とFDPとの3党連立であれば過半数を超えますが、FDPはおそらく加わらないでしょうし、左派ではやはり過半数に届きません。
メルケル時代に連立で悩んだことがSPD第1党でも繰り返されることとなりそうですが、連立の行方次第ではCDU/CSU中心とした連立もあり得ます。いずれにしても第3党の緑の党、第4党のFDPの意向次第という流れになり、連立が決まるのは当分先でしばらくは材料にしにくいという選挙結果と言えるでしょう。
また今週のイベントは、EU主要国の経済指標やラガルドECB総裁の発言など材料はあるのですが、方向性を決めるほどの材料というわけでも無いことから、当面は8月安値と9月高値とのレンジ内での動きと考えざるを得ず、テクニカルを中心に考えることとなります。
日足チャートをご覧ください。
9月に入ってからはほぼ一貫したユーロ売りとなっていて8月後半の上げをほぼ全て打ち消した値動きです。9月初めの1.19超えの上値の重さも下げに寄与したと言えますが、米金利上昇思惑がストレートにユーロの下げにつながっているとみてよいでしょう。
ここで8月安値と9月高値との半値の位置を考えると、今週は横方向のもみあいを考えるならば、下半分のレンジでのもみあいと見てよさそうです。今週は1.1665レベルをサポートに、1.1785レベルをレジスタンスとする流れを見ておこうと思います。
今週のコラム
今週はユーロ円のチャートを見てみましょう。
ユーロ円は8月安値も9月安値も127.92レベルで止められ、かなりの底堅さを見せました。また上値はピンクのレジスタンスラインで示した水準(現在130.55レベル)が戻り高値の目途です。
ただ、ユーロドルの動きが横方向となるとドル円が円一段安とならないとこのレジスタンスを目途に上がる続けることは困難です。どちらかというとドル円の週報に書いた通りでドル円の上値も限られると見ていますので、130円の大台前後が今週の高値になってくるのではないかと考えています。なお、下値は129円割れには買いが控えている印象です。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月27日(月)
20:45 ラガルドECB総裁EU議会証言 ☆
25:30 スペイン中銀総裁講演
27:00 英中銀総裁講演 ☆
9月28日(火)
15:00 ドイツ10月GFK消費者信頼感 ☆
15:45 フランス9月消費者信頼感
9月29日(水)
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感 ☆
24:45 FRB議長、ECB総裁、日銀総裁、英中銀総裁、講演 ☆
9月30日(木)
15:00 英国4〜6月期GDP改定値
15:45 フランス9月CPI速報値
15:45 フランス8月PPI
16:55 ドイツ9月失業率
18:00 ユーロ圏8月失業率
21:00 ドイツ9月CPI速報値 ☆
10月1日(金)
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI ☆
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI ☆
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏9月CPI速報値 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月20日(月)
月曜はエバーグランデ破綻懸念によるリスクオフ相場となり、ドル円とともにユーロ円も下げたことからユーロドルは売りが先行しました。NY市場では全般的なドル安相場となったことから東京朝方の水準に戻しましたが、値幅も伴わずエバーグランデ問題からは一歩距離を置いたユーロドル相場でした。
9月21日(火)
ユーロドルは前日に続いて蚊帳の外状態で1.17台前半で34pipsのレンジで終日もみあいを続けました。いっぽうユーロ円はドル円のリスクオフの巻き返しの動きに追随し128.70レベルまで上昇しましたが、ドル円に改めて売りが入り128.00レベルまで下げて引けました。
9月22日(水)
FOMCに向けて株式市場が堅調な動きとなり、ドル円とユーロ円がじり高の動きとなり、ユーロドルもその動きに沿ってやや連れ高の動きとなっていました。FOMCでは金利見通しにおいて利上げ見通しが前倒し、かつ2023年末には1%程度の利上げを見込んでいたことからドル高地合いとなりました。特にユーロドルでのドル買い・ユーロ売りが目立ちユーロドルは発表から1時間のレンジがほぼ週間レンジとなりました
9月23日(木)
英中銀MPCに向けてユーロドルは前日の下げに対して調整の買い戻しが続きました。MPCも現状維持とはなったものの、テーパリングを支持するメンバーが前回から一人増え英中銀も11月会合でテーパリング、利上げ思惑が出たことからポンドが上昇。その動きに引っ張られてユーロも上昇することとなりました。
9月24日(金)
ユーロドルは東京市場からじり安となっていたものの、ドル円とともにユーロ円にも買いが入っていたため値幅は伴いませんでした。NY市場に入る前に米金利の上昇によるドル買いがユーロドルにも見られ1.1701レベルの安値をつけ、引けにかけては若干戻して引けました。
ディスクレーマー
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