トルコリラ円見通し 5連騰で13円台回復、今週の米土首脳会談と中銀金融政策に注目(21/6/14)

トルコリラ円は6月7日から5連騰、11日は高値で13.21円へ上昇、終値も13.06円で13円台を回復して終了した。

トルコリラ円見通し 5連騰で13円台回復、今週の米土首脳会談と中銀金融政策に注目(21/6/14)

5連騰で13円台回復、6月14日の米土首脳会談、17日の中銀金融政策に注目集まる

〇先週のトルコリラ円は7日から5連騰、13円台を回復して終了
〇14日にバイデン米大統領とエルドアン大統領が対面では初めて会談する予定
〇トルコの利下げ開始時期は年後半へずれ込むとの見通し、一部通信社が報じる
〇対ドルでは11日に8.25まで反騰、その後ドル全面高で戻り売りとなり8.38で終了
〇11日高値13.21超えからは13.50超を目指す上昇を想定
〇首脳会談の成果が不調で中銀への信認が再び揺らぐ状況なら下落の可能性

【概況】

トルコリラ円は6月7日から5連騰、11日は高値で13.21円へ上昇、終値も13.06円で13円台を回復して終了した。
6月2日早朝にエルドアン大統領による利下げ言及報道から暴落して6月1日終値12.81円から2日朝安値12.44円まで大幅下落となり、売り一巡後に12.82円まで戻したところから6月3日、4日と下落していたが、6月4日安値12.56円からは持ち直しの動きに入り、6月7日から9日にかけてはジリ高の3連騰で推移していた。
6月10日夕刻から急伸して10日は前日比0.21円高の日足大陽線となり、11日もさらに高値を切り上げた。直接のきっかけになる報道等は定かではないが、格付け会社フィッチと金融大手ゴールドマンが揃ってトルコの利下げ開始時期は年後半へずれ込むとの見通しだと一部通信社が報じたことや、外貨準備高が増えたことなどがきっかけとされた。また6月14日にNATO首脳会議に合わせてバイデン米大統領とエルドアン大統領が対面では初めて会談する予定となったことも両国関係の改善へのきっかけになるのではないかと思惑された可能性もあると解釈された。

対ドルでのトルコリラは6月11日に8.25リラまで反騰した。6月2日の大統領による利下げ言及報道から8.77リラまで史上最安値を更新したが、6月4日の下落時には8.74リラにとどまって下げ渋り、9日にかけてはややジリ高で持ち直していたが10日の急騰から11日夕刻へとさらに続伸した。11日夕以降は為替市場でドル全面高への揺れ返しとなったために対ドルでのトルコリラもいったん戻り売りとなって8.38リラで終了、日足は長い上ヒゲを付けている。

【4月2日や4月29日への一時的な反騰レベルを超えるか】

トルコリラ6月2日からの反騰は6月11日高値までの戻り幅は8日間で0.77円であり、4月26日安値から4月29日高値までの3日間での上昇幅0.71円や、3月30日安値から4月2日高値までの4日間で0.83円等と比較すれば今のところは同程度の反騰規模である。
6月11日の日足が陽線ながらも長い上ヒゲを付けていること、6月14日の米土首脳会談への期待感の表れだとすれば期待外れに終われば戻り一巡からの下げ再開に入っても不思議なく、さらに6月17日のトルコ中銀金融政策決定会合で利下げへの意欲を示す動きが見られればリラ売り攻勢も再開される可能性がある。しかし6月14日の首脳会談で関係改善への期待がさらに膨らみ、トルコ中銀も利下げへの慎重姿勢を堅持するならば3月20日の中銀総裁解任と3月30日の副総裁解任騒動で暴落したところからいったん戻した4月2日高値13.84円等を目指す上昇へ向かう可能性も出てくるところだ。

トルコリラ円は2月16日高値15.26円と3月19日高値15.13円をダブル天井として下落期に入ってきた。4月2日や4月29日への一時的な反発は26日移動平均を超えない程度の買い戻しを主体としたものだったが、今回の上昇では26日移動平均を上抜いており、暴落商状一服でトルコリラ円における史上最安値更新を目指す流れをいったん仕切り直しとして上昇基調へ転じる可能性もあるのではないかと思われる。

【日足の一目均衡表・サイクル分析】

【日足の一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円は概ね4か月前後の底打ちサイクルで推移している。短い場合は3か月前後での底打ち、長ければ5か月かかることもあるが、2月16日と3月19日の両高値をダブルトップとして下落期に入ってきたものの、ダブルトップの谷間にある3月8日安値から6月2日安値までは3か月を経過しているので、やや短めにこのサイクルの底打ちとなった可能性がある。このため13円台を維持するか一時的に割り込んでも回復して戻り高値を切り上げてくる場合はこのサイクルの底打ちとみて6月後半から7月中盤にかけての間へ上昇期を継続させる可能性があると考える。ただし、13円台を維持できずに6月14日の米土首脳会談等をきっかけに12.70円割れへ急落する場合はこのサイクルの底打ちにはならずに6月末から7月前半ににかけてサイクルボトム形成へ一段安してゆく可能性が出てくると考える。

日足の一目均衡表では6月11日への上昇で遅行スパンが実線に到達しており13円台維持で推移すれば好転に入る。また先行スパンの下限に到達しているが、先行スパンへ潜り込み始める場合はその上限の13.90円前後へ上値抵抗が切り上がる可能性が出てくると思われる。ただし13円台を維持できずに失速する場合は遅行スパンが再び悪化に入り、先行スパンの下限到達で跳ね返されたとの印象が強まる。12.70円を割り込むと26日基準線や9日転換線を割り込んでくるために下げ再開へ向かう可能性が懸念される。
日足の相対力指数は4月26日安値から6月2日安値への下落期において指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて50ポイントを超えてきているので、50ポイント以上での推移中は上昇継続の可能性ありとみるが、戻りは短命の可能性もあるので40ポイントを割り込む下落発生からは下げ再開と考える。

以上を踏まえて中勢のポイントを示す。
(1)当初、12.70円を下値支持線、6月11日高値13.21円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、13.21円超えからは13.50円超を目指す上昇を想定する。13.50円前後では売りも出やすいとみるが、米土首脳会談や中銀金融政策への反応で勢い付く場合は13.70円超えを目指す可能性も出てくるとみる。
(3)12.70円割れからは下落再開を疑う。特に首脳会談の成果が不調で中銀への信認が再び揺らぐ状況の場合は先週の動きとは真逆の下落となる可能性があるため、当初は12.50円前後試し、さらに12.20円台へと向かうのではないかとみる。

【当面の主な予定】

6月14日
 16:00 4月 経常収支 (3月 ‐33.29億ドル)
6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -169億リラ)
6月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%)
 20:30 週次外貨準備高 6/11時点 (6/4時点 496.4億ドル)
6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 77.3)

※ポイント要約は編集部

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