ドル円 もみあい継続も上値が重たい展開(週報5月第4週)

先週のドル円は一週間のレンジが92銭に留まりましたが、週間レンジが1円未満となったのは3月15日週以来です。

ドル円 もみあい継続も上値が重たい展開(週報5月第4週)

もみあい継続も上値が重たい展開

〇先週のドル円は一週間のレンジが92銭、為替市場が全般に低調
〇今週は市場が冷静であれば米10年債利回りに追随しやすい
〇暗号資産が更に下げればリスクオフの動きから株安、円高となりやすい流れに
〇クロス円に関しては一時的な押しが入っても一貫して円安地合いが続く
〇今週は108.30レベルをサポートに、109.30レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は一週間のレンジが92銭に留まりましたが、週間レンジが1円未満となったのは3月15日週以来です。やや材料が乏しくECBやFRBのテーパリング思惑にも動きは見せず。為替市場が全般に低調だったこともあって市場参加者の注目は仮想通貨(暗号資産)に集まっていたと言えるでしょう。

ビットコインを中心に仮想通貨(暗号資産)の動きは仮想通貨羅針盤の週報に書いた通りなのでここでは簡単に触れるに留めますが、史上最高値からの下げ局面の中で悪材料が目立つ中、中国による規制強化思惑で19日には1日の下げ幅が35%にも達しました。これまで仮想通貨(暗号資産)市場に限らず株式市場でも米国の超緩和と政府による支援金が法人、個人ともにマネーゲームに走らせてきたことを考えると、今後も仮想通貨(暗号資産)でのリスクオフの動きが続くのかが為替市場にも影響を与えてくる可能性があります。

今週は経済指標やイベントもそれほど目立ったものが無く、市場が冷静であれば米金利(10年債利回り)に追随しやすいというこれまでの相関が見られるでしょうし、仮想通貨(暗号資産)に更なる下げが見られるようだと、リスクオフの動きから株安、そして円相場は円高となりやすい流れになりそうです。株式市場は先週の安値から順調に回復してきているものの、仮想通貨(暗号資産)市場は日曜に再び売りが出て来ていますので、本日のNY市場以降の動きには注意が必要でしょう。

ドル円に話を戻すと、対ドルという点では上述した他のアセットクラスの動きによるリスクオフの影響を受けやすいのですが、クロス円に関しては一時的な押しが入っても一貫して円安地合いが続いています。カナダ円や豪ドル円は世界的な経済正常化期待による資源国通貨買い、ユーロ円やポンド円は欧州のワクチン接種進展で早期のテーパリング思惑が円売り材料となっていて、日本でのワクチン接種が高齢者から一般に展開される7月末頃まで、こうしたワクチン格差による円安地合いが続きやすいと言えそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

動きが鈍いので直近の動きにのみ着目してみます。現状は2本のピンクのラインで示した上昇ウェッジの中での動きと見ることが出来ますが、5月に入ってからの狭い値幅を考えるとその半値109.05をもみあいの中心としているという見方でもよさそうです。ただ5月高値からの動きを見ると、上値が重たい動きとなってきているため、あえて言うならばサポートラインを試しやすい地合いという印象です。

サポートラインを試す=ドル安・円高となりますので、引き続きリスクオフに動きを警戒するチャートというところでしょうか。それでも今週もあまり大きな動きは期待できそうも無いのですが、日柄的には6日以降週末にかけて動きが活発化する可能性があります。そしてどちらかというとそのタイミングでのリスクオフを挟んでの巻き返しというシナリオを立てやすく、やや下目線で考えたいと思います。

今週は108.30レベルをサポートに、109.30レベルをレジスタンスとする流れを見ておきますが、108.30レベルを割り込むと一度は108円割れを試す流れになりそうです。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月24日(月)
**:** フランクフルト市場休場
07:45 NZ1〜3月期小売売上高
20:05 黒田日銀総裁講演
22:00 ブレイナードFRB理事講演
23:30 英中銀総裁講演
24:00 (クリーブランド連銀総裁講演)
25:00 アトランタ連銀総裁講演

5月25日(火)
06:30 (カンザスシティ連銀総裁講演)
15:00 ドイツ1〜3月期GDP改定値
17:00 ドイツ5月ifo企業景況感
22:00 フランス中銀総裁講演
22:00 米国3月住宅価格
22:00 米国3月ケースシラー住宅価格
23:00 米国5月消費者信頼感
23:00 米国5月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国4月新築住宅販売
23:00 クオールズFRB副議長議会証言

5月26日(水)
**:** シンガポール市場休場
07:45 NZ4月貿易収支
11:00 NZ中銀政策金利発表
15:45 フランス5月消費者信頼感
23:30 週間原油在庫統計

5月27日(木)
15:00 ドイツ6月GFK消費者信頼感
18:30 南ア4月PPI
21:30 米国1〜3月期GDP改定値
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国4月耐久財受注

5月28日(金)
08:30 本邦5月東京区部CPI
08:30 本邦4月失業率・有効求人倍率
15:00 ドイツ4月輸入物価
15:45 フランス1〜3月期GDP改定値
15:45 フランス5月CPI速報値
15:45 フランス4月PPI
16:00 トルコ4月貿易収支
18:00 ユーロ圏5月消費者信頼感
21:30 米国4月個人所得・消費支出
22:45 米国5月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感
**:** G7

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月17日(月)
週明けの為替市場は全般に鈍い動きとなっていましたが、ECBの早期テーパリング思惑で欧州市場以降はユーロが底堅い動きとなったことから、ドルの上値が重くなり、ドル円も東京早朝の109.50レベルから欧州市場では109.07レベルまで水準を下げました。その後はNYの引けまで安値圏でもみあいのままで引けました。

5月18日(火)
東京市場では全く動かなかったドル円でしたが、欧州市場序盤にECBの債券購入縮小思惑を背景としたユーロ買いに引っ張られてドル安へとシフト。しかし、海外市場では水準を下げたのみで再びもみあいとなり横方向の動きに終始しました。

5月19日(水)
東京市場ではユーロ円をはじめクロス円での円売りが強まり、ドル円も底堅い動きで始まりました。欧州市場では全般的なドル買いの動きとなっていましたが、NY市場に入り株安、ビットコイン急落とリスクオフの動きから一時108.57レベルの安値を付けましたが、引けにかけてはFOMC議事録に一部メンバーによるテーパリング言及があり、下げた分を行って来いでの引けとなりました。

5月20日(木)
ドル円は前日の行って来いの動きでも上値をトライしきれず若干上値が思いスタートを切りました。ドル円、ユーロドルともに米金利の低下の動きに沿って終日ドルがじり安の展開をたどり、NY市場では108.75レベルの安値をつけましたが動きそのものは鈍い印象の1日でした。

5月21日(金)
ドル円は東京前場では動かず、特段目立った材料も無い中で後場には前日のドル売りの動きを再開し欧州市場前場には108.61レベルの安値をつけました。しかし週間安値は試しきれず、その後はユーロドルのドルの動きに沿って買い戻しが入り、NY市場では109.00ワンタッチを高値に勢いが無いままの週末クローズとなりました。

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