トルコリラ円見通し 30日夜に戻り高値を切り上げたが13.40円台では上値も重い(20/12/1)

30日朝には13.16円までいったん反落したものの切り返して30日夜は27日夕刻高値をわずかに超えた。

トルコリラ円見通し 30日夜に戻り高値を切り上げたが13.40円台では上値も重い(20/12/1)

トルコリラ円見通し 30日夜に戻り高値を切り上げたが13.40円台では上値も重い

〇トルコリラ円、11/30夜13.42の高値をつけたが、深夜以降は13.40台を維持できずやや失速気味
〇現状は政策金利利上げ前の水準まで戻しているが、さらに一段高へ進むには新たな押し上げ材料が必要
〇トルコGDP、市場予想を上回る改善、前期比では過去最大級の増加率
〇新型コロナ感染者数公表値に無症状感染者含めて公表、大統領は全国規模での夜間外出禁止令発表
〇13.16以上での推移中は一段高余地ありとし、13.42超えからは13.50前後への上昇を想定
〇13.16割れからは下げ再開と見て13.10、次いで13.00を段階的に試して行く下落を想定

【概況】

トルコリラ円は11月30日夜にかけてのユーロ高ドル安等のドル安進行と、ドル円が20日午前安値から反騰したことを背景に30日夜には13.42円の高値をつけて、11月24日安値で12.92円まで下げた以降の戻り高値を切り上げたが、深夜以降はユーロドル等が失速してドル高感が再燃し、ドル円の上昇も鈍ったことで13.40円台を維持できずにやや失速気味となっている。

11月19日のトルコ中銀大幅利上げにより、利上げ前の13.40円を中心に13.30円から13.50円手前までの持ち合いから上抜けて13.82円まで上昇したが、11月13日高値とほぼ同値までの戻りにとどまり、利上げによる買い一巡後は反落に転じて利上げ前水準を割り込み、24日には13円割れまで大幅下落となった。13円割れに対する突っ込み警戒感と利上げ後の揺れ返しの下落が一巡したことでその後はややジリ高歩調に入り、27日夕刻に13.39円まで上昇してから30日朝には13.16円までいったん反落したものの切り返して30日夜は27日夕刻高値をわずかに超えた。30日発表のトルコ7-9月期GDPが予想を上回ったことが夜への上昇要因だったが、為替市場全般のドル安、ドル高の流れに左右される範囲であり、勢いも続かなかった。
現状は利上げ前の水準まで戻してきているところだが、利上げ効果を解消する一段安となった後のため、利上げ前水準が今度の戻り抵抗となっており、利上げ直後の高値圏へとさらに一段高へ進むには新たな押し上げ材料が欲しいところだ。

【トルコGDP、予想を上回る改善】

トルコの7-9月期GDPは前期比15.6%増となり市場予想の12.5%増を上回った。4-6月期に10.8%減と過去最大の落ち込みとなった処から改善して過去最大級の増加率となった。前年同期比は6.7%で市場予想の4.5%増を上回った。4-6月期の9.9%減から大きく持ち直した。発表後にトルコリラは対円、対ドルで上昇反応を見せた。前年同期比の伸び率は中国を含むG20の中で最大だった。

トルコリラ円見通し 30日夜に戻り高値を切り上げたが13.40円台では上値も重い

4-6月期の大きな落ち込みと7-9月期の急回復は主要国で見られる動きであり、問題は10-12月期、来年1-3月期へ回復基調を継続できるかどうかだが、今後の世界及びトルコの感染拡大とコロナ不況状況が改善傾向を示せるかどうかにかかっている。トルコも第二波の拡大により週末の部分的ロックダウンを再開していること、これまで無症状陽性を感染者情報として公表せずに有症状者だけを感染者としていたことへの批判を受けて11月25日からは無症状を含む陽性者すべての数字を発表し始めており、欧州並みの感染拡大状況が露出したことで今後の観光収入、経済活動停滞への懸念も抱えている。

トルコの10月貿易収支は23.7億ドルの赤字で9月の48.5億ドルの赤字幅からは縮小したが、市場予想の16億ドルの赤字よりも大きかった。季節的には10月から11月にかけては赤字幅が縮小傾向にあるが、2019年1月の19.65億ドルの赤字、2018年11月の6.7億ドルの赤字と比較すれば大きかった。
10月の輸出は前年同月比8.7%増、輸入は同11.4%増となった。コロナショックにより4月には輸出が前年比41.5%減、輸入が25.1%減と大幅に落ち込んだ状況からは改善傾向を示している。

【ロックダウンの強化】

トルコのエルドアン大統領は30日に全国規模での夜間外出禁止令を発表。平日は午後9時から翌朝5時までで、週末は金曜日の午後9時から月曜朝5時までとさらに厳しくなる。
トルコでは11月25日以降、新型コロナウイルスの感染者数公表値に対する批判を受けて、従来は陽性でも無症状者を感染者数に含めていなかったとし、25日以降は無症状感染者の数も公表を始めた。

公表基準が変わったことにより、新規感染者数は有症状で27日が6592人、28日が6714人、29日が6439人、30日は6514人だが、陽性者数は25日が2万8351人、26日が2万9132人、27日が2万9845人、28日が3万103人、29日が2万9281人、30日は3万1219人と急増となっている。第一波のピーク時は4月11日の5138人だった。
患者数(アクティブケース)は24日時点で6万6675人だったが、25日に9万947人、26日に11万6614人、27日に14万2437人、28日は16万8742人、29日は19万3828人、30日は22万0374人と急増している、第一波のピーク時は4月24日の8万575人だった。
感染による死者は27日が177人、28日が182人、29日が185人、30日が188人、第一波のピークである4月19日の127人を大幅に上回る状況が続いている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月24日に13円割れしたところからのジリ高基調が続いているため、24日夕安値から3日半となる30日朝安値を直近のサイクルボトムとする。底割れ回避のうちは12月2日午後から4日夕にかけての間への上昇余地ありとするが、30日朝安値割れからは弱気サイクル入りとして12月3日朝から7日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では30日朝への反落でも先行スパンからの転落を回避しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、両スパンそろって悪化するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は27日夕刻から30日夜への高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるので既に30日夜高値で目先のピークを付けた可能性がある。50ポイントを一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月30日朝安値13.16円を下値支持線、30日夜高値13.42円を上値抵抗線とする。
(2)13.16円以上での推移中は一段高余地ありとし、13.42円超えからは13.50円前後への上昇を想定するが、13.50円以上は反落警戒圏とみる。
(3)13.16円割れからは下げ再開と見て13.10円、次いで13.00円を段階的に試して行く下落を想定する。13.00円以下はいったん買い戻しも入りやすいとみるが、13.20円以下での推移なら安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月1日
 16:00 11月イスタンブール製造業PMI (10月 53.9、予想 52.5)
12月3日
 16:00 11月消費者物価 前月比 (10月 2.13%、予想 0.8%)
 16:00 11月消費者物価 前年同月比 (10月 11.89%、予想 12.4%)
 16:00 11月生産者物価 前月比 (10月 3.55%、予想 1.00%)
 16:00 11月生産者物価 前年同月比 (10月 18.20%、予想 19.5%)
 20:30 週次外貨準備高 11/27時点 (11/20時点 437.1億ドル)
12月10日
 16:00 9月失業率 (8月 13.2%、予想 17.4%)
 20:30 週次外貨準備高 12/4時点
12月11日
 16:00 10月経常収支 (9月 -23.64億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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