トルコリラ円見通し 11月19日夜のトルコ中銀会合、市場の期待に応えるか、リラの命運もかかる(20/11/19)

18日夜には13.31円まで下げて17日夜安値13.35円を若干割り込んでおり、安値もやや切り下がり気味の推移となっている。

トルコリラ円見通し 11月19日夜のトルコ中銀会合、市場の期待に応えるか、リラの命運もかかる(20/11/19)

11月19日夜のトルコ中銀会合、市場の期待に応えるか、リラの命運もかかる

〇トルコリラ円、18日夜に13.31まで下げ切り下がり気味の推移に
〇トルコは新型コロナ感染第一波のピークを越えてることに懸念し今週末から部分的にロックダウンを行う
〇本日のトルコ中銀政策金利発表に対する反応次第では急騰も急落もありえる
〇13.31割れから13.00前後への下落を想定、急落商状なら12.50まで下値目途を下げる
〇急騰反応なら13.82を超えるか試し、高値更新の場合は14円試しへ上値目途を上げる

トルコリラ円は11月6日安値11.99円からの急上昇が11月13日夜高値13.82円で一服、その後はややジリ安基調で戻り高値を切り下げつつ、18日夜には13.31円まで下げて17日夜安値13.35円を若干割り込んでおり、安値もやや切り下がり気味の推移となっている。
11月7日のトルコ中銀総裁更迭、8日の財務相辞任表明と続いた混乱でリラ安がさらに深刻化するとの懸念が強まったものの、財務相交代がトルコの経済金融政策の改善へ向かう可能性もあるとみてリラ売り一辺倒だった流れの反動で急激な買い戻しによるリラ反騰が発生した。11月19日のトルコ中銀金融政策決定会合に対しても、当初は現行の10.25%から12%程度への利上げ予想だったが、15%への利上げに踏み切るのではないかというところへ市場のコンセンサスも上がった。しかしリラが持ち直したことで大胆な利上げを見送るか、アリバイ的な利上げ程度に留まる可能性もあり、果たして市場の期待に応えるのか市場を失望させるのか、重要なイベントとなってきている。

対ドルでのトルコリラも11月6日に8.57リラまで史上最安値を更新してから反騰に転じ、16日午後には7.59リラまで持ち直してきた。その後は中銀会合接近により7.70リラを挟んだ持ち合いで上げ渋りとなり、中銀の政策金利発表待ちとなっている。

市場の不安も増したのだが、財務相に副首相を充てたことで経済財政政策の改革期待へと市場心理も変わり、11月9日からはそれまでのリラ安一辺倒の流れから買い戻しが殺到して急騰商状となった。11月6日夜安値からの上昇率は15%を超えたが、11月19日にはトルコ中銀の金融政策決定会合もあるため、市場の期待に応える利上げへ踏み切るのかどうかを見定めたいとして13日夜からは調整気味の推移となっている。

【円高圧力】

ドル円は11月6日安値103.17円から11日深夜高値105.67円まで急反騰したが、その後はジリ安推移が続いている。9日の急騰は米ファイザー社ワクチン報道によるものだったが、同社ワクチンの超低温管理による輸送保管問題もあり12日からはワクチンの早期実用化による経済活動正常化期待がややトーンダウンしている。18日に同社は20日に緊急使用申請を行うと発表したが市場の反応は鈍かった。
16日の米モデルナ社ワクチン報道ではドル円も一時的に105円台まで戻したがその後に一段安している。モデルナ社ワクチンはファイザー社ワクチンよりも低温管理が容易とされて普及への期待も大きいが、承認申請は年内を目指すものであり、米国及び世界主要国にワクチンが普及するには数か月以上かかるため、それまでに感染爆発が深刻化すれば景気回復は大きく後退しかねないという不安が徐々に強まってきている印象だ。

日本の感染増加数は2千人を超えて過去最高となったが、18日午後に東京の感染増加数が過去最高となったと報じられた直後にドル円は104円を割り込んで一段安しており、感染拡大を懸念しての円高の継続もトルコリラ円にとっては大きな重石となってくると思われる。
トルコも今週末からは全土で部分的なロックダウンを行う。トルコにおける18日の新規感染者数は4215人となり累計は42.5万人を超えた。第一波のピークだった4月11日の5138人増から7月後半には千人を切るところまで抑制が効いていたが、その後は徐々に増加ペースが拡大している。観光客の入国規制を緩めたことも影響しているだろうが、この2週間の増加ペースが加速しており、第一波のピークを超えてゆくことも懸念される。

【ウクライナを巡るロシアとの関係悪化】

東京新聞の報道によれば、クリミア半島をロシアに占領されたウクライナと黒海を挟んで向き合うトルコはトルコ製の無人機をウクライナが導入し、ウクライナでのライセンス生産の動きもあるという。10月16日にエルドアン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領がイスタンブールで会談しており、その際にエルドアン大統領は「ロシアによるクリミア半島併合をトルコは認めない」と述べている。クリミアから追い出されて難民化しているイスラム系民族に対するトルコの支援も行われている。ナゴルノ紛争ではロシア仲介で停戦が実現したが、ロシアとトルコはリビア、シリア等でも対立しつつ、ロシア製ミサイルシステムをトルコが導入したりロシアと共同の天然ガスパイプライン「トルコストリーム」の運用等では協力するなど複雑な関係を保っているが、新たな地政学的リスク問題としてトルコとロシアの関係悪化にも注目しておきたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月10日夕刻安値を押し目底として強気サイクル入りしてきたが、13日夜高値でサイクルトップを付けて下落期に入った。安値形成期は16日午後から18日夕刻にかけての間と想定したが、17日夜安値を18日夜安値で割り込んでいるためにまだ一段安余地が残る。19日夜のトルコ中銀政策金利発表から大きく動くとすれば、強気反応で上昇へ向かうなら18日夜安値ないしは直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして19日夜から20日夜にかけての間への上昇が予想されるが、弱気反応の場合は17日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れからの弱気サイクル入りにより20日夜から24日夜にかけての間への下落が予想される。

60分足の一目均衡表では13日夜以降のジリ安で先行スパンからの転落が続いている。中銀の政策金利発表から大きく動くとみて、強気反応なら遅行スパン好転中の高値試し優先とし、弱気反応なら遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数ではややジリ安の推移が続いているため、50ポイントを超えるところは売られ、30ポイント台序盤は買い戻しが入っている。中銀の政策金利発表に対する反応次第では急騰も急落もあり得るところだ。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)19日夜のトルコ中銀政策金利発表に対する反応次第では急騰も急落もあり得るところ。
(2)18日夜安値13.31円割れからは13.00円前後への下落を想定し、急落商状の場合は12.50円前後まで下値目途を引き下げる。
(3)急騰反応の場合、13日夜高値13.82円を超えるかどうかを試し、超えない場合は買い一巡後の反落を警戒するが、高値更新の場合は14円試しへ上値目途を引き上げる。

【当面の主な経済指標等の予定】

11月19日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 10.25%、予想 12.0%) 
 20:30 週次外貨準備高 11/13時点
11月20日
 16:00 11月消費者信頼感 (10月 81.9)
11月23日
 17:00 10月観光客数 前年比 (9月 -59.4%)
11月24日
 16:00 11月製造業景況感 (10月 108.1)
 16:00 11月設備稼働率 (10月 75.4%)

注:ポイント要約は編集部

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る