トルコリラ円見通し 11月3日夜安値からの下げ渋り続かず最安値更新(20/11/6)

5日早朝からは再びジリ安傾向に陥り、5日深夜に3日夜安値を割り込んで史上最安値を更新、6日早朝には12.215円まで安値を切り下げた。

トルコリラ円見通し 11月3日夜安値からの下げ渋り続かず最安値更新(20/11/6)

トルコリラ円見通し 11月3日夜安値からの下げ渋り続かず最安値更新

〇トルコリラ円、11/5早朝から再びジリ安傾向、11/5深夜に11/3夜安値割り込み史上最安値更新
〇11/5夜ドル全面安の中、トルコリラ円も円高に圧される形でわずかに最安値更新した状況
〇対ドル、11/3以降は新たな安値更新回避
〇米大統領選、トルコに対し批判的なバイデン氏勝利ならリラ売り圧力強まるか
〇12.35以下での推移中は一段安警戒、12.20割れからは12.10、12.00を段階的に試す下落を想定
〇12.35前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.35超えからは12.47手前を試すとみる

【概況】

トルコリラ円は10月22日のトルコ中銀による利上げ見送りから連日の史上最安値更新を続けてきたが、11月3日夜に12.218円まで下げたところからはいったん買い戻されて下げ渋りの持ち合いを形成していた。だが4日午後に12.47円まで戻した後は戻り高値切り上げへ進めずに5日早朝からは再びジリ安傾向に陥り、5日深夜に3日夜安値を割り込んで史上最安値を更新、6日早朝には12.215円まで安値を切り下げた。
対ドルでは3日夜に8.53リラまで最安値を更新してからは新たな安値更新を回避しているのだが、5日夜は為替市場がドル全面安となる中でドル円が9月21日安値を割り込んで103円台中盤へ一段安となったため、トルコリラ円も円高に圧される形でわずかながら最安値を更新した状況だ。ベンダーによっては12.18円まで最安値は切り下がっている。

【バイデン政権誕生ならリラ売り圧力強まるか】

11月4日朝はバイデン氏有利報道でドル円が下落、ユーロドルやポンドドル、豪ドル米ドル等が一斉に上昇した。メキシコペソも対ドルでドル円に近い動き方でドル安ペソ高となったが、トランプ氏の巻き返しと勝利の可能性が伝わるとドル円が105円超えへ急伸したようにメキシコペソは対ドルで急落した。その後にバイデン氏が勝ちそうだとなるとドル円が下落、メキシコペソも対ドルで上昇に転じた。南アランドもほぼ同じ動き方をしており、トランプ勝利なら米国第一主義の継続強化で新興国通貨売り、バイデン勝利なら米国の強硬姿勢緩和で新興国通貨買いという印象だった。
しかしトルコリラはバイデン勝利の可能性が強まってドル円が下落した際にドル安リラ高反応が多少は見られたものの動きは限定的なものにとどまりドル高一服ではあったもののリラ安基調の範囲での持ち合いにとどまった。やはりバイデン氏による過去のエルドアン大統領への強烈な批判姿勢が意識されているのだろうと思われる。

バイデン氏は2019年12月のニューヨーク・タイムズ紙インタビューで「エルドアン大統領は独裁者だ。私のトルコへの安心感は大きく低下している。我々が行わなければならないのはエルドアンに対し、これまでとは大きく異なるアプローチを採ること、米国はトルコ野党のリーダーの支持を明確にし、クーデタではなく選挙によってエルドアンを打ち負かすことである」と述べている。

トルコ政府は10月に表面利率6.375%で25億ドルの5年債を公募した。米大統領選でトルコに批判的なバイデン氏が勝利する可能性が高まって来たことを警戒して、メキシコ等の新興国による起債クーポンよりもかなり高い利率だったことはバイデン政権誕生前の資金集めに動いたという印象だった。
米大統領選挙の決着にはまだ時間がかかると思われるが、バイデン政権誕生ならこれまでのトランプ政権よりも強い批判的姿勢を採ることも考えられる。トルコはナゴルノ紛争への介入、東地中海でのガス田探査強行によるギリシャ・EUとの対立、ロシア製ミサイルシステム導入によるNATO内の批判、シリア内戦等で欧米と対立している。これらに対する制裁への動きもバイデン政権誕生なら警戒されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月3日夜安値で直近のサイクルボトムを付けたが、その後は下げ渋り持ち合いにとどまり最安値更新を再開し始めたため、4日午後高値をサイクルトップとして下落期に入っていると思われる。新たな安値形成期は6日夜から10日夜にかけての間と想定されるのでさらに安値試しを続けやすいと思われる。強気転換には12.40円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では5日午前の下落で先行スパンから転落し、遅行スパンも悪化した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とみる。先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に再び悪化するところから下げ再開とみる。強気転換には先行スパンを上抜き返す上昇が必要と思われる。

60分足の相対力指数は11月3日夜安値から6日未明への安値更新に対して指数のボトムが切り上がっているのが、50ポイントに届かない程度にとどまっているのでまだ一段安余地が残る。50ポイント前後を抵抗とし、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント割れを試すのではないかと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.20円を下値支持線、12.35円を上値抵抗線とする。
(2)12.35円以下での推移中は一段安警戒とし、12.20円割れからは12.10円、12.00円を段階的に試す下落を想定する。12.10円前後はいったん買い戻しも入りやすいとみるが、12.35円以下での推移が続くうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.35円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.35円超えからは4日午後高値12.47円手前を試すとみる。12.40円以上は反落警戒とし、その後の12.30円割れからは下げ再開とみる。


【当面の主な経済指標等の予定】

11月10日
 16:00 8月失業率 (7月 13.4%、予想 13.8%)
11月11日
 16:00 9月経常収支 (8月 -46.3億ドル)
11月12日
 16:00 週次外貨準備高
11月13日
 16:00 9月鉱工業生産 前年比 (8月 10.4%、予想 7.2%)
 16:00 9月小売売上高 前年比 (8月 5.8%、予想 3.6%)


注:ポイント要約は編集部

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