トルコリラ円見通し 11月3日夜安値以降は下げ渋りだが上値も重く最安値圏持ち合いに留まる(20/11/5)

4日午前に12.26円まで反落するも新たな安値更新を回避し、4日午後には12.47円まで戻り高値を切り上げ、その後にまた12.30円を割り込む揉み合いとなっている。

トルコリラ円見通し 11月3日夜安値以降は下げ渋りだが上値も重く最安値圏持ち合いに留まる(20/11/5)

11月3日夜安値以降は下げ渋りだが上値も重く最安値圏持ち合いに留まる

〇トルコリラ円、4日午前に12.26まで反落するも安値更新を回避し午後には12.47まで切り上げた
〇対ドルでは3日まで大幅下落が続くも4日夜に8.36リラまで上昇、その後は8.40リラを挟み横ばいで推移
〇バイデン氏勝利の場合、トルコに対し批判姿勢がかなり強い為、トルコへの制裁圧力を高める可能性も
〇4日に北キプロス・トルコ共和国とキプロス共和国が初めて非公式会談を行った
〇12.47を超える場合は12.53前後への上昇余地あり
〇12.21割れから12.20、12.00を段階的に試す流れ

【概況】

トルコリラ円は10月22日のトルコ中銀による利上げ見送りから急落となりその後は連日にわたる史上最安値更新を続けて11月3日夜には12.21円まで安値を切り下げてきた。しかし3日夜安値からはいった買い戻しの動きに入り、4日早朝に12.45円まで戻してから4日午前に12.26円まで反落するも新たな安値更新を回避し、4日午後には12.47円まで戻り高値を切り上げ、その後にまた12.30円を割り込む揉み合いとなっている。12.40円台では戻り売りにつかまるが12.30円割れでは買い戻しも見られる。
特段にトルコリラを持ち上げる材料には欠けるところだが、米大統領選挙情勢で為替市場全般が方向感が定まらずに乱高下する中でトルコリラへの売り圧力も一服となったと思われる。ただ上値も重く、持ち合い程度に留まる現状からは持ち合い下放れへ向かいやすい状況が続いている印象だ。

【対ドルでの最安値更新一服】

対ドルでのトルコリラは11月3日夜まで大幅下落が続いて8.53リラまで最安値を更新してきたが、その後は下げ一服で新たな安値更新を回避している。4日夜には8.36リラまで上昇する場面もあり、その後は8.40リラを挟んで横ばいの推移となっている。
米大統領選挙ではバイデン氏有利報道からトランプ氏逆転勝利の可能性が高まったとの報道に替わり、5日朝ではバイデン氏勝利の可能性が再び高まっている。

トルコにとってはトランプ政権による米国第一主義での鉄鋼・アルミ関税等の導入によるトルコとの通商摩擦や、ロシア製ミサイル導入等によるトルコ批判等で対立はしてきたが、同じような強権的な大統領同士でありながらトルコへの攻撃的な制裁に対してトランプ大統領は消極的な対応に終始してきたことで関係悪化には歯止めがかかってきた。しかしバイデン氏はトルコへの批判姿勢がかなり強いため、トルコの抱える地政学的リスク問題において、トルコへの制裁圧力を高める可能性もあるのではないかとトルコ側は警戒している。先にトルコがドル建て外債を発行したのもバイデン政権発足前に資金集めを急いだためではないかとの憶測も呼んだ。
これらを踏まえて米大統領選挙結果が確定した後のドル/トルコリラの動きに注意がいるが、バイデン氏勝利でリスク選好感が強まる中でドル全面安となればドル円での円高圧力もかかり、トルコリラ円にとっても円高が圧迫要因になってくるケースも考えられる。

【南北キプロスが初の首脳会談】

11月4日、北キプロス・トルコ共和国のエルシン・タタル大統領とキプロス共和国のニコス・アナスタシアディス大統領が初めて非公式会談を行った。両国の緩衝地帯にあるエリザベス・スペハー国連事務総長キプロス島担当特使の官邸で凡そ2時間行われた。協議内容については明らかにされていない。
キプロス島はアッシリア時代、エジプト王朝時代、ローマ帝国時代、ペルシャ朝やオスマン帝国時代、英国占領時代等、歴史の中で所属も変遷してきたが、現時点では北側をトルコ軍が制圧して北キプロス・トルコ共和国を名乗り(国連の承認はトルコ1国だけ)、南側はギリシャ軍駐留によりキプロス共和国を名乗り国際的な承認を得ている。英国の飛び地的な軍事基地もある。北キプロス・トルコ共和国では10月18日の大統領選挙でトルコ寄りのタタル大統領が勝利して10月23日に就任している。
ギリシャ沖の東地中海ではトルコが海底ガス田探査を軍帯同で強行してギリシャ及びキプロスとの対立が深刻化してきたが、10月30日に発生したトルコ西のエーゲ海大地震により、トルコとギリシャ双方が電話会談で弔意を示す等、融和姿勢も見られるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月3日夜安値からの反発から安値更新が一服しているため、10月28日夜安値から4日目の11月3日夜安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。底割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、三角持ち合いの様相でもあり既に4日午後高値でサイクルトップを付けて下落期に入りつつあるところと思われる。3日夜安値を割り込むところからは新たな下落期入りとみて6日夜から10日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3日夜安値からの下げ一服的な持ち合いにより遅行スパン及び先行スパンは実線と交錯しているところだ。4日午後高値を上抜く場合は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、3日夜安値割れからは最安値更新再開に入るため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3日夜安値以降は揉み合いで50ポイントを挟んで方向感に乏しい。40ポイント以上での推移中は60ポイント台への上昇余地ありとみるが、40ポイント割れからは下げ再開と一段安入りを警戒する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月3日夜安値12.21円を下値支持線、4日午後高値12.47円を上値抵抗線とする。
(2)4日午後高値を超える場合は12.53円前後への上昇余地ありとみるが12.50円以上は反落警戒とし、その後の12.35円割れからは下げ再開とみる。
(3)3日夜安値割れからは12.10円、12.00円を段階的に試す流れとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

11月5日
 20:30 週次外貨準備高 (10/16 428億ドル) 
11月10日
 16:00 8月失業率 (7月 13.4%、予想 13.8%)
11月11日
 16:00 9月経常収支 (8月 -46.3億ドル)
11月12日
 16:00 週次外貨準備高
11月13日
 16:00 9月鉱工業生産 前年比 (8月 10.4%、予想 7.2%)
 16:00 9月小売売上高 前年比 (8月 5.8%、予想 3.6%)
11月19日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 10.25%、予想 12.0%)

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