ユーロは続落の可能性大(週報11月第1週)

1.1550レベルを下値の目途と考え、1.1700レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ユーロは続落の可能性大(週報11月第1週)

ユーロは続落の可能性大

〇欧州主要国でロックダウンがされていることもあり、ECB理事会では12月の追加緩和を示唆
〇新型コロナの感染状況は悪化、欧州の金融市場では欧州売りで株安、ユーロ安の動き続くか
〇今週のユーロドルは1.1550レベルを下値の目途に1.1700レベルをレジスタンスとする流れ
〇今週のユーロ円は欧州懸念によるユーロ下げと株式市場の上値の重さから121円割れに警戒

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、フランスで10月30日から全土で再ロックダウン、ドイツでも11月2日から部分的なロックダウンが発表され、その後も英国(イングランド)で11月5日からロックダウンと欧州主要国で軒並みロックダウンに逆戻りという最悪の展開をしていることから10〜12月期の欧州景気再後退懸念によるユーロ売りが広がりました。

フランスの全土ロックダウンが10月28日に発表されたこともあって翌日のECB理事会では景気見通しが悪化していることから12月理事会の追加緩和を示唆するとともに、必要に応じて緊急理事会を開催する用意がいつでもあるとしました。欧州主要国の約1か月のロックダウン実施は欧州景気を急速に減速させることは間違いないところですし、ECBは10〜12月期はマイナス成長になるかはわからないとはしたものの想定シナリオには入っているようです。

ロックダウン実施後のECB理事会は12月10日に予定されていますので、影響を見極めるならば予定通りでしょうが、ロックダウン中に明確に悪影響が見られ、さらにその後の景気にも大きな影響が出ると予想される場合には11月中にも緊急会合が開かれるでしょうし、各国政府もロックダウンによる休業補償だけでなく追加の財政出動に動くこととなるでしょう。予想されたこととはいえ、経済活動の再開が各国で大きな懸念となっていることから、ワクチンが完成し広く接種が行われるまでは楽観的ではいられないことを改めて感じさせられたと言えます。

参考までに全土でロックダウンを実施しているフランスの新型コロナ感染者数の推移を見ると以下のようになっています。

ユーロは続落の可能性大

上段は累計感染者、下段は日によって検査数のばらつきがあるため、1日あたりの感染者数の7日移動平均を示しました。既に1日あたりの感染者が10万人を超えているとの推計もありますが、春のピークがかなり小さく感じられるくらい現在の状況は深刻ということです。フランス以外の主要国でもかなり状況は悪化していますので、今後ECB理事会や各国政府の対応に関係なく短期的には欧州の金融市場は欧州売りで株安、ユーロ安という動きが続くと考えざるを得ないでしょう。

テクニカルにも見てみます。日足チャートをご覧ください。

ユーロは続落の可能性大 2枚目の画像

あまり美しいパターンでは無いものの10月の上昇チャンネル(ピンク)を下抜けてきたことで、9月の安値(ネックライン、紫の点線)を下抜ける動きとなると3か月以上に渡る反転パターンを形成することとなり、ネックラインの高さをネックラインから引くと1.12台半ばがターゲットという可能性も出てきます。

そうした意味で9月安値まであまり距離はありませんが、ここを下抜ける動きにはテクニカルに要警戒と見ておいた方が良いでしょう。さすがに一気に1.12台まで行くことはありませんが、目立ったサポートが無いだけに、年初来安値と年初来高値の38.2%押し1.1487に近い大台1.15という水準は今後話に出てくるようになるかと見ています。

今週は徐々に1.15の大台に進む流れを考え、9月高値を起点とした逆N波動のターゲットに近い1.1550レベルを下値の目途と考え、1.1700レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足チャートを見ます。

ユーロは続落の可能性大 3枚目の画像

先週示した三角もちあいは下抜けすることとなりました。ユーロの弱さがユーロ円にも見られますが、テクニカルには既に年初来安値と年初来高値の38.2%押しも下抜けています。

次のターゲットは半値押しの120.75となりますが、欧州懸念によるユーロの下げと株式市場の上値の重さからドル円の下げが同時に起きる可能性も高いため、今週は121円割れに警戒しておきましょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

11月2日(月)
**:** 米国冬時間開始
17:50 フランス10月製造業PMI
17:55 ドイツ10月製造業PMI
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI
18:30 英国10月製造業PMI

11月3日(火)
**:** 米国大統領選投票日
**:** ユーロ圏財務相会合

11月4日(水)
**:** 米国大統領選開票速報
17:50 フランス10月サービス業PMI
17:55 ドイツ10月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏10月サービス業PMI
18:30 英国10月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏9月PPI
**:** 英中銀MPC(〜5日)
**:** EU財務相会合

11月5日(木)
16:00 ドイツ9月製造業新規受注
18:30 英国10月建設業PMI
19:00 ユーロ圏8月小売売上高
21:00 英中銀MPC結果発表
21:30 英中銀総裁会見
28:00 FOMC結果発表
28:30 パウエルFRB議長会見

11月6日(金)
16:00 ドイツ9月鉱工業生産
16:45 フランス9月貿易収支
22:30 米国10月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月26日(月)
ユーロドルは前週末に上げた調整から売りが先行してスタートしましたが、欧州市場に入り発表された経済指標も弱く一段安。しかし、海外市場では1.1800に大口のユーロ買いオーダーがあったようで、安値は1.1803レベルで止められ安値圏で膠着したまま引けました。

10月27日(火)
ユーロドルは、NY市場前場までは上下を繰り返し方向感がはっきりしない展開となっていましたが、ダウが続落する動きからユーロ円に売りが入ったこと、また欧州全土に広がる新型コロナ感染者急増の第二波から多くの国で部分的なロックダウンが実施される懸念が広がったことによるユーロ売りが重なってNYの引けは1.18割れとなりました。

10月28日(水)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍かったものの欧州市場に入ると新型コロナ感染拡大によるロックダウンを警戒する動きから欧州株安、ユーロ安の動きが続きました。NY市場の朝方には1.1718レベルの安値をつけましたが、EUと英国との協議進展による早期合意期待からポンドとともに買い戻しも入りました。その後フランス全土でのロックダウン実施が発表されましたが、予想されていた対応と取られ発表後のユーロ売りは特に見られませんでした。

10月29日(木)
ユーロドルは東京市場では全く動かず、欧州市場に入ると主要国のロックダウンによる景気悪化懸念を材料としたユーロ売りが繰り返されました。ECB理事会では現状維持となったものの12月の追加緩和、もしくはそれ以前の緊急対応という方針が示されたことでユーロドルはユーロ売りで反応し、1.1650レベルまで下値を広げ若干買い戻されて引けました。

10月30日(金)
ユーロドルは、NY市場まではもみあいで動かず、NY朝方に一時的に対ドル、対円で買いが先行したもののすぐに反落。欧州主要国で再ロックダウン実施が続く中で欧州景気に対する先行き懸念から安値を1.1639レベルと前日安値を下回り、そのまま安値引けの週末となりました。

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