ドル円見通し リスク回避でドルストレートではドル買い戻しの一方、クロス円は円高(20/10/28)

ドル円は10月26日夜に105.05円まで上昇後、105円台を維持しきれず下落に転じ、27日深夜には104.38円まで下げて21日安値104.34円に迫った。

ドル円見通し リスク回避でドルストレートではドル買い戻しの一方、クロス円は円高(20/10/28)

リスク回避でドルストレートではドル買い戻しの一方、クロス円は円高

〇ドル円、27日深夜に104.38まで下げる
〇NYダウ前日比222.19ドル安、23日から3日間続落
〇先行き不安で安全資産として債券買われ、米長期債利回り低下
〇経済指標は概ね良好だったが、大統領選挙前情勢でダウ反騰のきっかけにならず
〇21日夜安値104.34割れからは104円前後への下落を想定
〇104.70超えからは105円手前を試す上昇を想定、104.80円台から105円手前は戻り売り注意

【概況】

ドル円は10月26日夜に105.05円まで上昇、21日に急落して以来の105円台到達となったが、105円台を維持しきれずに下落に転じ、27日深夜には104.38円まで下げて21日安値104.34円に迫った。
欧米の感染拡大、11月3日の米大統領選挙まで1週間を切り米与野党による追加経済対策の合意に至らず、日銀やECBの金融政策決定会合も控える中で金融市場全般が慎重姿勢、リスク回避的な動きへ向かっている。
為替市場では株安によるリスク回避でドルストレートではドルの買い戻しが進行し、ユーロドルは23日午前安値を割り込む一段安に入った。豪ドル米ドルも23日夕高値以降は新たな高値更新へ進めずに持ち合いだが27日深夜からは軟調推移、ポンド/ドルも持ち合い範囲だが深夜からは下落した。
一方でクロス円はユーロ円が23日安値を割り込む一段安、豪ドル円も23日昼安値割れには至っていないが74円台序盤から75円手前の持ち合いの下限に迫っている。ポンド円も21日深夜高値以降の安値を更新しており全面安の様相だ。

【NYダウはダブル天井気配、長期債利回り低下、VIX指数上昇】

10月27日のNYダウは前日比222.19ドル安となり26日の650.19ドル安から続落した。23日から3日間続落でありこの間で凡そ900ドルを下げているが、9月3日高値と10月12日の戻り高値がダブルトップ気配となっている。先行き不透明感が強まっていることを反映していると思われるが、3月のコロナショック暴落を大規模な金融緩和の開始を背景に切り返してきたものの欧米の感染拡大が第一波を超える規模となってきたことで3月暴落を解消したところからさらに一段高へ進むことにはブレーキがかかったと思われる。

株安からの逃避先として債券が買われており、米10年債利回りは前日比0.03%低下の0.77%へ下げた。30年債利回りも0.03%低下の1.56%となった。金融緩和による国債大量発行による需給緩和見通しがバイデン氏有利の情勢でさらに強まったことが先週までの債券安・長期債利回り上昇につながっていたが、今週はそれよりも先行き不安での安全資産としての買い意欲が勝って利回り低下につながっていると思われる。またVIX恐怖指数は33.77まで上昇して9月3日以来の高値水準まで上昇しているが、金融市場全般の不安心理を反映している。これらがドルストレートでのドル買い戻し、クロス円での円買い戻しを強めているが、ドル円においてはドル高圧力よりも円高が勝り始めたようだ。

米商務省が発表した9月の耐久財受注は前月比1.9%増となり市場予想の0.5%増を上回って5か月連続でプラスに、設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財受注も1.0%増で市場予想の0.5%増を上回った。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの8月ケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前年比5.2%上昇となり市場予想の4.2%上昇を上回った。また前月比は0.5%上昇で市場予想と一致した。米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した8月の住宅価格指数は前年比8.0%上昇、前月比1.5%上昇となった。
米民間有力調査会社コンファレンス・ボードが発表した10月の消費者景気信頼感指数は100.9となり市場予想の102を下回った。
経済指標は概ね良好だったわけだが、それよりも大統領選挙前情勢でダウ反騰のきっかけにはならなかった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月20日夜高値からの急落が一服して21日夜安値からの持ち直しが続いたために23日朝時点では21日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして23日夜から27日夜にかけての間への上昇を想定してきたが、26日夜に105円へ到達してから反落したために27日朝時点では26日夜高値でサイクルトップを付けた可能性が高いとし、104.65円割れからは弱気サイクル入りとして27日の日中から28日深夜にかけての間への下落を想定するとした。27日深夜に21日夜安値へ迫ったところからは下げ渋っているのでボトムを付けた可能性があるが104.70円を超えないうちはボトム形成期の延長入りによる下落余地ありとし、104.70円超えからは強気サイクル入りとして29日夜から11月2日夜にかけての間への上昇を想定する。その場合は戻りが短命の可能性もあると注意し、その後の反落で安値を更新するところからは新たな弱気サイクル入りとする。

60分足の一目均衡表では27日の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。21日夜安値とのダブルボトム形成の可能性もあるので遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみて高値試し優先とするが、上昇再開感が強まるには先行スパンを上抜き返す必要があり、先行スパンからの転落状態が続くうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に再び悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は27日深夜に30ポイント割れまで下落したがその後はやや戻している。50ポイントを超えないか一時的に超えても失速するうちはもう一段安を警戒するが、50ポイント以上を維持し始める場合はいったん戻しに入る流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月21日夜安値104.34円を下値支持線、104.70円を上値抵抗線とする。
(2)104.70円以下での推移中は一段安警戒とし、21日夜安値割れからは104円前後への下落を想定する。104円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、リスク回避感が一段と強まって円高が加速する場合は103円台中盤(103.65〜103.35)へ下値目途を引き下げる。また104.70円以下での推移が続く場合は29日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)104.70円超えからは105円手前を試す上昇を想定するが、104.80円台から105円手前は戻り売りにつかまりやすいとみて、その後に104.50円を割り込むところからは下げ再開と考える。

【当面の主な予定】

10/28(水)
休場、トルコ(共和国宣言記念日前夜)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合、1日目
09:30 (豪) 7-9月期消費者物価 前期比 (4-6月 -1.9%、予想 1.5%)
09:30 (豪) 7-9月期消費者物価 前年同期比 (4-6月 -0.3%、予想 0.7%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)

10/29(木)
休場、トルコ(共和制宣言記念日)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、2日目、政策金利発表 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
08:50 (日) 9月 小売業販売額 前年同月比 (8月 -1.9%、予想 -7.6%)
09:30 (豪) 7-9月期輸入物価指数 前期比 (4-6月 -1.9%、予想 -2.3%)
14:00 (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯 (9月 32.7、予想 35.5)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
17:55 (独) 10月 失業者数 前月比 (9月 -0.80万人、予想 -0.50万人)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 6.3%、予想 6.3%)

19:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 91.1、予想 89.6)
19:00 (欧) 10月 消費者信頼感確定値 (速報 -15.5)
21:30 (米) 7-9月期GDP速報値 前期比年率 (4-6月 -31.4%、予想 31.8%)
21:30 (米) 7-9月期GDP個人消費・速報値 前期比年率 (4-6月 -33.2%、予想 38.5%)
21:30 (米) 7-9月期コアPCE・速報値 前期比年率 (4-6月 -0.8%、予想 4.0%)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 78.7万件、予想 78.3万件)
21:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 837.3万人、予想 770.0万人

21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前月比 (9月 -0.2%、予想 0.0%)
22:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 -0.2%、予想 -0.3%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前月比 (8月 8.8%、予想 3.0%)

注:ポイント要約は編集部

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