円高トレンドが続き104円を視野に(週報10月第4週)

今週は下方向に余裕を見て104.00レベルをサポートに105.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

円高トレンドが続き104円を視野に(週報10月第4週)

円高トレンドが続き104円を視野に」

〇先週のドル円、動きがあったのは21日のみで他4日間は値幅も狭く方向感もはっきりしなかった
〇米大統領候補のTV討論会開催、現状ではバイデン候補が優勢か
〇今週は米大統領選の動き、米経済指標などの材料に注視
〇今週は下方向に余裕を見て104.00レベルをサポートに105.00レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は動いたのは水曜のみで残りの4日は値幅も狭く方向感がはっきりしないいつものドル円という状態でした。水曜もドル円が主導したわけではなく、EUと英国の間で行われている通商協議の合意が近いという楽観的なニュースをきっかけにポンドが上伸、このポンド買い・ドル売りの動きが欧州通貨ではなくドル円でのドル売りに波及するという動きでした。

ポンドの動きがドル円に影響するケースは皆無では無いものの比較的珍しい現象ですから、始めはそうであったとしても途中からはドル円が動かないことからドル買いポジションを持っていた向きによるストップオーダーの影響が大きかったと見ています。テクニカルにもザラバのチャートで週初の安値を抜けたあたりからドルの上値が重くなり、前週の安値を抜けるあたりでは結構なストップが出たのではと思わせる勢いがありました。

ただ結果として105円の大台を下抜けた威力は大きく、その後も105円に近づききれなかった動きを見るにつけ、105円台では既にドル売りオーダーが並んできていること、またそのオーダーを壁に104.95〜105.00の5銭幅にもある程度の売りがあるように思える動きとなりました。

先週は金曜には大統領選最後のTV討論会がありましたが、両候補とも前回とは違って冷静にディベートをしている感じが伝わってきました。ただ今回もどちらが勝者というほどのものではなく、いよいよ投票まで10日を切った中でスキャンダルが出てくるようなどんでん返しでもない限り今のバイデン候補が優勢な状況は覆らないと考えられます。

ここまででもっとも両者の差が広がったのはトランプ大統領が新型コロナに感染した直後の10.3ポイント差でしたが、討論会前日には7.5ポイント差となり、週末には8.2ポイントとなっています。それでもこれだけの差があると激戦州でよほどトランプ大統領が優勢にならない限り難しいと言えますが、それでも大差がつかない限りは可能性が残ることとなり、トランプ大統領は敗北を認めず、結果が確定するまで長引くこともあり得ます。ただ、金融市場は徐々にバイデン勝利に加え、下院だけでなく上院も民主党が過半数という結果を織り込み始めているようです。今回の改選議席は共和党の方が多く、その議席数を民主党がわずかに取るだけで現在の勢力は逆転します。

既にそのあたりも織り込んでいるようですが、大逆転があるのかどうか、今回も世論調査がどの程度誤差があるのかを気にする人も多いのですが、少なくとも2016年は大きく外したため今回は前回の反省も踏まえて精度を高めているとのことで、調査会社各社ともそれなりに自信は持っているようです。

今週はこうした大統領選に向けての最後の動き、そして経済指標等では日銀会合とECB理事会、米国と欧州主要国の7〜9月期GDP速報値が目立つ材料です。直近の動きからすると株安によるリスクオフから円買いという方向により動きが出そうですが、今回は最悪だった4〜6月期から比べて大幅な改善が見込まれることだけはたしかですが、予想の幅も大きいためよほど良いか悪いかでないと動きが取りにくいということになりそうです。

ちなみに29日に発表される米国の数字は前回が-32.9%、今回が+31.9%ですから5%程度のずれはあってもおかしくないというつもりでいた方が良いでしょう。どの材料も結果次第でかなり振れる要因となりそうなことだけは注意しておきたいところです。

テクニカルにはこれまでのレンジを抜けてきました。日足チャートをご覧ください。

これまでも重視してきたレジスタンスライン(ピンクの太線)が効いていること、また9月安値以降の動きを見ると水色の点線で示したヘッド&ショルダー型のパターンを示し、ネックライン(ピンクの点線)を下抜けた動きがまさに水曜に起きています。テクニカルなターゲットとしては既に9月安値と10月高値の78.6%(61.8%の平方根押し)は達成していますので、ネックラインの高さともほぼ一致する100%押しとなる104円を考えたいところです。

105円手前での上値の重さもありましたので、今週はもう少し円高に動く流れを考えたいのですが、果たして材料面でそれを支持する結果となるかどうか。今週は下方向に余裕を見て104.00レベルをサポートに105.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月26日(月)
**:** NZ、香港市場休場
**:** 欧州冬時間開始
18:00 ドイツ10月ifo企業景況感
19:00 スペイン中銀総裁講演
23:00 米国9月新築住宅販売

10月27日(火)
06:45 NZ9月貿易収支
16:45 フランス9月PPI
21:30 米国9月耐久財受注
22:00 米国8月住宅価格、ケースシラー住宅価格
23:00 米国10月消費者信頼感
23:00 米国10月リッチモンド連銀製造業景況指数

10月28日(水)
**:** トルコ市場休場(〜29日)
**:** 日銀会合(〜29日)
09:30 豪州7〜9月期CPI
16:00 ドイツ9月輸入物価指数
16:45 フランス10月消費者信頼感
18:00 南ア9月CPI
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:30 週間原油在庫統計

10月29日(木)
07:00 ダラス連銀総裁講演
09:30 豪州7〜9月期輸入物価指数
**:** 日銀会合結果公表
15:30 黒田日銀総裁会見
17:55 ドイツ10月失業率
18:30 南ア9月PPI
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
21:30 米国7〜9月期GDP速報値
21:30 米国新規失業保険申請数
21:45 ECB理事会
22:30 ラガルドECB総裁会見
23:00 米国9月住宅販売保留件数
25:00 フランス中銀総裁講演

10月30日(金)
08:30 本邦10月東京区部CPI
08:30 本邦9月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州7〜9月期PPI
15:30 フランス7〜9月期GDP速報値
16:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値
16:00 ドイツ9月小売売上高
16:00 トルコ9月貿易収支
16:45 フランス10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏9月失業率
21:00 南ア9月貿易収支
21:30 米国9月個人所得・消費支出
21:30 米国7〜9月期雇用コスト
22:45 米国10月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感

11月1日(日)
 **:** 米国冬時間移行

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月19日(月)
週明けのドル円は全く動かず105.30?50のわずか20銭レンジの中を方向感なく細かく上下するのみで一日を終えました。

10月20日(火)
ドル円は東京市場に入って株高とともに円安が先行しましたが、動きは鈍く105.60超えではドル売りオーダーも見え欧州市場の昼頃までは動きが止まっていました。その後ユーロ円の買いとともにドル円は105.75レベルの日中高値をつけましたが、逆に日計りロングの投げも出てNYの引けにかけては東京朝方の水準に押して引けました。

10月21日(水)
ポンドとドル円が主役の一日となりました。東京市場では全般にややドル売りが先行していましたが、欧州市場に入りEUと英国との合意は近いという発言をきっかけにポンドドルが上昇、ドル円もその動きに引っ張られドル売りの動きとなると、今週安値、先週安値と次々と下抜け、ストップオーダーも引っ掛けながらNY前場には104.34レベルの安値をつけました。引けにかけてはポンドとともにややドル買い戻しの動きが出ました。

10月22日(木)
ドル円は前日の下げに対する調整の一日となりました。前日NY市場に目先の安値をつけた後の買い戻しの流れが継続し、上下しながらもNY引け間際には104.91レベルの高値をつけました。日経平均株価が現物、先物ともに底堅い地合いだったこともドル円を支える要因となりました。

10月23日(金)
ドル円は東京前場の株安の動きとともにドル円、クロス円で円買いが先行し、欧州市場序盤には104.55レベルの安値をつけたものの、朝方の高値から値幅は40銭弱。105円の売りと104.50の買いが見える中でその後も方向感が出ず、もみあいのまま週末クローズとなりました。

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