ドル円 レンジ抜けの気配無し、時間経過的には注意(週報9月第2週)

先週のドル円は1日のレンジが20銭強程度の日も目立ち、週間レンジもわずか60銭と今年に入ってから2番目に狭い値幅となりました。

ドル円 レンジ抜けの気配無し、時間経過的には注意(週報9月第2週)

レンジ抜けの気配無し、時間経過的には注意

〇先週のドル円レンジ、1日20銭強程度や、週間でも60銭と今年2番目に狭い値幅
〇欧州通貨に動きは見られたもののドル円は蚊帳の外状態
〇今週はFOMC、日銀会合、英中銀MPC後の株式市場の反応に注意
〇今週は105.60レベルをサポートに106.50レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は1日のレンジが20銭強程度の日も目立ち、週間レンジもわずか60銭と今年に入ってから2番目に狭い値幅となりました。材料的にはECB理事会、ブレグジット後の協議再開と欧州通貨の材料ばかりが目立ち、実際に欧州通貨に動きは見られたもののドル円は蚊帳の外状態が続きました。

今週はFOMC、日銀会合、英中銀MPCと続きますので、そろそろ動きが出て来ても不思議ではありません。FOMCは水曜NY後場ですが金融政策自体に変更は無くとも8月のジャクソンホールでパウエルFRB議長が平均インフレ率の導入を示した後の最初のFOMCとなることからどのような議論がなされるのか、FOMC後の議長会見に注目が集まります。おそらくはジャクソンホールでの発言に沿って長期的な緩和継続の補足説明に留まるでしょうが、その後の株式市場の反応には注意と言えるでしょう。

また木曜の日銀会合は現状維持ではあるものの、月曜午後の自民党総裁選とセットで考えるとよいでしょう。既に票固めは終わり菅新総裁誕生が確実視されていますので、経済政策についてはアベノミクスを継続、黒田日銀総裁の会見ではおそらく新総裁との連携について何らかの質問が出ることも間違いないでしょう。

当然政治に関することは日銀総裁として意見を述べる立場には無いとした上で、これまでと同様に政治と金融政策の双方で景気浮揚に努めるといったところが最も出てきそうな発言です。またFRBの緩和長期化とともに日銀はという話も出そうですが、日銀の方が先にオーバーシュートを容認する立場であるため、これもインパクトは無さそうです。

そうなると、どうも今の円相場膠着を抜けださせる材料に乏しい気もしてきますが、イベントの前後で思惑による動きの可能性はありますし、イベントとは無関係に株式市場が動くことはあるかもしれませんので、周辺市場の動きと引き続き欧州通貨の動きを見ながら、レンジを抜ける動きが出てきた時にはある程度の動きが出てくるのではないかと考えています。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

8月以降の105.10〜107.05の2円弱のレンジの中でのもみあいの中に、更に7月高値からのレジスタンスラインと7月安値からのサポートラインによるトライアングル(ピンク)があるのですが、その頂点が9月末にはやってきます。抜けるとすれば逆にそろそろ時間的なタイミングが近づいていると言えますが、現在の水準はこのトライアングルの中ほどに位置していますし、8月以降のレンジの半値とも重なっています。

どちらにも抜ける可能性はありますし、逆に抜けるまでは多少の誤差を考えても106円を中心としたもみあいとなりやすいと言えるでしょう。105.50〜106.50をレンジとすると、それぞれの水準に近づくところでは逆張りでの売買が出やすく、抜けた場合にはストップを巻き込んでその方向に走りやすいというイメージでいれば間違いなさそうです。

今週ももみあいを継続する流れを前提に105.60レベルをサポートに106.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。ただし、上述の通り抜けた場合には、どちらにも動きやすいということだけは留意しておいてください。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

9月14日(月)
**:** 自民党総裁選
16:00 トルコ7月鉱工業生産
18:00 ユーロ圏7月鉱工業生産

9月15日(火)
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表
10:30 豪州4〜6月期住宅価格指数
11:00 中国8月鉱工業生産、小売売上高
15:00 英国8月失業率
15:45 フランス8月CPI
18:00 ドイツ9月ZEW景況感
21:30 米国9月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国8月輸入物価指数
22:15 米国8月鉱工業生産、設備稼働率
**:** FOMC(〜16日)

9月16日(水)
**:** 日銀会合(〜17日)
07:45 NZ4〜6月期経常収支
08:50 本邦8月貿易収支(通関)
15:00 英国8月CPI・PPI
18:00 ユーロ圏7月貿易収支
20:00 南ア7月小売売上高
21:30 米国8月小売売上高
23:00 米国7月企業在庫
23:00 米国9月NAHB住宅市場指数
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表
27:30 パウエルFRB議長会見
**:** 英中銀MPC(〜17日)

9月17日(木)
07:45 NZ4〜6月期GDP
10:30 豪州8月失業率
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
18:00 ユーロ圏8月CPI
18:00 ユーロ圏7月建設支出
20:00 英中銀MPC結果発表
**:** 南ア中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数

9月18日(金)
08:30 本邦8月CPI
15:00 英国8月小売売上高
15:00 ドイツ8月PPI
17:00 ユーロ圏7月経常収支
21:30 米国4〜6月期経常収支
23:00 米国9月ミシガン大消費者信頼感速報値
23:00 米国8月景気先行指数
23:00 (セントルイス連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月7日(月)
週明けのドル円は金曜雇用統計イベントを通過し、月曜はNY市場が休場となることもあって終日静かな動きが続きました。106.25レベルを中心に一日の値幅も26銭に留まりました。

9月8日(火)
ドル円は東京市場では動きが鈍かったものの欧州市場に入り前日に続いてポンドが一段安となる動きに引っ張られたドル買いが見られました。しかしドル買いの動き自体は鈍くすぐに反落、NY市場が始まる頃にはダウ先が下げている動きを嫌気して、ドル円とクロス円での円買いとなりました。ドル円はストップオーダーも巻き込みながらNY昼頃には105.86レベルの安値をつけ引けにかけて106円台を回復しました。

9月9日(水)
ドル円は東京市場では日経先物が大幅安で始まったことから上値が重い流れが続き、後場には105.79レベルの安値をつけました。海外市場に移り株価先物全般に買いが強まるとともにドル円も上昇、NY市場では前日急落前の水準まで買い戻され、若干押しての引けとなりました。

9月10日(木)
ドル円はユーロドルが理事会を前にじり高となる動きに沿ってNY市場まではややドル安の動きとなっていました。ECB理事会後にユーロが急騰すると一時105.98レベルの安値をつけましたが、その後ユーロの下げとともに買い戻しが入りました。ただ、値幅自体は狭いままで一日を終えました。

9月11日(金)
金曜のドル円はほとんど動きが見られず、ユーロドルの上下に沿ってユーロ円も上下した動きから、東京市場はやや上昇、海外市場ではやや下降となりました。しかし終日のレンジはわずか21銭と方向感が無いままの週末相場となりました。

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