トルコリラ週報:『史上最安値更新。脆弱なファンダメンタルズと地政学的リスクが重石』(9/12朝)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、9/9にかけて史上最安値となる14.12円まで急落しました。

トルコリラ週報:『史上最安値更新。脆弱なファンダメンタルズと地政学的リスクが重石』(9/12朝)

史上最安値更新。脆弱なファンダメンタルズと地政学的リスクが重石

〇トルコ円トルコ軍が約40台の戦車をギリシャ国境に移動させたとの報道等、史上最安値14.12まで下落
〇翌9/10に一時14.34まで反発するもムーディーズによる格下げが重石となり14.20まで押し返されて越週
〇トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒される
〇脆弱なファンダメンタルズと介入余力低下、地政学的リスクの高まりを背景にリラ安地合いの継続を想定
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.95ー14.45

今週のレビュー(9/7−9/11)

今週のトルコリラ円相場は、週初14.28円で寄り付いた後、@トルコ軍が約40台の戦車をギリシャ国境に移動させたとの一部報道(地政学的リスク→トルコリラ売り)や、A世界的な株価下落を受けたリスク回避の新興国通貨売り・円買いムード、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感が重石となり、週央にかけて、史上最安値14.12円まで下落しました。しかし、ボリンジャーバンド下限に続落を阻まれると、C欧米株の持ち直しを受けたリスク選好ムードが支えとなり、翌9/10には、一時14.34円まで反発する場面も見られました(短期筋による一時的なショートカバーも寄与)。もっとも、一目均衡表転換線付近で伸び悩むと、週末にかけて再び下落。Dトルコ6月失業率(結果13.4%、予想12.9%)の冴えない結果や、E反トルコ包囲網の拡大(南欧7カ国首脳会議にてトルコと対立中のギリシャやキプロスを全面支援する方向性が示された)、Fムーディーズによる格下げ(B1からB2へ引き下げ。見通しはネガティブを維持)が重石となり、結局14.20円まで押し返されての越週となっております。

来週の見通し(9/14−9/18)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、9/9にかけて史上最安値となる14.12円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転及びパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(通貨防衛目的に9/24のトルコ中銀会合で利上げに踏み切るとの見方が燻るものの、エルドアン大統領は利上げに反対姿勢を示している為、不透明感が根強い)、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大(インフレ高止まり)、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(着々と広がる反トルコ包囲網)、Eギリシャを巡る地政学的リスク、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナ感染再拡大懸念など、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(実質金利マイナス→投資妙味減退→国内から国外への資本流出活発化)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)、ギリシャを巡る地政学的リスク(軍事衝突リスク)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は9/14に発表されるトルコ7月鉱工業生産や、トルコ7月小売売上高、9/17の週次外貨準備高に注目。脆弱なファンダメンタルズと介入余力の低下、地政学的リスクの高まりを背景に、リラ安地合いの継続を想定。心理的節目14円割れも射程圏内)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):13.95ー14.45

注:ポイント要約は編集部

史上最安値更新。脆弱なファンダメンタルズと地政学的リスクが重石

トルコリラ円日足

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