トルコリラ円見通し 対ドルで最安値から反発、トルコリラ円も14.20円台後半へ戻す(20/9/11)

トルコリラ円も14.20円を割り込むところまでいったん下げた。しかし14.20円を割り込むところは買い戻されてしっかりしている。

トルコリラ円見通し 対ドルで最安値から反発、トルコリラ円も14.20円台後半へ戻す(20/9/11)

対ドルで最安値から反発、トルコリラ円も14.20円台後半へ戻す

〇トルコリラ円、9/10深夜14.20を割り込んだが、その後14.20台へ持ち直す
〇対ユーロで9/10最安値更新、トルコリラの先安懸念付きまとうものの反騰の可能性も
〇トルコ失業率悪化、コロナ感染者数の増加傾向も気がかり
〇14.20以上での推移中は上昇余地あり、14.30超えからは14.35前後への一段高を想定
〇14.19割れからは下げ再開、14.11試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円は8月21日の戻り高値からの下落基調が続き、9月3日に14.30円台中心の持ち合いから転落した後も下げ基調が続いて9月9日午後安値14.11円まで安値を切り下げてきたが、14.10円台をギリギリのところで維持して底固さを見せて10日夕刻までは14.10円台後半を中心とした持ち合いで推移していた。
ドル円が106円台序盤中心の小動きで方向性にかける中、9月10日夕刻からは対ドルでトルコリラが反騰に転じたことで14.20円を超え、10日夜には14.28円まで高値を切り上げた。ECB理事会及びラガルド総裁会見からユーロが対ドルで急伸して一時的にドル安感が強まったことも影響したと思われるが、10日深夜からはユーロが急落に転じたことや前日に4日ぶりの反発となっていたNYダウが大幅下落となる中でリスク回避感が強まり、トルコリラ円も14.20円を割り込むところまでいったん下げた。しかし14.20円を割り込むところは買い戻されてしっかりしている。

9月3日朝までは14.30円台中心のボックス型持ち合い、9月8日午後までは一段下がって14.20円台中心の持ち合い、9月夜に一段安に入った後は14.10円台での持ち合いと、0.10円のボックスレンジで段階的に下げてきたのだが、今度は一つ前のボックスレンジである14.20円台へ持ち直した状況に入っている。
対ドルでのトルコリラ安一服での出直りだが、9月9日に対ドルでの史上最安値を更新したばかりであり、対ユーロでは10日夜のユーロ急伸場面で8.879リラまで最安値を更新するなど、トルコリラの先安懸念はまだ付きまとうが、概ね4か月周期で主要な安値を付けて反騰してきた4か月サイクルにおいては、前回の底である5月7日安値からちょうど4か月を経過したところにあるため、今後の展開次第でこのサイクルの底を付けての反騰入りの可能性もないとは言えないところとして注目したい。

【トルコの6月失業率は4月から2か月連続で悪化】

9月10日にはトルコ失業率の発表があり、6月の失業率は13.4%となり5月の12.9%から悪化した。やや遅い統計の発表となっているために既に過去のデータという印象もあるが、2019年1月に14.7%まで悪化したところから2020年4月に12.80%まで改善してきたのだが、コロナ不況の影響最中の5月と6月は再び悪化傾向に入ったということになる。7月からの経済活動再開がどこまで回復しているのかにより、景気回復と失業率改善の度合いも見えてくると思われる。ただし、8月に入ってからは徐々にトルコの感染者数が再び増加傾向にあることが気がかりだ。

対ドルで最安値から反発、トルコリラ円も14.20円台後半へ戻す

9月10日に発表された9月4日時点の外貨準備高は448.8億ドルとなり前週の415.9億ドルからはやや拡大したが、6月に530億ドル以上あった水準からは減少傾向が目立っており、前週の落ち込みから回復したとはいえ、前々週からは低下した状況のままである。トルコの外貨準備高不足がトルコリラ売りの最大要因でもあり、景気回復と観光収入の改善、輸出改善等が見られなければ通貨防衛力の低下によりトルコリラ売りが続きやすい状況もまた続くと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月5日未明にいったん14.30円台へ上昇してから安値を更新したため、9月5日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日夕から11日夕にかけての間への下落を想定してきた。10日午前時点では9日午後安値の後は下げ渋っていたためにやや早めにサイクルボトムを付けた可能性があるとして14.20円超えからはいったん強気サイクル入りとした。9月10日夜の上昇で14.20円を超えたため、9日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は10日早朝から14日朝にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとするが、10日未明の反落時安値14.19円を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして14日午後から16日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月10日夜の反騰により遅行スパンは好転を維持し、先行スパンを突破した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと夜からは遅行スパンが悪化しやすくなると注意し、先行スパンから再び転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は9日未明から9日午後への安値切り下げに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて50ポイント超えへ反騰していたが、10日夜の上昇で70ポイントを超えた。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、相場が10日夜高値を超えるか同値近辺まで戻した時に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られれば下げ再開に入りやすくなるとみて、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月10日未明安値14.19円を下値支持線、14.30円を上値抵抗線とする。
(2)14.20円以上での推移中は上昇余地ありとみる。14.30円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、14.30円超えからは14.35円前後への一段高を想定する。ただし14.30円以上は反落警戒圏としてその後に14.25円を割り込むところからは下げ再開を疑う。
(3)14.19円割れからは下げ再開として9日午後安値14.11円試しへ向かうとみる。ドル急伸により対ドルでのトルコリラが最安値を更新するような下落となる場合やドル円が円高へ走る場合は底割れから14.00円試しへ向かう可能性もあると注意する。

【当面の主な経済指標等の予定】

9月11日
 16:00 7月経常収支 (6月 −29.3億ドル、予想 20.00億ドル)
9月14日
 16:00 7月鉱工業生産 前年比 (6月 0.1%、予想 1.8%)
 16:00 7月小売売上高 前月比 (6月 16.5%、予想 5.6%)
 16:00 7月小売売上高 前年比 (6月 -0.8%、予想 1.0%) 
9月17日
 20:30 週次外貨準備高 9/11時点
9月21日
 23:30 8月中央政府債務残高 (7月 1721億ドル)
9月22日
 16:00 9月消費者信頼感指数 (8月 59.6)
9月23日
 19:30 8月自動車生産台数 前年比 (7月 -11.8%)
9月24日
 16:00 9月製造業景況感 (8月 106.2)
 16:00 9月設備稼働率 (8月 73.3)
 20:00 トルコ中銀 政策金利発表 (現行 8.25%)
 20:30 週次外貨準備高 9/18時点
9月25日
 17:00 8月観光客数 前年比 (7月 -85.9%)   


注:ポイント要約は編集部

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