トルコリラ円見通し FOMC議事録公開からのドル円反騰と対ドルでのトルコリラ反騰が重なる(20/8/20)

8月19日午前には14.21円まで下落したがドル円反騰などにより深夜には14.61円まで切り返した。

トルコリラ円見通し FOMC議事録公開からのドル円反騰と対ドルでのトルコリラ反騰が重なる(20/8/20)

FOMC議事録公開からのドル円反騰と対ドルでのトルコリラ反騰が重なる

〇トルコ円、8/19午前下落後にドル円反騰、対ドル及びユーロでのトルコリラ高により14.61まで切り返す
〇対ドル、ユーロのトルコリラ反発は翌日物貸出金利の上昇がきっかけに
〇20日にトルコ中銀金融政策決定会合、翌日物貸出金利引上げ、通貨供給量の引締め等でリラ売り抑制か
〇14.40以上の推移は一段高余地あり、14.61超えから14.70前後を目指す上昇を想定
〇14.40割れからは下げ再開、19日午前安値14.21試しを想定

【概況】

トルコリラ円はドル円の円高と対ドル及び対ユーロでのトルコリラ下落が重なる中で8月19日午前には14.21円まで下落して8月10日午前安値14.07円に迫っていたが、19日夜は米20年債の大量入札やFOMC議事録を控えてドル円が反騰したことと、トルコ中銀による通貨供給の引き締めにより対ドル及び対ユーロでトルコリラが反騰したことが重なったために急反発となり19日深夜には14.61円まで切り返した。
8月20日未明に公開された米連銀FOMC議事録ではYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)に対する消極姿勢が示されたことでドル円は20日早朝に106円台序盤へ続伸したが、対ドル及び対ユーロでのトルコリラ反騰が続かなかったため、トルコリラ円は上値を抑えられてドル円のような高値切り上げへは進めずに14.50円を挟んだところで持ち合いとなっている。

【ドル円が105円割れ回避から106円台序盤へ反騰】

ドル円は3月後半からのドル全面安が緩む中で7月31日安値104.17円から8月14日未明高値107.05円まで上昇してきたが、先週の米国債大量入札による米長期債利回り上昇が一服したことで14日夜からは円高ドル安へ傾斜し、19日午前には105.08円まで下げて105円割れへの余裕がなくなっていたが、19日夜の米20年債250億ドル入札や20日未明のFOMC議事録公開を控えてポジション調整的な買い戻しとなり19日深夜にかけては105円台後半へ上昇していたが、FOMC議事録におけるYCCへの消極性からドル高が進んだために20日早朝には106.15円まで続伸した。20日午前は反騰一服で106円を挟んでやや膠着状態となっている。

米連銀によるYCCへの消極姿勢はドル高要因ではあるが、コロナ不況に対する金融緩和政策の維持及び拡大姿勢は継続しており、3月後半からのドル安の大きな流れが継続するとすれば、今回のドル円の戻りも短期的なものに留まる可能性もある。105.50円以上を維持するうちは上昇余地ありとしてトルコリラ円にもプラスとなりうるが、105.50円を割り込んでくると下げ再開感が強まってトルコリラ円への売り圧力が再び増してくるのではないかと思われる。

【対ドル、対ユーロでトルコリラが反発、20日夜のトルコ中銀金融政策発表に注目】

対ドルでのトルコリラは8月17日に7.4014リラまで史上最安値を更新していたが、18日は7.4017リラまでわずかに最安値を更新した後はトルコ中銀の引き締め政策発表から下げ一服となり、18日終値は7.36リラで前日比0.12%上昇となった。19日も対ドルでの上昇が続いて終値ベースでは前日比1.18%高と上昇、高値で7.38リラまで戻している。
対ユーロでのトルコリラも8月17日に8.79リラへ最安値を更新し、18日も8.82リラへさらに安値を更新したが、19日は前日比1.90%上昇と反騰し、高値では8.57リラまで戻した。
対ドル及び対ユーロでのトルコリラ反発は、トルコ中銀が8月18日に翌日物金利による銀行への流動性供給額の上限を8月19日から半分に削減するとし、資金供給窓口を切り替えることで翌日物貸出金利が11.25%へ上昇したこと等がきっかけとなった。

トルコ中銀は20日夜に金融政策決定会合があるが、政策金利である週間レポレートを据え置いて翌日物貸出金利の引き上げや通貨供給量の引き締め等による代替手段でリラ売りを抑制しようとしている印象だ。欧米勢のトルコリラ売りも20日の金融政策発表を見定めたいとしていったんポジション調整的な動きに入ったのだろうと思われる。
しかし、2018年8月のような通貨危機的状況へ陥ることは回避できないのではないかとの見方も根強い。2018年8月の通貨危機当時は市場介入の他に極端な翌日物貸出金利の引き上げと政策金利の引き上げ等で乗り切ったものの、外貨準備高不足の状況下での通貨防衛力には限界が来ており、最終的にはIMF融資による救済という可能性もあり得るのではないかと思われる。

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月12日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日朝から17日朝にかけての間への下落を想定してきたが、大きく反騰しきれずに8月18日早朝へ一段安したために18日午前時点では8月15日早朝安値を直近のサイクルボトムとし、底割れにより新たな弱気サイクル入りとして20日早朝から24日朝にかけての間への下落を想定した。
8月19日午前安園の後は安値更新を回避して深夜に急反発となったため、19日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。トップ形成期は17日午後高値を基準として20日午後から24日午後にかけての間と想定するが、戻りは短命の可能性もあるので14.40円以上での推移中は一段高余地ありとするが、14.40円割れからは弱気サイクル入りと仮定して24日午前から26日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月19日夜の急反発により遅行スパンが好転して先行スパンも突破した。このため遅行スパン好転中は一段高余地ありとするが、高値更新がストップすると遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。14.40円を割り込むと先行スパンからも転落するために下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は8月18日から19日午前安値への下落に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を示して反騰入りし、19日深夜には80ポイントに迫った。20日午前は新たな高値更新へ進めずにいるが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生する場合は弱気転換注意とし、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、14.40円を下値支持線、8月19日深夜高値14.61円を上値抵抗線とする。
(2)14.40円以上での推移中は一段高余地ありとし、14.61円超えからは14.70円前後を目指す上昇を想定する。14.70円以上は反落警戒とするが、14.40円以上を維持しての推移なら21日も高値試しへ向かう可能性があると考える。
(3)14.40円割れからは下げ再開とみて19日午前安値14.21円試しへ向かうとみる。14.20円台序盤では買い戻しも入りやすいとみるが、14.40円以下での推移が続く場合は21日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

8月20日
 16:00 7月自動車生産 前年比 (6月 -5.4%、予想 2.0%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.25%)
 20:30 週次、外貨準備高 (前週 465.9億ドル)
8月21日
 16:00 8月消費者信頼感 (7月 60.9、予想 58.0)
 17:00 7月観光客数 前年比 (6月 -96.0%、予想 78.0%)
8月24日
 17:00 7月観光客数 前年比 (6月 -96.0%、予想 -68.0%)

8月25日
 16:00 8月製造業景況感 (7月 100.7)  
 16:00 8月設備稼働率 (7月 70.7%)
8月27日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備 8月21日時点
8月28日
 16:00 8月経済信頼感指数 (7月 82.2)
8月31日
 16:00 4−6月GDP 前年比 (1−3月 4.5%、予想 -8.9%)
 16:00 4−6月GDP 前期比 (1−3月 0.6%、予想 -5.2%)
 16:00 7月貿易収支 (6月 -28.5億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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