トルコリラ円見通し 対ドルと対ユーロで最安値更新、円高も重なって14円台序盤へ続落(20/8/18)

18日朝の取引再開時には14.25円までさらに安値を切り下げて8月10日朝安値14.07円に迫っている。

トルコリラ円見通し 対ドルと対ユーロで最安値更新、円高も重なって14円台序盤へ続落(20/8/18)

トルコリラ円見通し 対ドルと対ユーロで最安値更新、円高も重なって14円台序盤へ続落

〇トルコリラ円、8/18朝14.25まで安値切り下げ、8/10朝安値14.07に迫る
〇対ドル、対ユーロともに8/17にトルコリラ最安値更新、終値ベースでも4日続落
〇トルコ大統領、最高経済当局者会議を召集、会議結果要注目
〇14.25割れからは14.07円試しへ向かうとみる、14.10以下は反騰注意
〇14.45超えからはいったん反騰入りとして14.50前後への上昇を想定、14.50以上は反落注意とする

【概況】

トルコリラ円は8月17日夕刻に先週末8月15日早朝安値を割り込む一段安となり、17日深夜には14.30円まで続落、18日朝の取引再開時には14.25円までさらに安値を切り下げて8月10日朝安値14.07円に迫っている。
トルコリラ円は対ドル及び対ユーロでのトルコリラ大幅下落により8月10日朝に14.07円の安値を付けて対円における史上最安値を更新し、いったんは対ドル等でのトルコリラ安が落ち着きを見せかけたこととドル円が107円台到達まで戻したことにより8月12日夕刻には14.79円まで戻したのだが、その後は107円に到達した後のドル円の上値が重くなり、対ドル及び対ユーロでのトルコリラ安が再開したことで下落基調に転じた。
8月17日は米長期債利回り低下を背景にドル安が再燃、ドル円は17日深夜に106円を割り込むところまで失速した。その一方でトルコリラは対ドル及び対ユーロでの下落に歯止めがかからずに史上最安値を更新した。円高とリラ安が重なる中で8月10日朝安値割れへの余裕が乏しくなっている。

【対ドルと対ユーロで史上最安値を更新】

対ドルでのトルコリラは8月17日に安値で7.39リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでも8月12日から4日続落となり7.38リラへ最安値を更新した。週間ベースでは7月26日の週から先週まで3週連続の下落であり、今週も既に0.39%安と続落している。
対ユーロでもトルコリラは8月17日に8.78リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでも8月12日から4日間の続落で8.76リラへ最安値を更新した。週間ベースでは8月2日の週に前週比4.68%安、8月9日の週に1.50%安と続落したが、今週も既に0.74%安の続落となっており、週足は6月21日の週から先週まで8週連続の下落となっている。

トルコリラの対ドル及び対ユーロでの史上最安値更新はトルコの外貨準備高の減少による通貨防衛力の大幅低下への懸念、インフレ見通しの悪化により消費者物価上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態に陥っていることが背景であり、6月までは通貨当局による規制・介入等により対ドルでは6.85リラを中心とした小動きに抑制されていたが、7月に入ると介入力も弱まって対ドルでの下落が加速し始めた。また対ユーロでは対ドルよりも抑制が効かずに対ドルに先行して下落が加速していた。

今のところ通貨当局に極端なリラ防衛政策の発動は見られないが、8月20日にはトルコ中銀の金融政策決定会合があり、通貨防衛の観点から政策金利を現状の8.25%から8.75%へ利上げるのではないかとの観測もある。
トルコのエルドアン大統領は8月17日に史上最安値を更新したことを受けて同国の最高経済当局者会議を召集した。地元紙によるとベラトアルバイラック財務相、フアットオクタイ副大統領、トルコ中銀、国営銀行、銀行監視機関などが出席するという。会議の日程は公表されていないが、8月20日のトルコ中銀金融政策発表前と推察される。この会議結果によってはトルコリラが大幅に反騰する可能性もあるが、政策的に一時的な抑制が効いたとしても実体の悪さが続けば欧米勢のトルコリラ売りは継続してゆきやすいと思われる。
トルコリラ円にとっては7月末からのドル円上昇が一巡して円高感が再燃する中で対ドル及び対ユーロでのトルコリラ安が続くようだと史上最安値更新へ向かいかねないところと思われる。

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月10日朝安値を直近のサイクルボトムとして上昇していたが、12日夕刻高値からの下落が続いていたために13日午前時点では12日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は13日朝から17日朝にかけての間と想定してきた。
8月17日夜、18日早朝へと一段安しているが、すでに8月10日朝安値から1週間を経過しているので、先週末15日早朝安値を直近のサイクルボトムとし、すでに底割れにより新たな弱気サイクル入りしたと仮定する。ボトム形成期は20日早朝から24日朝にかけての間とし、強気転換は17日昼高値14.45円超えからとする。

60分足の一目均衡表では8月12日夕高値からの下落で遅行スパンが悪化し、14日朝には先行スパンから転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は一段安余地ありとするが、遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみて高値試し優先とする。ただし、先行スパンを上抜けないうちは一時的に遅行スパンが好転しても再び悪化するところからは下げ再開、一段安へ向かいやすくなるとみる。

60分足の相対力指数は8月18日早朝への下落で20ポイント台序盤へ低下している。その後の反発も鈍く、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られないためまだ一段安余地ありとみる。強気転換には50ポイントを超える反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、8月18日早朝安値14.25円を下値支持線、14.40円を上値抵抗線とする。
(2)14.40円以下での推移中は一段安余地ありとし、18日早朝安値割れからは8月10日朝安値14.07円試しへ向かうとみる。14.10円以下は反騰注意とするが、14.40円以下での推移が続くうちは19日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。また8月10日安値を割り込む場合は先行きで14円割れを目指すとみる。
(3)14.40円超えからは強気転換注意とし、17日午後高値14.45円超えからはいったん反騰入りとして14.50円前後への上昇を想定する。14.50円以上は反落注意とするが、17日午後高値を超えた後も14.40円以上での推移なら19日午前も戻り高値を試す可能性があるとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

8月20日
16:00 7月自動車生産 前年比 (6月 -5.4%)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.25%、予想 8.75%)
20:30 週次、外貨準備高
8月21日
16:00 8月消費者信頼感 (7月 60.9)
17:00 7月観光客数 前年比 (6月 -96.0%)
8月24日
16:00 7月観光客数 前年比 (6月 -96.0%、予想 -68.0%)
8月25日
16:00 8月製造業景況感 (7月 100.7)  
16:00 8月設備稼働率 (7月 70.7%)
8月27日
20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨公開
20:30 週次外貨準備 8月21日時点
8月28日
16:00 8月経済信頼感指数 (7月 82.2)
8月31日
16:00 4−6月GDP 前年比 (1−3月 4.5%、予想 -8.9%)
16:00 4−6月GDP 前期比 (1−3月 0.6%、予想 -5.2%)
16:00 7月貿易収支 (6月 -28.5億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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