トルコリラ円見通し ドル円は続伸したが対ドルでのトルコリラ安再燃で上値重い(20/8/13)

トルコリラ円は、対ドル及び対ユーロでのトルコリラ安が再燃したことで売り圧力がかかったため、13日早朝には14.50円を若干割り込むところまで下げている。

トルコリラ円見通し ドル円は続伸したが対ドルでのトルコリラ安再燃で上値重い(20/8/13)

ドル円は続伸したが対ドルでのトルコリラ安再燃で上値重い

〇トルコリラ円、対ドル及び対ユーロでのトルコリラ安再燃で13日早朝14.50を若干割り込む
〇対ドルでのトルコリラ、12日1.74%安と反落し安値7.337を付け8/7安値7.37に迫る
〇対ユーロでは12日、終値ベースでは8/10の8.60を割り込む8.64をつけ最安値更新
〇8/20トルコ中銀金融政策決定会合で、現状の8.25%から8.75%へ利上げの可能性も
〇14.70超えからは強気転換注意、12日夕刻高値14.79を超えず14.50を割り込めば下げ再開
〇11日安値14.35割れからは8/10安値14.07試しへ、14.10以下は反発注意

【概況】

トルコリラ円は対ドル及び対ユーロでのトルコリラ大幅下落により8月6日夜には14.32円の安値を付け、5月7日安値14.61円を割り込んで対円での史上最安値を更新したが、その後は対ドル及び対ユーロでトルコリラがやや持ち直し、ドル円が米長期債利回り上昇を背景に上昇したことで12日未明には14.76円へ上昇、12日夕刻には14.79円を付けて8月10日朝へ急落する前の8月7日夜高値14.75円を上抜いた。
しかしその後はジリ安に陥っている。米消費者物価上昇率が市場予想を上回る改善となったことやワクチン開発期待で株高債券安となり米10年債利回りは12日も続伸したためにドル円は12日夜に107.01円を付けて7月24日以来の107円台に到達するところまで上昇したのだが、対ドル及び対ユーロでのトルコリラ安が再燃したことで売り圧力がかかったため、13日早朝には14.50円を若干割り込むところまで下げている。

【ドル円は上昇基調】

ドル円は8月12日未明に106.68円へ上昇して8月3日深夜高値106.46円を上抜き、12日夜には107.01円まで続伸した。7月31日に104.17円まで下げたのはドル全面安によるものだったが、米長期債の大量入札を控えて米10年債利回り等が上昇に転じたことでドル安にブレーキがかかってユーロが下落し、ドル円でも日米金利差を意識したドル買い円売りが進んだためだ。

11日は米生産者物価の上昇率が市場予想を超えたことでコロナ不況によるデフレ長期化懸念が後退したが、12日も7月の米消費者物価上昇率が市場予想を上回ったために景気の持ち直し感が強まり、株高債券安・米長期利回り上昇反応となった。米10年債利回りは前日比0.04%上昇の0.68%となり、一時は0.69%まで上昇した。12日は10年債の380億ドル規模の入札があり堅調に終わったが、米30年債は13日に260億ドル規模の入札を控えており、12日も0.05%上昇の1.38%となっている。国債大量入札を通過した後も米長期債利回り上昇基調が続くようだとドル円には上昇支援要因となるが、入札通過で利回り上昇一服となればドル円には反落要因となりやすい。

【対ドルでのトルコリラ下落再開か】

トルコリラ円の8月10日朝安値にかけての下落は外貨準備高不足を懸念しての欧米勢によるトルコリラ売りによるものだったが、対ユーロ、対ドルでのトルコリラ急落は8月11日に一服していたものの12日には再燃している。

対ドルでのトルコリラは8月6日に7.32リラを付けて5月7日に付けた7.27リラを割り込んで史上最安値を更新し、8月7日には7.37リラまで最安値更新を続けた。終値ベースでは8月5日から4日間の大幅続落だったが、トルコ通貨当局による取引規制の緩和によりリラの流動性が回復するとして8月11日は前日比1.78%高の上昇となった。しかし12日は1.74%安と再び反落して安値では7.337リラを付けて8月7日安値に迫っている。終値ベースでは8月10日の7.33リラが最安値だが12日は7.32リラまで迫っている。

対ユーロでは8月5日から10日まで4日間の続落となり7日には安値で8.72リラまで史上最安値を更新した。11日には1.75%高と持ち直したのだが、12日は2.20%安となり安値で8.64リラまで下落している。終値ベースでは8月10日の8.60リラを割り込む8.64リラをつけて最安値を更新してきている。
トルコ中銀がプライマリーディーラーに対する取引規制を解除したことにより流動性が確保されたとしてトルコリラ売りはいったん落ち着いたかに見えたが、12日の下落をみるとまだ下落一服程度に過ぎず、先行きの一段安への懸念が強く残っている印象だ。8月13日には週次の外貨準備高(8月7日時点)の発表がある。14日には6月経常収支、8月20日にはトルコ中銀の金融政策決定会合があり、現状の8.25%から8.75%へ利上げされるのではないかとの観測もあるが、据え置きの場合はリラ安加速要因となりかねないところだ。

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月10日朝に最安値を更新してから戻しに入ったために11日午前時点では10日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期を10日夜から12日午後にかけての間と想定したが、12日夕刻高値からの下落が続いているので、12日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして14日朝から18日朝にかけての間への下落を想定する。強気転換は12日夕高値超えからとし、その場合は17日午後から19日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月12日夕高値からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンに潜り込んできている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落するところからは下げが加速しやすいと注意する。ただし両スパンが揃って好転するところからは上昇再開とみて12日夕高値試しへ向かうとみる。

60分足の相対力指数は8月12日早朝高値から夕刻高値への上昇に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行から下落に入っている。50ポイント台を回復して続伸に入るような上昇へ進めないうちは一段安余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、8月11日朝安値14.35円を下値支持線、8月12日夕刻高値14.79円を上値抵抗線とする。
(2)14.70円以下での推移中は一段安余地ありとし、11日朝安値14.35円割れからは8月10日朝安値14.07円試しへ向かうとみる。14.10円以下は反発注意とするが、14.50円以下での推移中は14日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)14.70円超えからは強気転換注意とするが、12日夕刻高値を超えずに14.50円を割り込むところからは下げ再開とする。強気転換は12日夕高値超えからとするが、その場合は15円試しへ向かう流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

8月13日
 20:30 外貨準備 8月7日時点 (前週 466.7億ドル)
8月14日
 16:00 6月経常収支 (5月 −37.60億ドル、予想 34.00億ドル)
 16:00 6月鉱工業生産 前年比 (5月 -19.9%、予想 -12.7%) 
 16:00 6月小売売上高 前月比 (5月 3.8%、予想 -7.4%)
 16:00 6月小売売上高 前年比 (5月 -16.7%、予想 -9.7%)
8月20日
 16:00 7月自動車生産 前年比 (6月 -5.4%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.25%、予想 8.75%)
 20:30 週次、外貨準備高
8月21日
 16:00 8月消費者信頼感 (7月 60.9)
 17:00 7月観光客数 前年比 (6月 -96.0%)

注:ポイント要約は編集部

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