トルコリラ円見通し 対ユーロと対ドルでリラ急落、トルコリラ円も5月7日安値に迫る(20/8/6)

8月5日朝高値15.26円の後は新たな高値更新へ進めず、5日夕刻の下落で15.11円へ急落、さらに6日早朝には14.65円まで大幅続落となった。

トルコリラ円見通し 対ユーロと対ドルでリラ急落、トルコリラ円も5月7日安値に迫る(20/8/6)

トルコリラ円見通し 対ユーロと対ドルでリラ急落、トルコリラ円も5月7日安値に迫る

〇トルコリラ円、5日高値15.26から続落し6日早朝には14.65へ5/7の安値へ迫る
〇トルコリラ対ユーロで8.40をつけ昨年8月のトルコリラ危機安値を超える
〇週末の米雇用統計でドル円も下落期に入る可能性、トルコ円も史上最安値を模索する展開になるか
〇15円以下の推移は一段安警戒、14.65割れからは14.40前後への下落想定
〇15円超えから反騰入りで15.10台への上昇を想定、15円超え後の14.80割れからは下げ再開も

【概況】

トルコリラ円は7月30日早朝安値14.89円と31日朝安値14.90円をダブルボトムとして戻していたが、8月5日朝高値15.26円の後は新たな高値更新へ進めず、5日夕刻の下落で15.11円へ急落してダブルボトムラインを割り込む一段安となり、さらに6日早朝には14.65円まで大幅続落して5月7日安値14.61円に迫っている。
急落の背景はドル円の下落もあるが、それ以上に対ユーロ及び対ドルでトルコリラが急落したことによる。

【対ユーロ、対ドルでトルコリラが急落】

8月5日にトルコリラは対ドルで前日比2.2%安と急落した。安値で7.08リラを付けて取引終了時も7.05リラとなり危険水準とされる7リラを再び割り込んだ。7月24日から30日までトルコリラは対ドルで5日間続落していたが、31日から8月4日にかけての3日間は下げ一服で戻していた。しかしロンドンのオフショア市場におけるリラの流動性が急激に縮小したことで通貨を一晩借りるコストであるオーバーナイトスワップレートが8月4日時点で8月3日の年率30%から同1000%へと異常な急騰となったことで、リラ暴落不安が爆発したために8月4日深夜からドル高リラ安が再燃、8月5日午後からリラは暴落的な下げとなった。
昨年8月のトルコリラ危機時につけた安値7.23リラを今年5月7日への急落時には7.27リラを付けて史上最安値を更新している。ドル高リラ安はいったんは落ち着き、6月に入ってからは通貨当局の規制等により6.85リラを中心として管理相場的な横ばいが続いてきたのだが、7月28日以降は管理が効かなくなってドル高リラ安が加速し始めた。

トルコリラは対ユーロで7月17日から7月30日まで10日連続の下落となっていたが、7月31日から8月4日まではリラ安一服で戻していた。しかし8月5日は前日比2.81%安と急落して安値では8.40リラを付けて昨年8月のトルコリラ危機における安値8.23リラを超えて過去最安値を更新した。

欧米勢にとってはトルコの外貨準備高がトルコリラの防衛には不足しており、流動性確保ができなくなったことによりリラ売りが殺到し、リラの現金化を求めてトルコ株売りも加速し始めている状況の様だ。イスタンブール100株価指数はリラ安の動きを反映して7月28日に3.59%安と下落に転じて8月4日まで4日続落となっているが、8月4日も前日比3.53%安と大幅下落に見舞われている。

【ドル円も再び下落】

ドル円は7月31日安値で104.17円を付けたところから反騰に転じて8月3日深夜には106.46円の高値を付けたがその後は失速しており、8月5日夜には105.30円まで下げている。7月31日までの円高ドル安は、メジャー通貨におけるドル全面安を反映したもので、31日夜からの反騰はドル安一服によるものだったが、8月3日深夜以降はユーロが対ドルで持ち直しの上昇に入り、英ポンドや豪ドルも上昇再開に入っており、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は8月5日の下落で7月31日安値に迫っており、ドル全般の下落継続感が強まっている。

週末に米雇用統計も控えているので大きな動きは雇用統計を見定めてからと思われるが、雇用統計後にメジャー通貨におけるドル安感が強まるようならドル円も7月31日安値を割り込む下落期に入る可能性がある。その際は対ユーロや対ドルでの下げが厳しくなっているトルコリラ円にとっては円高も圧力もかかるために5月7日安値を割り込んで史上最安値を模索する展開へ向かいやすくなると注意したい。

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月30日早朝と31日朝の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとして8月4日午後から6日午後にかけての間への上昇を想定してきたが、8月5日未明高値からの反落により5日午前時点では5日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期を8月5日の日中から7日朝にかけての間と想定した。6日朝へ一段安しているため引き続きボトム形成中とみるが、8月5日朝安値を直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクル入りとなっている可能性も検討されるので15円以下での推移中は安値試しを続けやすいと注意する。15円超えからはいったん強気サイクル入りとするが戻りは短命の可能性もあると考える。

60分足の一目均衡表では8月5日夕刻の下落で先行スパンから転落し、遅行スパンも悪化している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパン好転からはいったん反動高に入るとみて先行スパン下限を試す上昇を想定する。

60分足の相対力指数は5日早朝への下落で20ポイント台序盤へ下落した。相場が安値を更新する中で指数のボトムが切り上がる強気逆行は見られないのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には50ポイントを超える上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月6日朝安値14.65円を下値支持線、15.00円を上値抵抗線とする。
(2)15円以下での推移中は一段安警戒とし、14.65円割れからは14.40円前後への下落を想定する。14.40円以下は反騰注意とするが14.80円以下での推移なら7日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)15円超えからはいったん反騰入りとみて15.10円台への上昇を想定する。15.015円以上は反落警戒とし15円を超えた後に14.80円を割り込むところからは下げ再開と一段安入りを想定する。

【当面の主な経済指標等の予定】

8月7日
 20.30 外貨準備高、7月31日時点 (前週 509.3億ドル)
8月10日
 16:00 5月失業率 (4月 12.8%、予想 16.3%)
8月13日
 20:30 外貨準備 8月7日時点
8月14日
 16:00 6月経常収支 (5月 −37.60億ドル)
 16:00 6月鉱工業生産 前年比 (5月 -19.9%) 
 16:00 6月小売売上高 前月比 (5月 3.8%)
 16:00 6月小売売上高 前年比 (5月 -16.7%)

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