ドル円見通し ドル全面安一服による反騰だが、60分足のRSIが弱気逆行(20/8/4)

3日深夜には106.46円までわずかに高値を切り上げた。深夜以降は106円を割り込むところまで反落している。

ドル円見通し ドル全面安一服による反騰だが、60分足のRSIが弱気逆行(20/8/4)

ドル円見通し ドル全面安一服による反騰だが、60分足のRSIが弱気逆行

〇ドル円、3日午前106.42へ続伸するも夕刻に1円近い反落。深夜106.46まで切り上げた後106円割り込む
〇米7月米ISM製造業景況指数は54.2、3か月連続の上昇
〇NYダウは前日比、ナスダック総合株価指数は終値ベースで史上高値を更新
〇105.57割り込まないうちは107円前後への上昇余地あり
〇105.57割れからは104円台後半への下落を想定

【概況】

ドル円は7月後半からのドル全面安を背景に7月31日昼前安値104.17円まで一段安してきたが、その後は下げ渋り、31日夕刻にユーロが対ドルでの下落を加速させたところからドル高感が強まる中で急激な買い戻しの動きに入り、深夜を過ぎたところでは106.05円まで戻り高値を切り上げて先週を終えた。
週明けの8月3日は午前に106.42円まで続伸、夕刻にいったん105.57円まで1円近い反落となったが米国株高とユーロ安ドル高継続を見て3日深夜には106.46円までわずかに高値を切り上げた。深夜以降は106円を割り込むところまで反落している。

8月3日夜に発表された米サプライ管理協会(ISM)の7月米製造業景況指数は54.2となり前月の52.6から上昇した。3か月連続の上昇で景気の強弱目安となる50を2か月連続で上回り、市場予想の53.6を上回った。先週は30日に発表された米国の4−6月期GDPが年率でマイナス32.9%となり、失業保険受給者数も市場予想を超えて1701.8万人と高水準だったことや、31日夕刻に発表されたユーロ圏の4−6月GDP速報値が年率でマイナス40.3%となるなど不況長期化への懸念が強まったが、3日夜のISM景況指数の改善が先週強まっていた不況継続感をやわらげたため、NYダウは前日比236.08ドル高と上昇、ハイテク中心のナスダック総合株価指数は157.53ポイント高と上昇して終値ベースでは2週間ぶりに史上最高値を更新した。米国株高がドル高を助長してドル円も戻り高値を切り上げるきっかけとなった。

【ドル全面安一服】

3月序盤のコロナショックによる金融市場全般の動揺が投機ポジションの総手仕舞い・換金売りを集中させた結果、ドル資金需給がひっ迫してドルが急伸した。しかしG7によるドル資金供給の協調、主要国による利下げや量的金融緩和及び経済対策での財政出動によりドル資金需給ひっ迫は解消、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は3月9日安値94.63から3月20日高値102.99まで急上昇して2017年1月3日高値103.82に迫ったところでダブル天井を付け、5月後半まで100.0を挟んだ持ち合いだったところから5月末に転落し、7月に入ると下げ足を速めて7月31日安値では92.54まで続落して3月9日安値を割り込み、凡そ2年ぶり安値水準へ転落した。

ドル全面安のなか、ユーロは対ドルで6月後半から急伸に入り3月9日高値1.1494ドルを超えて7月31日には1.1907ドルまで上昇して2年ぶり高値に達した。英ポンドも3月20日安値からの反騰で1.300ドル台を回復して昨年末高値に迫る勢い。資源通貨代表である豪ドルも対ドルで3月19日安値からのV字反騰を続けてきたが7月の続伸で年初の高値を超えてコロナショック暴落幅を解消した。新興国通貨もコロナショックによる暴落一服で戻してきたが、7月後半からはドル高新興国通貨安がぶり返しつつある。
ドル全面安の流れに乗ってドル円は7月1日の戻り高値から下落してきたのだが、先週末からのドル安一服がきっかけとなり、104円を割り込んで一段安へ向かうのではないかとみていた弱気筋が慌てて買い戻しに動いたことが7月31日の日足で安値から高値まで2円近い反騰となる陽線となり、週明けに106円台前半まで一段高する要因となったようだ。

しかし、ドル高が本格的に回復できるのかどうか、まだ疑問符も付く。7月中に進行したドル安の背景であるドル資金需給の緩和、世界的な金融緩和の拡大等による資産インフレ進行期待は継続しており、株式市場のリスク先行感が強まる中で投機通貨のユーロ、ポンド、豪ドル等が買われてきたのであり、週末からのドル反発はドル安一服の範囲に留まるのではないかと思われる。ユーロドルが1.1800ドルを超えて上昇再開感が強まるようだと、ドル全般の下落感が再開してドル円にも売り圧力かかかりやすくなる可能性もあると注意しておきたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月28日午後高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしていたが、27日深夜安値から3日半となる31日午前安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰に転じた。今回の高値形成期は28日午後高値を基準として31日午後から8月4日午後にかけての間と想定されるので既に反落注意期にある。
8月3日夜安値105.57円を割り込まないうちは107円前後への上昇余地が残るが、3日夜安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとして8月5日午前から7日昼にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月31日夜の急伸で遅行スパンが好転し先行スパンも突破した。8月3日以降は106円を挟んでやや乱高下しているので遅行スパンは悪化しやすくなっている。8月3日安値を割り込まないうちは上昇余地ありとするが、8月3日夜安値割れからは弱気サイクル入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。その際は先行スパン下限が当初の下値支持線となりやすいとみるが、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意したい。 

60分足の相対力指数は8月3日午前高値から3日深夜高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生しているために戻り一巡から下落再開へ進みやすいとみる。50ポイント以上での推移中は65ポイント超えから上昇再開の可能性ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを試すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月3日夜安値105.57円を下値支持線、3日深夜高値106.46円を上値抵抗線とする。
(2)3日夜安値割れ回避のうちは3日深夜高値超えから107円を目指す可能性があるが、107円前後は反落警戒とする。
(3)3日夜安値105.57円割れからは弱気サイクル入りとみて104円台後半への下落を想定する。105円割れはいったん買い戻しも入りやすいところだが、ドル全面安が再開するような展開に入れば104円中盤、さらに8月5日にかけての続落で7月31日安値へ迫る可能性もあると考える。

【当面の主な予定】

8/4(火)
10:30 (豪) 6月 貿易収支 (5月 80.25億豪ドル、予想 88.00億豪ドル)
10:30 (豪) 6月 小売売上高 前月比 (5月 16.9%、予想 2.4%)
13:30 (豪) 豪準備銀行、政策金利発表 (現行 0.25%、予想 0.25%)
18:00 (欧) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 -0.6%、予想 0.5%)
18:00 (欧) 6月 生産者物価指数 前年同月比 (5月 -5.0%、予想 -3.9%)
23:00 (米) 6月 製造業新規受注 前月比 (5月 8.0%、予想 5.0%)

8/5(水)
07:45 (NZ) 4-6月期 失業率 (前期 4.2%、予想 5.5%)
07:45 (NZ) 4-6月期 就業者数増減 前期比 (前期 0.7%、予想 -2.0%)
07:45 (NZ) 4-6月期 就業者数増減 前年同期比 (前期 1.6%、予想 -1.1%)
10:45 (中) 7月 財新サービス業PMI (6月 58.4、予想 57.9)
16:50 (仏) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 57.8、予想 57.8)
16:55 (独) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 56.7、予想 56.7)
17:00 (欧) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 55.1、予想 55.1)
17:30 (英) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 56.6、予想 56.6)

18:00 (欧) 6月 小売売上高 前月比 (5月 17.8%、予想 6.3%)
18:00 (欧) 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 -5.1%、予想 0.2%)
21:00 (米) 黒田日銀総裁、イエレン前FRB議長、ウィズ・コロナ時代の中央銀行をテーマに講演(ライブ配信)
21:15 (米) 7月 ADP 非農業部門雇用者数 前月比 (6月 +236.9万人、予想 120.0万人)
21:30 (米) 6月 貿易収支 (5月 -546億ドル、予想 -503億ドル)
22:45 (米) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 49.6、予想 49.6)
23:00 (米) 7月 ISM非製造業景況指数 (6月 57.1、予想 55.0)
30:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、バーチャル講演

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る