トルコリラ週報:『インフレ率の上昇を受けて実質金利のマイナス幅は一段と拡大』(7/4朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が警戒されます。

トルコリラ週報:『インフレ率の上昇を受けて実質金利のマイナス幅は一段と拡大』(7/4朝)

インフレ率の上昇を受けて実質金利のマイナス幅は一段と拡大

〇トルコリラ円今週はほぼドル円の動きにつれ15.57-78レンジで推移
〇エルドアン大統領の「トルコは誰もが驚く経済成長率で締めくくる」との発言には反応薄
〇7/10のトルコ4月雇用統計に注目
〇トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオ、来週の予想レンジ15.35ー15.85

今週のレビュー(6/29−7/3)

今週のトルコリラ円相場は、週初15.64円で寄り付いた後、@株高・原油高を背景としたリスク選好ムードの高まり(新型コロナワクチン開発への期待感も株価を押し上げ)や、A世界的な景気対策(金融緩和+財政出動)を背景とした投資家心理の改善期待(ムニューシン米財務長官による「7月末までに上院と下院が協力し追加救済策を進める」との楽観発言)、Bトルコ6月経済信頼感指数(結果73.5、予想71.0、前回61.7)の力強い結果が支援材料となり、週央にかけて、高値15.78円まで上昇しました(リスク選好ムード→ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)。

しかし、21日移動平均線に続伸を阻まれると、C香港情勢を巡る米中関係の先行き悪化懸念(全人代は6/30、香港国家安全維持法案を可決。米上院は7/2、中国に制裁を科す香港自治法案を全会一致で可決)や、Dトルコ6月消費者物価指数(結果12.62%、予想12.09%、前回11.39%)の伸び率上昇(インフレ高進→追加利下げ打ち止め観測→株価下押し→トルコリラ売り)、E短期筋のロスカット(ドル円下落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、7/3には一時15.57円まで下げ幅を広げる場面も見られました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局15.66円での越週となっております。尚、エルドアン大統領は今週7/1に「世界経済がマイナス成長となる中、トルコは誰もが驚く経済成長率で締めくくる」と発言しましたが、相場への影響は限定的となりました。

来週の見通し(7/6−7/10)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、6/23に一時15.47円(5/15以来)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象づけるチャート形状となっております(今週も安値圏での推移が継続)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念(4月経常収支は約2年ぶりの赤字幅)、C実質金利のマイナス幅拡大(インフレ圧力の上昇を背景に実質金利は一段とマイナスへ)、D経済的な結び付きの強いユーロ圏経済の先行き不透明感(EU新型コロナ復興基金を巡る不確実性)、E中東を巡る地政学的リスク、F米国・ロシア・フランス・NATO同盟国との関係悪化懸念、G世界的な貿易戦争再開リスク、H新型コロナ第2波懸念(トルコ国内の感染者数拡大リスク)など、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクへの警戒感や、対外収支の悪化懸念(資本流出に波及)、インフレ率上昇を背景とした実質金利のマイナス幅拡大、トルコ経済を巡る先行き不透明感(来週は7/10に予定されているトルコ4月雇用統計に注目)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(一目均衡表雲下限を割り込み、下げ幅を広げる展開を想定)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):15.35ー15.85

インフレ率の上昇を受けて実質金利のマイナス幅は一段と拡大

トルコリラ円日足

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