米連邦公開市場委員会(FOMC)要旨(7月1日公表)

6月上旬開催のFOMC議事要旨が昨日公表されました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)要旨(7月1日公表)

米連邦公開市場委員会(FOMC)要旨(7月1日公表)

6月上旬開催のFOMC議事要旨が昨日公表されました。現行の政策金利据え置きなどであまり新味ありませんでしたが、イールドカーブのコントロールに関する議論と、FRBスタッフによる経済見通しを和訳しています。

議事要旨

フォーワードガイダンス、債券購入、イールドカーブ抑えこみと目標値

参加者はFFレートが効果的に低く抑えられている時点に導入した金融政策手段に関して議論した。議論は2つの話題を扱っている。(1)フォーワードガイダンスの役割と大規模債券購入プログラムである。これは委員会の最大雇用と物価安定目標を達成するために下支えするものである。(2)イールドカーブに沿って、金利上限の抑え込みや金利目標に取り掛かろうしている海外や歴史的な事例に関してである。このようなアプローチがフォーワードガイダンスの下支えや債券購入プログラムを完全に捕捉するため使うことが可能かどうかである。

スタッフはまず最初のトピックに関する要旨を取り上げている。すなわちFFレートに対し結果をベースにしたフォーワードガイダンスである。これは、特定のマクロ経済の成果を達成するため、FFレートに対する目標レンジの変更と結び付いている。この成果とは失業率やインフレに関して与えられた水準まで達成することである。スタッフはフォーワードガイダンスや大規模債券購入プログラムが労働市場の回復や委員会が目標としている2%インフレに戻すのに手助けとなったかを示唆しているモデル・シュミレーションの結果を示した。このシュミレーションでは委員会が現状の厳しい下方圧力から回復を早めるために、何年にも亘り高度な金融市場の緩和状況を維持しなければならいことを示唆している。ブリーフィングでは、フォワードガイダンスと債券購入プログラムの効力を変える可能性のある要因と、これらのアクションの目的に関するいくつかの考慮事項について説明した。

スタッフは、企業や世帯がモデルシミュレーションで想定されているほど前向きではない可能性があり、数年先の政策の道筋についての期待に影響を与えることを前提とした政策の有効性を低下させる可能性があると警告した。あるいは、委員会による即効性ある、強力な政策行動の方が公衆の期待感に手助けとなるかもしれない。そうすることで、より良い成果や認識されている最悪シナリオを減じるかもしれない。スタッフの分析したものよりも、より即効性あるマクロ経済への恩恵を生み出すころができるかもしれない。

スタッフの2つ目の要旨は「イールドカーブ・ターゲット(YCT)」を取ることについてレビューした。これはFRBが第2次大戦中あるいは大戦後に追求し、現在は日銀や豪州準備銀行が運用しているものである。これらの3つの事象は違ったタイプのYCTを例証している。第2次大戦中、FRBは国債借り入れコストを低く安定的に保つため、イールドを抑えこんだ。2016年以降、日銀は10年債のイールドに目標を持たせた。これはイールドカーブが過剰にフラットニングするという潜在力を限定しながら、緩和状況を用意し続けるものであった。

2020年3月以降、豪州準備銀行は3年国債のイールドを目標にした。それは金融政策に対しフォーワードガイダンスを強化することや、豪州経済の多くの分野で借入金利に影響を与えることを意図した目標であった。スタッフはこれらの3つの事象により、信頼性あるYCTは民間金利を通し、あるいは出口戦略なくても国債のイールドをコントロールできることを示したと報告している。しかし同時にスタッフはYCT政策にとって、中銀はある環境下ではかなり大量の国債購入が要求される可能性があることを強調している。その可能性とは1940代に米国が経験したことである。YCT政策のもとで、金融政策目標が公的債務管理目標と対立したことであり、そして中銀の独立性に対するリスクをもたらした。

((1)に関する参加者の議論に関する項目は略)

YCT政策についての海外や歴史的経験、あるいは米国におけるそのような政策の潜在的役割に関する議論に関し、ほとんど全ての参加者がそのコストやそのようなアプローチによる恩恵に対し多くの疑問があると指摘した。スタッフが提供した3つのエピソードにおいて、参加者は一般的に米国の現環境下では、豪州のやり方が最も適切であると見ている。にもかかわらず、多くの参加者は、委員会のフォーワードガイダンスがそれ自身に信頼性を維持している限り、フォーワードガイダンスにYCT採用による補強の必要性については明確となっていない。

加えて、参加者はYCT政策の実施に関しては多くの関心を高めた。これにはFRBのバランスシートの大きさやその構成をコントロールし続ける方法も含まれる。とりわけ、その様な政策からの出口時期、少なくとも豪州のケースの様なYCT政策を組み合わせる方法、YCT政策が中銀の独立性を困らせる様なリスクを軽減する方法、あるいはこれらの政策が金融市場の機能や民間部門のバランスシートの大きさや構成に効果があるかの査定方法も含まれている。多くの参加者はイールドカーブのより長いところに注目したYCT政策に関連する追加の説明要求を指摘した。(以下YCTに関しては略)

スタッフによる経済見通し

6月のFOMCに向けスタッフが準備した米国経済の見通しは、あらゆるものを考慮し、4月会合での見通しと比べて下方修正した。これには、入手したデータに加えて国内外でのコロナウィルス拡大やそれを抑制するために採られた手段などの情報を含めている。米国の実質GDPは今年の第2四半期には歴史的に急落する見通しとなっている。失業率は今年の第1四半期よりも急激に上昇すると予想されている。実のある財政政策や、FRBの流動性供給や資金借入策などの適切な金融政策の下支えが、現状経済の悪化を和らげ、回復を後押しすることを手助けすると期待されている。

スタッフは将来の経済成果はコロナウィルスの進展具合やそれを抑制するために採られた手段に大きく依存していると判断している。スタッフのベースラインとなる仮定では、現状の社会的作用や企業活動の制限は今年中には徐々に緩和していくとみている。年後半には、実質GDPは適度に上昇し、失業率も徐々に下がっていくとみている。それでも完全回復は年末までには起きないと想定している。インフレは今年弱くなる見通しである。これは資源活動や消費向けエネルギー価格の悪化を反映している。ベースラインの仮定では、今後2年かけて、経済は改善傾向を続け、インフレは戻るとみている。

それでもまだスタッフはコロナウィルスの大流行に関連する不確実性は極度に上昇し、過去の経済ショックに起因した歴史的な行動を見ると、将来の経済がどの位上昇するかについて判断するにはまだ手引きが限られている。経済がどの位弱くなり、回復するまでどの位かかるかを含め、著しい不確実性や大流行に起因した下方リスクをみると、スタッフは現状のベースライン見通しよりもより悲観的な見通しの方がもっとあり得ると判断している。このシナリオに沿えば、より厳格な社会的、あるいは企業への制限実施を伴ったコロナウィルス発生の第2波が今年末から始まることが予想される。実質GDPは下落し、失業率は跳ね上がり、来年のインフレには新たな下方圧力がかかる。ベースラインと比較して、経済活動の混乱はより厳しく、より長引くことになる。

尚、今回の議事に関しても、投票権持つ全員が賛成しています。
賛成者:ジェローム・パウエル、ジョン・ウィリアムズ、マイケル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、リチャード・クラリダ、パトリック・ハーカー、ロバート・カプラン、ニール・カシュカリ、ロレッタ・メスター、ランダル・クウォールズ。(全員)

反対者:なし
  (注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(上記出所:FRB HP)

CMEのFedwatchは、6月のFOMCドットプロットで2021年末までのFFレート据え置き予想から、利上げ・利下げ共にレンジが無くなりました。
また、アトランタ連銀GDPナウは7月1日現在で第2四半期GDPが▼36.8%となり、6月26日の▼39.5%よりは改善しています。今日7月2日に改定されます。
(7月3日14:00、1ドル=107円52銭、1ユーロ=1.1230)

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