ドル円見通し 米国株高反映して108円を超える(20/7/1)

ドル円は、30日の日中は107.50円を下値支持線として確りし、深夜の上昇で108円に迫り、1日午前には108円を超えてきた。

ドル円見通し 米国株高反映して108円を超える(20/7/1)

米国株高反映して108円を超える

〇ドル円、本日朝方一時108円台乗せ
〇米国での感染拡大がおさまらない中で株式市場は楽観が勝り昨日も米主要株価指数は上昇
〇中国は「香港国家安全維持法」を可決、成立、即日施行
〇米中は双方のビザ発給制限を開始、米中対立の激化懸念も強まる
〇107.75を上回る内は上昇余地あり108.25前後への上昇を想定
〇108.25越えからは108.58前後へ上値目処引き上げ
〇107.75割れからは弱気転換注意、107.50割れからは弱気サイクル入り、107前後への下落を想定

【概況】

ドル円は6月23日深夜に106.06円まで下げて5月6日安値105.98円に迫ったものの底割れを回避して切り返しに入り、25日夜に107.44円まで戻してから26日夜には106.78円までいったん下げたものの持ち直し、6月29日夜に急伸して107.88円まで高値を切り上げていた。30日の日中は107.50円を下値支持線として確りし、深夜の上昇で108円に迫り、1日午前には108円を超えてきた。
先週までは6月23日安値への下落に対する揺れ返しに止まっていたが、6月29日夜の続伸で23日に急落する前の持ち合い圏における高値であった6月16日の107.63円を超えたため、5月6日と6月23日の両安値をダブルボトムとして6月5日高値からの下落に対するリバウンドを試す流れとなってきている。

米国での新型コロナウイルス感染拡大にも関わらず、6月30日のNYダウは前日比217.08ドル高、ナスダック総合指数は184.62ポイント高の1万0058.77で引けて1万台を回復した。フロリダやテキサス、アリゾナ、カリフォルニアなどでは新型コロナの感染者が急増しており経済活動の再開が停止され始めている。またNY州など北東部3州は感染者の多い他州からの訪問者に2週間の自主隔離を求める措置の対象を8州から16州に倍増させた。しかし株式市場においては、それでも今をコロナショック不況の底としてアフターコロナの復興期待への楽観が勝っている状況だ。
為替市場も30日夜にかけてはユーロ等がいったん下落していたが深夜からはリスク選好が勝ってユーロ高、ポンド高となりドルストレートではドル安が見られ、クロス円では全般的に円安へ傾斜し、ドル円は深夜から戻り高値切り上げに入っている。

米経済情報会社MNIインディケーターズが発表した6月のシカゴPMIは36.6となり市場予想の45.0を下回ったが前月の32.3から上昇した。米調査会社コンファレンス・ボードが発表した6月の消費者景気信頼感指数は98.1となり前月の85.9から上昇して市場予想の91.8も上回った。

【第二波への警戒を持ちつつ復興期待優先の動き】

米FRBのパウエル議長は6月30日の下院金融サービス委員会の公聴会で証言に立ち、景気回復が今ちょうど始まっていると述べてコロナショック不況が底打ちしたと受け止められる認識を示した。しかしその一方で、第2波が発生した場合、最悪なのは安全性への市民の信頼感が損なわれることだとし、経済活動に冷水を浴びせる恐れがあると警戒感を示した。先行きは極めて不確実とし、感染の第ニ波が広がれば政府や人々の経済活動が再び後退を余儀なくされるとも述べた。
米FRBのブレイナード理事は6月30日のオンラインセミナーで、新型コロナウイルス感染拡大で深刻に悪化した景気は底打ちしたようだと語った。いくつかの勇気づけられる回復兆候が出ていると述べて株式市場の楽観を助長した。

一方、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は上院委員会での証言で、「人々の行動が変わらなければ米国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は1日当たり10万人に増加する可能性がある」と証言して警戒感を示した。果たして株式市場の楽観が正解なのか第二波によるコロナショック不況の長期化が株式市場を悲観へと向かわせるのか、今後の展開次第だ。

米中対立の激化も懸念が強まっている。中国の全国人民代表大会常務委員会は30日に香港への統制を強化する「香港国家安全維持法」を全会一致で可決、成立させ、同法は即日施行された。米国と中国はこの問題で双方のビザ発給制限を始めている。

米連邦通信委員会(FCC)は6月30日に、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)を米国の国家安全保障上の脅威に指定した。米国市場から両社を排除しようとする動きであり、米中対立を助長しかねない。
米中の通商協議第一段階合意については、ムニューシン米財務長官が「中国が第一段階合意を順守することを望む」と述べており、まだ合意取り消しへ向かっているわけではない印象だが、コロナ不況の中で合意が順守されるのかどうかは不透明だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・形成サイクルでは、6月23日深夜安値をサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、26日夜にいったん下げてから一段高したために6月30日朝時点では6月25日夜高値を直近のサイクルトップ、26日夜安値を同サイクルボトムとして新たな強気サイクル入りとした。またトップ形成期は6月30日夜から7月2日夜にかけての間と想定した。6月30日も107.50円以上を維持して一段高しているため引き続きトップ形成中とみるが、25日夜高値から既に3日を経過しているので反落注意期とし、107.50円割れからは弱気サイクル入りとして7月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日夜の一段高で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、先行スパンから転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は、6月29日深夜高値からの一段高に対して指数のピークが切り下がっているため弱気逆行から下落に転じやすい状況と思われる。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.75円を下値支持線、108.25円を上値抵抗線とする。
(2)107.75円を上回る内は上昇余地ありとして108.25円前後への上昇を想定する。108.25円を超える場合は6月5日高値から6月23日夜安値までの下げ幅に対する3分の2戻しとなる108.58円前後へ上値目処を引き上げる。108円以上での推移なら7月2日の日中にかけても高値を試しやすいとみる。
(3)107.75円割れからは弱気転換注意とし、107.50円割れからは弱気サイクル入りとして107円前後への下落を想定する。107円割れは買い戻しも入りやすいとみるが、107.50円以下での推移なら2日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/1(水)
休場 香港(香港特別行政区設立記念日)、カナダ(建国記念日)
10:30 (豪) 5月 住宅建設許可件数 前月比 (4月 -1.8%、予想 -7.8%)
10:45 (中) 6月 財新製造業PMI (5月 50.7、予想 50.5)
14:00 (日) 6月 消費者態度指数・一般世帯 (5月 24.0、予想 28.0)
16:55 (独) 6月 製造業PMI改定値 (速報 44.6、予想 44.6)
16:55 (独) 6月 失業者 前月比 (5月 +23.80万人、予想 12.00万人)
16:55 (独) 6月 失業率 (5月 6.3%、予想 6.5%)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI改定値 (速報 46.9、予想 46.9)

17:30 (英) 6月 製造業PMI改定値 (速報 50.1、予想 50.1)
21:15 (米) 6月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (5月 -276.0万人、予想 +300.0万人)
22:45 (米) 6月 製造業PMI改定値 (速報 49.6、予想 49.6)
23:00 (米) 5月 建設支出 前月比 (4月 -2.9%、予想 1.0%)
23:00 (米) 6月 ISM製造業景況指数 (5月 43.1、予想 49.9)
23:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、オンラインフォーラム開催
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

7/2(木)
米、債券市場は短縮取引
08:50 (日) 6月 マネタリーベース 前年同月比 (5月 3.9%)
10:30 (豪) 5月 貿易収支 (4月 88.00億豪ドル、予想 90.00億ドル)
18:00 (欧) 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 -2.0%)
18:00 (欧) 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 -4.5%)
18:00 (欧) 5月 失業率 (4月 7.3%、予想 7.6%)

21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -494億ドル、予想 -520億ドル)
21:30 (米) 6月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (5月 250.9万人、予想 300.0万人)
21:30 (米) 6月 雇用統計・失業率 (5月 13.3%、予想 12.5%)
21:30 (米) 6月 雇用統計・平均時給 前月比 (5月 -1.0%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 6月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (5月 6.7%、予想 5.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 148.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1952.2万人)
23:00 (米) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -13.0%、予想 7.0%)

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