ドル円見通し 109円に到達、アフターコロナ復興期待のリスクオンが加速(20/6/4)

3日夜も108.50円を割り込むところもあったが買い戻されて確りし、株高継続により深夜には109円に迫り、4日朝には109円に到達している。

ドル円見通し 109円に到達、アフターコロナ復興期待のリスクオンが加速(20/6/4)

ドル円見通し 109円に到達、アフターコロナ復興期待のリスクオンが加速


〇ドル円株高継続で続伸、4日朝に109円台乗せ
〇昨晩ADP民間雇用統計での就業者減少が予想ほどでなかったことでリスクオンが加速
〇一方米中対立は深刻化しており、日米の金融緩和規模からはドル円の上値も抑えられやすい点には注意
〇108.39以上での推移中は上昇余地ありとみる。109.20を超える場合は3月24日から5月6日への下げ幅に対する3分の2戻し109.80を目指すか
〇108.39割れからは弱気サイクル入りとみる

【概況】

ドル円は6月2日夜の急伸で5月19日深夜高値108.07円を超えて19日以降の10日間の持ち合いから上放れて一段高となり、3日午前には108.84円まで続伸した。午前高値の後は108.39円までいったん下げ、3日夜も108.50円を割り込むところもあったが買い戻されて確りし、株高継続により深夜には109円に迫り、4日朝には109円に到達している。

6月3日はADP民間雇用統計での就業者減少が予想を大幅に下回ったことで株高及び為替市場でのリスク選好が加速した。欧米での経済活動再開の動きが進む中でニューヨーク市も6月8日から段階的な再開に踏み出す見通しとなった事や米経済指標が予想程には悪くなかったことで株高は進み、リスク選好感が強まったことで為替市場ではユーロ、ポンドが上昇。豪ドルは3日夜にいったん反落したが切り返し、NZドルもこの間の高値を更新する等、ドルストレートではドルがほぼ全面安となった。クロス円では総じて円安となり、ドルストレートでのドル安よりもクロス円での円安が勝ってドル円は大幅続伸となった。
新興国通貨も反騰しており、ブラジルレアルは5月8日に対ドルでの史上最安値を更新したが、その後は揺れ返しの上昇に転じており、既に最安値からは15.5%の上昇となっている。南アランドも4月6日に対ドルで19.34ランドの史上最安値をつけたが、その後は揺れ返しの上昇となり凡そ13%の反騰率となっている。

【アフターコロナ相場の先取り続く】

NYダウは前日比527.24ドル高と続伸し、6月1日の前日比91.91ドル高、2日の同267.63ドル高に続いて3連騰となった。ダウはすでに3月暴落の半値以上へ切り返しているが、ナスダック総合指数は2月天井9838.37に対して6月3日高値9707.78で迫っており、ほぼ暴落解消状態に到達している。全米に広がる人種差別問題でのデモや騒乱も気掛かりではあるが、コロナショックが最悪期を脱したあとは復興相場という楽観が株高を押し上げている。

米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が6月3日に発表した5月の全米雇用報告では、非農業部門民間就業者数が季節調整済みで前月比276万人減となり、4月の1955万7000人減からは減少幅が大きく縮小した。市場の事前予想は900万人減であり、予想されたほどの大幅悪化が避けられた。ADPは今回の報告で、「新型コロナウイルス危機の影響はあらゆる規模の企業で続いている」としたが「多くの州が段階的に経済活動を再開する中で雇用減は4月にピークを打ったとみられる」と分析した。

米商務省が発表した4月の米製造業受注は前月比13.0%減となり低下率は過去最悪だった前月の11.0%減から一段と悪化したが、市場予想の14.0%減を上回った。
米サプライ管理協会(ISM)が発表した5月の米非製造業景況指数は45.4で前月の41.8から上昇し、市場予想の44.0を上回った。50を下回った状況は続いており、いずれの統計数字も戦後最大級の不況を示す悪いものだが、コロナショックにより暴落していた市場については既に最悪を相当程度に織り込んでいるため、予想を超える悪化でなければ株高反応となり、為替市場もリスクオンへ反応しやすくなっているようだ。

コロナショック対策での主要国による利下げと大規模な量的緩和はリーマンショック後の金融緩和でのリスクオン相場を彷彿とさせる。ドル円は他通貨よりもやや慎重な動きが続いていたが、リスクオンの度合いが増したことで高値追及へ走ったという印象だ。
ただし、米中対立は深刻化しており、日米の金融緩和規模からはドル円の上値も抑えられやすい。感染爆発の第二波や全世界への蔓延も気掛かりなところだ。週末は米労働省の雇用統計が控えている。そこでこれまでのように悪い数字でも織り込み済として楽観を継続できるのかどうか、試されると思う。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期に短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月29日午後へ急落してからほぼイッテコイまで戻したため、6月2日朝時点では直近のサイクルボトムを5月29日午後安値とした強気サイクル入りとした。また底割れ回避の内は27日夜高値を基準として6月3日夜にかけての間への上昇余地があるとした。
6月3日午前高値から小反落して一段高へ進んでいるため、前回ボトムの29日安値から3日目の6月3日午前安値で既にサイクルボトムをつけて新たな強気サイクルに入っている可能性もある。このため、6月3日午前安値108.39円を割り込まない内は新たな強気サイクル入りの可能性も踏まえて週末にかけて高値更新を続ける可能性ありとし、3日午前安値割れからはいったん弱気サイクル入りとみて4日の日中から5日夕刻にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2日夜の急伸で遅行スパンが好転し、先行スパンを大きく超えた状況となり、4日午前も両スパン揃っての好転を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新がストップすると遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。その際は先行スパン下限が下値支持線となりやすいと思われる。

60分足の相対力指数は2日深夜の急騰で80ポイントを超えたが、その後の高値更新では指数のピークが切り上がっていないので弱気逆行となっている可能性がある。50ポイント台を維持する内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期入りとみて40ポイント弱への下降を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月3日午前安値108.39円を下値支持線、109.20円上値抵抗線とする。
(2)108.39円以上での推移中は上昇余地ありとみる。5月29日への下げ幅の倍返しが109.09円であり、109円台序盤は戻り売りも出やすい水準とみるが、109.20円を超える場合は3月24日から5月6日への下げ幅に対する3分の2戻し109.80円を目指すと考える。
(3)108.39円割れからは弱気サイクル入りとみて108.00円前後への下落を想定する。108円割れは買い戻しも入りやすいとみるが、108.39円を下回る水準での推移なら5日の日中も安値試しへ進みやすいとみる。

注:ポイント要約は編集部

【当面の主な予定】

6/4(木)
10:30 (豪) 4月 貿易収支 (3月 106.02億豪ドル、予想 75.00億豪ドル)
10:30 (豪) 4月 小売売上高 前月比 (3月 8.5%、予想 -17.9%)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前月比 (3月 -11.2%、予想 -15.0%)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 -9.2%、予想 -22.3%)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 4月 貿易収支 (3月 -444億ドル、予想 -490億ドル)
21:30 (米) 1-3月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 -2.5%、予想 -2.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 212.3万件、予想 184.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 2105.2万人、予想 2010.0万人)

6/5(金)
08:30 (日) 4月 全世帯消費支出 前年同月比 (3月 -6.0%、予想 -12.8%)
14:00 (日) 4月 景気先行指数CI速報値 (3月 84.7、予想 76.3)
14:00 (日) 4月 景気一致指数CI速報値 (3月 90.2、予想 82.6)
15:00 (独) 4月 製造業新規受注 前月比 (3月 -15.6%、予想 -19.9%)
15:00 (独) 4月 製造業新規受注 前年同月比 (3月 -16.0%、予想 -29.9%)
21:30 (米) 5月 非農業部門就業者数 前月比 (4月 -2050万人、予想 -800.0万人)
21:30 (米) 5月 失業率 (4月 14.7%、予想 19.6%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前月比 (4月 4.7%、予想 0.9%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前年同月比 (4月 7.9%、予想 8.5%)
28:00 (米) 4月 消費者信用残高 前月比 (4月 -120.4億ドル、予想 -150.0億ドル)

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