トルコリラ円見通し 3月9日朝安値からの戻り一巡で17円を割り込む(20/3/12)

11日未明には17.26円まで戻り高値を切り上げていた。しかしその後は新たな高値更新へ進めず17円台を維持できずにジリ安となっている。

トルコリラ円見通し 3月9日朝安値からの戻り一巡で17円を割り込む(20/3/12)

【概況】

トルコリラ円は世界連鎖株安と原油暴落等で金融市場全般が動揺した3月9日に16.26円まで急落して3月2日安値17.08円を割り込んだが、その後は暴落一服で持ち直しに入った。10日夜に17.19円をつけてから10日深夜に16.73円まで反落したものの11日未明には17.26円まで戻り高値を切り上げていた。しかしその後は新たな高値更新へ進めず17円台を維持できずにジリ安となっている。

トルコリラ円の3月9日午前への急落及びその後の反発はドル円の動きと同調していた。ドル円は3月9日安値で101.23円をつけて2月20日からの下げ幅は10.98円となったが、株暴落一服で揺れ返しの上昇となり11日未明には105.91円まで戻した。この間の戻り幅は4.68円だったが、半値戻しの106.72円には届かずにいる。11日のNYダウ下落に対するドル円の反応は鈍く、慎重な動きで次のきっかけを待っている状況のようだ。

ドル/トルコリラは3月2日に6.2615リラの高値を付けて2019年5月高値6.2539リラをわずかに超えてからは反動安で3月3日安値6.0307リラまで下げたが、その後はリスク回避感の強まるなかで新興国通貨売りが進んだために3月9日には6.1951リラまで反騰し、11日には6.2185リラまで戻り高値を切り上げて日足は3連騰となっている。世界連鎖株安基調が続けば新興国通貨・株は売られやすく、ハイリスク通貨はさらに売られやすい。ブラジルレアルやアルゼンチンペソは対ドルでの史上最安値を連日のように更新しており、メキシコペソも下落が目立つ。ドル/トルコリラでのドル高リラ安基調も継続しやすい状況と思われる。

イスタンブール100株価指数は3月6日から11日まで4日間の続落となっている。前日比では6日が1.98安、9日が5.54%安、10日が2.38%安。11日は0.10%安だったが、安値では2月28日安値を割り込んでおり、1月22日高値からの下落基調が一段と深刻化している。

【元与党メンバーによる新党、トルコで初の感染者】

トルコのババジャン元副首相は3月11日、首都アンカラで新党「民主主義進歩党」の設立を発表した。エルドアン大統領の与党・公正発展党(AKP)の創設メンバーだったが、エルドアン大統領の強権的な政治を批判して離党していた。AKPからはダウトオール元首相も2019年に離党して新党を設立しており、エルドアン大統領に対する反対勢力の増加は政権への先行き不安を助長することになるかもしれない。
今のところトルコ経済は通貨危機から脱却して復調しているが、新型コロナウイルスの感染拡大が世界的流行であるパンデミックとなり世界景気後退への懸念が強まる状況にあることや、シリア・アサド政権との軍事衝突、ロシアとの関係性等は不安定な状況にあるため、国内景気が揺らげばエルドアン政権が安泰でいられるかどうかも問われてゆくかもしれない。

トルコのコジャ保健大臣は3月11日、トルコで新型コロナウイルス症例が初めて確認されたと発表した。感染者は欧州での接触を介して感染したこと、外部と完全に隔離されていること、容体は良好だが濃厚接触者として家族全員及び親しい関係者が監視下に置かれているとした。
トルコと国境を接するイランでは感染者が9000人に達して死者も354人に増加した。欧州の感染はイタリアを中心に急拡大しているが、シリア難民の流入で対立しているギリシャでも99人、またイラクでも71人の感染者が出ている。これまでトルコは感染者がゼロの状況を維持しており、感染予防の模範となっていたが、感染者が発生したことで他国同様に今後は感染拡大に巻き込まれてゆく事が懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月9日午前安値からの反騰により10日午前時点では3月2日朝安値から5日目となる3月9日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期を3月6日夜から10日深夜にかけての間と想定したが、11日未明まで戻り高値を切り上げた後は失速気味だったために11日午前時点では既にサイクルトップをつけた可能性があるとした。
11日夜から12日午前へジリ安基調での推移となっているので、11日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3月12日の日中から16日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換は11日未明高値超えからとし、その際は14日未明から18日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では11日夜の下落で遅行スパンが悪化し、12日午前時点では先行スパンから転落しつつある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は10日夜から11日未明への高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られたために11日未明で戻り一巡した可能性があるとしていたが、その後の続落で50ポイントを割り込んでいるため30ポイント割れを目指す下落継続となりやすい状況と思われる。強気転換には50ポイント超えから続伸する必要があると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月9日午前安値16.26円を下値支持線、3月11日未明高値17.26円を上値抵抗線とみておく。
(2)17円以下での推移中は3月9日午前安値を目指す下落期入りと仮定する。16.30円以下は反発注意とするが、世界連鎖株安や新興国通貨売りや円高が加速する場合は3月9日午前安値を割り込んで一段安に入る可能性もあると注意する。
(3)17円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが17円超えから続伸の場合は11日未明高値試しを想定する。11日未明高値を超える反騰の場合は新たな強気サイクル入りとなるため17.50円前後への上昇を想定するが、そのためには世界的な株反騰や円安の加速が必要と思われる。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月13日
 16:00 1月鉱工業生産 (12月 8.6%)
 16:00 1月小売売上高 前月比 (12月 1.1%)
 16:00 1月小売売上高 前年比 (12月 11.0%)
3月19日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.75%)

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