トルコリラ円見通し 3月9日午前安値から下げ渋るが17円に届かず(20/3/10)

世界連鎖株安が一段と深刻化する中で新興国市場への売り圧力が強まっているためトルコリラには円高の圧力とドル高の圧力が共にかかっている。

トルコリラ円見通し 3月9日午前安値から下げ渋るが17円に届かず(20/3/10)

トルコリラ円見通し 3月9日午前安値から下げ渋るが17円に届かず

【概況】

トルコリラ円は3月9日早朝に16.82円まで急落して3月2日安値17.08円を大きく割り込み、午前に16.26円までさらに一段安となった。その後は新たな安値更新を回避しているが17円台を回復できない程度に止まっている。
3月9日は早朝から原油相場が先週末比で一時30%安を超える暴落となり、ダウ先物が千ドル安を超える大幅続落で、ドル円も104円を割り込んでから101円台まで大幅続落となるなど、金融市場全体が悲観売りに覆われた。

NYダウは9日夜の開始早々から先週末比2000ドルを超える暴落商状となり、S&P500株価指数の下落率が基準値(7%)に達したため、現行の取引ルールが採用された2013年以降で初めてサーキット・ブレーカーが発動される事態となった。NYダウは先週末比2013.76ドル安で終了、1日の下げ幅としては過去最大だった。

米10年債利回りは一時0.3%台に低下、前週末比0.22 %低下の0.55%となった。
NY原油は10.15ドル安(24.6%安)の31.13ドルで終了したが、一時は33%安の27.34ドルまで下げて2016年2月以来の安値となり、下落率は過去最大となった。

ドル/トルコリラは3月2日に6.2615リラの高値を付けて2019年5月高値6.2539リラを超えた後はドル高一服で反落していたが、3月8日に前日比0.61%高、9日は同0.44%高とドル高リラ安がぶり返している。米連銀の緊急利下げに対してECBの利下げ余地は乏しいとしてユーロ高ドル安となり、リスク回避で円高ドル安となっているが、世界連鎖株安が一段と深刻化する中で新興国市場への売り圧力が強まっているためトルコリラには円高の圧力とドル高の圧力が共にかかっている。

イスタンブール100株価指数は2月27日から28日への2日間で8%を超える急落後に3月2日から3日にかけては4.87%の反発を入れていたが、戻りは続かずに3月6日は1.98%安と失速し、世界連鎖株安が一段と深刻化する中で9日は前日比5.54%安と大幅下落した。トルコ株式市場の大幅安はリラ安へも波及している。

【シリア情勢、ひとまず停戦だが軍事衝突は続いている】

シリア情勢を巡っては、2月3日からトルコ軍とシリア・アサド政権軍が大規模に衝突を繰り返して全面戦争化への危機感が強まっていたが、ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が3月5日のモスクワ会談でシリア北西部イドリブ県での停戦に合意したことでやや落ち着いている。イドリブ県以外ではアサド軍及び支援勢力、反政府武装勢力とトルコ軍による衝突は発生しているものの、シリア・アサド政権とトルコの全面戦争化はひとまず回避されている。

しかしシリア内戦による難民問題はここ数日間で深刻化している。トルコがギリシャとの国境を開放したためにシリア難民がギリシャへ押し寄せている。欧州では2015年に大量の難民流入が加盟国の政治的混乱を招いた経緯があり、今回も同様の危機に発展する可能性が懸念される事態となる中、ミシェルEU大統領とフォンデアライエン欧州委員長がトルコのエルドアン大統領と3月9日にブリュッセルで難民問題を協議した。だが協議は平行線で解決へ向けての前進はみられなかった。欧州では新型コロナウイルス感染拡大が深刻化しているが、それに加えて難民流入という大問題も加わり、政治的な混乱も懸念される。またトルコが欧州と対立することによる孤立も地政学的リスクを高めかねないと懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日朝安値から5日目となる3月9日午前安値で直近のサイクルボトムをつけたと思われる。3月3日深夜高値を基準として今回のサイクルトップ形成期は6日夜から10日深夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にある。
9日午前安値割れ回避の内は上昇余地ありとみるが、16.50円割れからは下げ再開注意とし、9日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして12日朝から16日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10日午前の反発で遅行スパンは好転しやすい位置にある。遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、いったん好転した後に再び悪化するところからは下げ再開とみる。また先行スパンの上下限が戻り高値を抑えやすいとみる。

60分足の相対力指数は9日午前の一段安で20ポイント台序盤へ低下したが、10日午前は50ポイントまで戻している。40ポイント以上での推移中は60ポイント前後への上昇余地ありとみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑い、30ポイント割れからは20ポイント割れへ向かう可能性があると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、16.50円を下値支持線、3月9日夜高値16.84円を上値抵抗線とみておく。
(2)16.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、9日夜高値超えからは17.00円台序盤への上昇を想定する。17円以上は反落警戒としてその後の16.50円割れからは下げ再開とする。
(3)16.50円割れからは3月9日午前安値16.26円試しとし、底割れからは16.00円試しを想定する。16円前後ではいったん買い戻しも入るかもしれないが、16円割れから続落の場合は15.70円台へ下値目処を引き下げる。また3月9日午前安値を割り込む場合及び16.50円以下での推移が続く場合は11日の日中も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月10日
16:00 12月失業率 (11月 13.3%、予想 13.5%)
3月11日
16:00 1月経常収支 (12月 -28億ドル)
3月13日
16:00 1月鉱工業生産 (12月 8.6%)
16:00 1月小売売上高 前月比 (12月 1.1%)
16:00 1月小売売上高 前年比 (12月 11.0%)
3月19日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.75%)

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る