ユーロ週報「下降トレンドが続くものの警戒感も」(2月第3週)

2月に入ってからのユーロドルは一本調子で下げ続け、既に267pipsの下げ幅に達しています。

ユーロ週報「下降トレンドが続くものの警戒感も」(2月第3週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、ドル円がまったく動意が見られない中で着実に水準を切り下げる動きとなりました。2月に入ってからのユーロドルは一本調子で下げ続け、既に267pipsの下げ幅に達しています。1月も月末こそユーロ買いの動きは見られたものの、年初の高値が1.1214レベルだったことを考えると、年始から400pips近く下げ続けていることとなります。

先週も弱い欧州景気が続いていることがユーロ売りの最大要因でしたが、そこにドイツの与党CDUのクランプカレンバウアー党首が辞任の意向を固めたことで急速にドイツの政局懸念が重なりユーロ一段安の動きとなりました。クランプカレンバウアー党首は2018年12月にメルケル首相の後任首相候補として党首に就任しましたが、その後のドイツ国内における与党の地位低下で人気が低下していたところに、チューリンゲン州首相を極右のAfD(ドイツのための選択肢)と組んだことから辞任に追い込まれました。

この動きからメルケル首相の後任が誰になるのかまったくわからなくなると同時に、状況によってはメルケル首相退陣による総選挙前倒しという可能性も出てきています。しかし、困難な時期にあえてメルケル首相を中心に党内を立て直すことで、本来の総選挙時期(2021年秋)まで乗り切れるかどうか、今後の動向が注目されます。CDUの支持率低下だけでなく、大連立を組んでいるSPDもメルケル首相後は連立から抜けることを示唆していますので、メルケル首相としても自身が任期を全うする方向で動く可能性が最も高いと言えるでしょう。ただ、どこの国も政治の世界は急に動きが出てきますので、しばらくはドイツ与党CDUの動向に注目しておきましょう。

そして今週ですが、ECB理事会議事録の公表やECB理事の講演、そして金曜のPMI速報値と足元のユーロ圏の経済状況を判断することになりますが、よほどのサプライズがあれば別ですが、基本的にはこれまでの弱い状況を再確認することになる可能性が高そうです。

その場合にはユーロは対ドル、対円ともに一段安となりますが、その際に気になるのはユーロ安がドルインデックスを一段と高くすることです。ドルインデックスは以下のチャートを見てもわかるように、先週金曜に99.05と昨年10月2日以来のドル高となっています。
最近はドル高牽制発言が引っ込んでいますが、そろそろトランプ大統領がドル高をけん制してくるのではないかと個人的にはかなり警戒しています。

今週の週間見通しと予想レンジ

ドルインデックスにおけるユーロの割合は57.6%に達していますので、ユーロドルのチャートはドルインデックスを上下さかさまにしたような恰好ではありますが、欧州の弱さから既に昨年10月の安値を下回る動きです。
ユードルの日足チャートを見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ 2枚目の画像

先週金曜のコラムで書いた通り、ユーロドルの水準は長期的なターゲット(2017年安値と2018年高値の78.6%=61.8%の平方根押し)が1.0814ですが、昨年12月末の高値からの逆N波動による100%エクスパンションも1.0848となっていて、1.08台前半はいったん下げ止まりやすい水準です。

目先はいったん買い戻しも出てそれでも上がらない場合は次のターゲットとして127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションとなる1.0781を視野に入れてくるというのが現時点での見方ですが、ドル高警戒感もなしにするすると下がっていく可能性もありますので、1.07台後半は考えておいたほうがよさそうです。

今週は反転する可能性も下げ続ける可能性も双方を考えると、1.0780レベルをサポートに1.0920レベルをレジスタンスとするレンジでしょうか。

今週のコラム

先週は13日にジャビド英財務相が辞任し財政支出拡大に繋がるのではとの見方からポンドの買い戻しが目立ちました。いっぽうでユーロが下げていることから、ユーロポンドは大きく下げる動きとなりました。
ユーロポンドの日足チャートをご覧ください。

今週のコラム

ユーロポンドは12月に安値をつけ、その後は比較的底堅い動きとなっていたのですが、1月安値を割り込み先週13日には0.8296の安値をつけました。12月安値が0.8277と至近距離にあることを考えると、いったんはユーロポンドが安値を更新する動きとなってきそうです。

ユーロドルの方向性を考える際にユーロポンドの動きも見ておき、ユーロポンドが安値を更新してくる動きからの調整が入らないとユーロドルの戻しも難しいかもしれないという感じもしてきます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月17日(月)
**:** NY市場休場
19:00 ユーロ圏12月建設支出
23:00 レーンECB理事講演
**:** ユーロ圏財務相会合


2月18日(火)
18:30 英国1月失業率
19:00 ドイツ2月ZEW景況感指数
**:** EU財務相会合


2月19日(水)
18:00 ユーロ圏12月経常収支
18:30 英国1月CPI・PPI
28:00 FOMC議事要旨公表

2月20日(木)
16:00 ドイツ1月PPI
16:45 フランス1月CPI
18:30 英国1月小売売上高
19:30 デギンドスECB副総裁講演
21:30 ECB理事会議事要旨公表
24:00 ユーロ圏2月消費者信頼感速報値


2月21日(金)
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値
19:00 ユーロ圏1月CPI
26:00 レーンECB理事講演


22日(土)
**:** G20(〜23日)

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月10日(月)
ユーロドルは、月曜はNY市場に入るまでは全く動かず、NY市場に入りメルケル首相の後任選びがCDU党首の辞任意向から白紙に戻ったことを嫌気してのユーロ売りとなりました。引けにかけて1.0908レベルの安値をつけ安値引けとなりました。


2月11日(火)
NY市場までは全く動かず、NY市場ではパウエル議長が現状の金融政策を適切と発言したことからドル買い(ユーロ売り)となり、1.0891レベルの安値をつけました。しかし、その後のユーロドルは引けにかけては買い戻され、前日終値レベルでの引けとなりました。

2月12日(水)
ユーロドルは、東京市場では動かず欧州市場序盤の株高でユーロ円にも買いが入ったことから一時的に上昇する動きが見られました。しかし、欧州の経済指標の弱さやドイツの政局が不透明となってきたことを嫌気して売りが、NY市場では昨年安値を割り込んだことから一段安となり1.0865レベルまで下値を広げて安値圏での引けとなりました。


2月13日(木)
ユーロドルは、東京市場では動きは見られなかったものの欧州市場に入りポンド買いの動きに引っ張られ一時的に上昇しました。しかし、円買いの動きがユーロ円でも見られたことや、前日までの経済指標の悪さやドイツの政局流動化を懸念した動きもあり、引けにかけてはじり安、1.0833レベルまで下げた後にやや戻して引けました。

2月14日(金)
ユーロドルは基本的に小動きなままで終わっていますが、NY市場に入り公表された小売売上高で前月の数字が下方修正されたことから、対ユーロで一時的にドル売りの動きが見られました。しかし、すぐに元の水準に戻して以降は同意薄のままの週末クローズとなりました。

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