トルコリラ円見通し 米・イラン全面戦争回避での反騰一服、19円手前でやや失速(20/1/15)

ドル円の伸びがストップしたためにトルコリラ円も利食い優勢の動きとなり18.60円台まで押されている。

トルコリラ円見通し 米・イラン全面戦争回避での反騰一服、19円手前でやや失速(20/1/15)

【概況】

トルコリラ円は10月後半以降の持ち合いから転落して年末へ下げ足を速めていたが、1月2日夜の米軍によるイラン攻撃により一段安となり、1月6日朝には17.94円の安値をつけた。18円割れをいったん買い戻されたが、1月8日朝にイランが報復攻撃を行ったことで1月8日午前には17.88円まで再び反落した。しかし米・イランの全面戦争化は回避される動きとなり、金融市場全般のリスクオン心理が回復したため、トルコリラ円は対ドルでのリラ高とドル円等での円安が重なって大幅上昇となり、1月10日深夜には18.68円まで高値を切り上げた。

週明けも続伸して1月14日午前にはドル円が110円の壁を突破したことと同調して18.77円をつけたが、その後はドル円の伸びがストップしたためにトルコリラ円も利食い優勢の動きとなり18.60円台まで押されている。

年初からはイラン情勢が金融市場の焦点となってトルコリラも全般動向と同調した動きとなり、1月8日午前まではリスク回避でのリラ安、それ以降はリスク回避感が一挙に後退したとしてリスクオンによる新興国通貨買いで戻した。またテクニカル的にも概ね4か月周期の底打ちサイクルにおいて安値を出し切ってサイクルボトムをつけてサイクルのリバウンド期に入った。

1月15日には米中の通商協議第1段階の合意署名が行われる予定だ。14日に中国の劉副首相が訪米し、15日にホワイトハウスで署名される。この署名から両国関係が改善に向かい、世界貿易・景気にプラスの刺激となればリスクオン心理も増長してトルコリラは対ドル、対円でさらに高値を試す可能性があるが、米中通商協議の第1段階合意の後は第2段階への交渉が始まり、協議が難航するようだとリスク回避感が再び拡大する可能性もあるところだ。14日午前高値からドル円とトルコリラ円が失速気味なのは、米財務長官発言等で米国による対中国制裁関税の解除が米大統領選挙後や第2段階で合意する場合との姿勢が示されたことも影響している。

引き続き金融市場全般の動向を見ながらの展開が続きそうだが、1月16日にはトルコ中銀の政策金利発表がある。4会合連続での利下げにより今回も利下げが想定されるが、過去4会合が予想を大幅に上回る利下げ幅だったものの、今回は小幅な利下げに留まるのではないかと予想されている。

【最近のトルコ経済指標】

【最近のトルコ経済指標】

1月10日に発表されたトルコの10月失業率は13.4%で9月の13.8%から若干改善した。同国の失業率は2018年の通貨危機から悪化して2019年1月には14.7%まで上昇していたが、その後は緩やかに改善している。ただし、まだ絶対水準は高い。

1月13日に発表された11月の経常収支はマイナス5.18億ドルで10月の15.58億ドルのプラスから悪化した。2019年7月から10月まではプラスでの推移だったが若干減速した。

1月14日に発表された11月の鉱工業生産は前月比でプラス0.7%となり10月のマイナス0.9%から持ち直した。前年比は5.1%のプラスだったが、2018年9月から2019年8月まで丸1年間のマイナスが続いた後は9月から3か月連続でのプラスとなっている。

11月の小売売上高は前月比1.7%のプラスで、前年比は8.5%のプラスだった。前年比は鉱工業生産と同様に2018年9月から2019年8月までマイナスが続いていたが、2019年9月からは3か月連続でプラスと持ち直している。
総じてトルコの経済指標は改善傾向が見られる。株高が貢献しているともいえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月6日朝安値と8日午前安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしてきた。今回の高値形成期は1月7日午後高値を基準として1月10日午後から14日午後にかけての間と想定してきたが、14日午前時点では既に反落警戒期とした。1月14日午前高値から失速気味となったため、まず、1月14日午前高値を直近のサイクルトップとしる。ボトム形成期は1月8日午前安値を基準とすれば1月15日午前までの間と想定されるが、15日夕刻以降へ続落の場合は1月13日朝安値を基準として16日朝から20日朝にかけての間へ延長される可能性がある。このため、14日午前高値を上抜けない内は一段安警戒とし、14日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして17日午前から21日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月8日夜の急騰で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いて両スパンそろっての好転が続いていたが、15日午前への下落で遅行スパンは悪化し、先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパンが再び好転するところからは上昇再開から一段高へ進む可能性があるとみて高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は13日夜高値から14日午前への高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行気配となっていたが、その後の下落で30ポイント台まで低下した。このため60ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移に入らない内は一段安余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、18.60円を下値支持線、1月14日午前高値18.77円を上値抵抗線とする。
(2)18.70円以下での推移かわずかに超えても維持できない内は一段安警戒とし、18.60円割れからは18.40円台中盤への下落を想定する。18.45円以下は反騰注意とするが、18.60円以下での推移なら16日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)18.70円超えから続伸の場合は1月14日午前高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして18.90円台、さらに19円試しへ向かう流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

1月16日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 12.0%、予想 11.5%)
1月20日
23:30 12月トルコ中央政府債務
1月23日
16:00 1月消費者信頼感指数(12月 58.8)
20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨
1月27日
16:00 1月製造業景況感 (12月 103.6)
16:00 1月設備稼働率 (12月 77.0%)

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