テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも地合い弱く、年末年始の下落に警戒
今週のレビュー(12/23−12/27)
今週のトルコリラ円相場は、週初18.42円で寄り付いた後、暫くの間、狭いレンジ内での横ばい推移が継続しました(※トルコそのものは祝日では無かったものの、クリスマス休暇で大半の国が休場となり、市場参加者が激減)。しかし、スワップポイント狙いのリラ買い・円売りが強まると一転(※年末年始でスポット取引の受渡日が伸びる関係上、多くのFX会社が12/26クローズ時点のポジション保有者に対して通常より多くのスワップポイントを支払った)、週後半にかけては、高値18.47円まで上昇する場面も見られました。もっとも、12/26から12/27へ日付を跨いだ後は、上記スワップポイント獲得後の利食い売りに押される形で反落に転じ、12/27海外時間には、10/17以来、約2ヶ月半ぶり安値となる18.34円まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発に転じるも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間3時00分現在)では18.38円近辺で推移しております。
来週の見通し(12/30−1/3)
今週のトルコリラ円相場は、週末にかけて約2カ月半ぶり安値圏(18.35円)へと下げ幅を広げました。強い売りシグナルを表す三役逆転が点灯している他、短期移動平均線(21日移動平均線)と長期移動平均線(200日移動平均線)のデッドクロスも実現するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を意識させるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(※一部メディアは先週、トルコ当局がリラ安防衛を目的に「リラ売り・外貨買い」を規制する新規制案を検討中と報道)、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(※市場やエルドアン大統領による利下げ圧力は根強く、トルコ中銀は来年1/16の金融政策決定会合で5会合連続での追加利下げに踏み切るとの見方が広がりつつある)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Dシリアを巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やジェノサイドを巡る米国やNATO同盟国との関係悪化懸念など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。状況次第(米トルコ関係を巡るヘッドライン次第)では10/10に記録した直近安値18.20円を試すシナリオも想定されます。リラ安防衛策(新規制案)を巡る思惑がひとまず下値を阻んではいるものの、上値余地は乏しく、来週は、12/31に発表されるトルコ・11月貿易収支や、1/2のトルコ・12月製造業PMIを睨みながらも、トルコリラ円相場が一段と下げ足を速める展開をメインシナリオとして予想いたします(今年の1/3のフラッシュクラッシュ時と同様、年末年始の低流動性を突いた急落に要警戒)。
トルコリラ円の予想レンジ TRYJPY 17.80ー18.70
トルコリラ円日足
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